2025/06/07

鳥の飛行力学 入門 第 2 版

3月にこのブログ上でリリースした「鳥の飛行力学 入門」ですが,改訂第2版をリリースしました.

改訂の目玉は,新しく独立した章を設けて「回復飛行と引き起こし」について詳しく記述したことです.回復飛行に関する従来の論文では直線飛行から円弧に移行する軌道を前提にして,鳥の体に加わる慣性加速度を議論することが多かったのですが,これは加速度の不連続性を生むため現実にはあり得ません.現実の航空機や鳥はもっと滑らかな曲線を描くはずなので,今回はクロソイド曲線と円弧をつなぐ軌道をモデルにしてシミュレーションを行った結果を説明しました.ハヤブサが 6.0 G の加速度の下で引き起こしできるかを論じています.

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それ以外にも章立ての順序を変更したり,多数の箇所で語句を書き換えたり,後注の内容を充実させたりしました.初版に比べると言い回しも(多少)改善されたのではないかと思います.

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この本は自分の趣味として書いたもので,販売して金銭を得ることを考えていません.そのため私の OneDrive に置いておきますので,ここから自由にダウンロードしてください.コピーや転載も自由です.

質問は巻末に書いたアドレスへのメールで受け付けますが,素早い応答は期待しないでください.ある程度質問の数がまとまったら Web 上で質疑応答をやれるといいなと思っています.

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2025/06/06

D-day に寄せて

5 月は一度も投稿できませんでした.なんやかやと用事が立てこみ,またネタになるような写真が撮れなかったのが最大の理由です.船上から海鳥を見るツアーから帰って来てようやく落ち着けるようになってきましたが,今月はまだ野鳥の調査が 2 回,探鳥会のガイドが 1 回残っています.

さて 1944 年 6 月 6 日 火曜日は,第 2 次大戦の一大イベント,ノルマンディー上陸作戦ことオーヴァーロード作戦が決行された日です.私は子供のころ,映画館で史上最大の作戦を観て,それから 2000 年ころにプライベート・ラインをビデオで観て,さらにさまざまなドキュメンタリー作品を観て,この軍事イベントに対する興味を持ち続けてきました.

メディアでは前線での派手な戦闘に焦点が当てられがちなのですが,私が興味を掻き立てられたのは,これほどの大作戦をどのように立案し,計画し,最終的に決行するに至ったのか,いわば裏方たちの,恐らくは凄まじいまでの試行錯誤と労力です.連合国軍はすなわち多国籍軍でした.イギリスやアメリカの兵士は言うに及ばず,フランス,カナダ,ポーランドの兵士たちも多数加わっています.どのように兵士たちを集め,訓練し,必要な物資を調達し,必要な場所に運搬したのか.気が遠くなるほどの規模だったはずです.軍の官僚組織や仕事を請け負った企業がどうにかこうにか仕事を回していったのだろうと思います.

1944_normandylstA LCVP (Landing Craft, Vehicle, Personnel) from the U.S. Coast Guard-manned USS Samuel Chase disembarks troops of the U.S. Army's First Division on the morning of June 6, 1944 (D-Day) at Omaha Beach.  Public domain; official U.S. Coast Guard photograph

しかし当然のことながら数多くの失敗や見込み違いがありました.イギリスの海岸で最終的な上陸演習(タイガー演習)を行っているときに,連絡の不備から味方同士が相打ちし,さらにドイツ軍の攻撃を受けて 900 人以上のアメリカ兵が死亡しました.また上陸作戦のために開発され期待が寄せられた水陸両用戦車D.D. シャーマンは海岸にたどり着く前に沈むものが多く,あまり役に立たちませんでした.プライベート・ライアンでも「戦車は沖で沈みました」と報告を受けるシーンがあります.

80g45720National Museum of the U.S. Navy - https://www.history.navy.mil/content/history/museums/nmusn/explore/photography/wwii/wwii-europe/operation-overlord/invasion-normandy/us-navy-ships/80-g-45720.html

しかし何といっても私が最も心を痛めたのは,この作戦のために死傷したフランス国民のことです.以下,Wikipedia の記事によりますが,この作戦に先立って連合国はドイツ占領下のフランスやベルギーの都市に対しては大規模な事前爆撃を行い,この準備段階の空襲だけでノルマンディーを中心として住民 15,000 人が死亡し,19,000 人が重傷を負ったそうです.そして上陸直前の空襲によって 24 時間以内に死んだノルマンディーの住民は 3,000 人にのぼり,これはアメリカ軍の死者の 2 倍以上.そして最終的に連合国の空爆によって死亡したフランス国民の総数は 70,000 人に達したそうです.

416thbga20ddayUnited States Army Air Force - United States Army Air Force via National Archives
A-20 from the 416th Bomb Group making a bomb run on D-Day, 6 June 1944

当初からチャーチルは空襲の対象をドイツ軍の基地や弾薬の集積所に限るべきだと主張していたのですが,この要請をアイゼンハワールーズベルトは拒否し,都市爆撃を行ったのでした.爆撃対象はしょせん他国であり,かつ爆撃強度を高めた方が自国の兵士の命が助かると考えたのでしょう.

自由を勝ち取るための戦いとはいえ,救助され解放されるべき人たちがこのように多数殺されなければならなかったのか?もっと他の戦術は考えられなかったのか?今でも疑問が残ります.戦闘員たる兵士たちよりもはるかに多くの住民が犠牲となって解放されたノルマンディー.誰のため何のための解放だったのか?それで本当に良かったのか?軍の司令官たちの良心は痛まなかったのか?

戦後作られた映画でこの点に触れたものはほとんどありません.映画パリは燃えているかの中でも言及はありませんでした.フランス解放に貢献したレジスタンスと英米軍を賞賛する映画ですから,シナリオ段階でボツになったでしょうし,たとえセリフに書き込まれたとしても,当時のド・ゴール政権の厳しい検閲に引っかかって出せなかったでしょう.私がこのような事実を知ったのは最近数年間でいくつかのドキュメンタリー作品を観たからです.

さてこのオーヴァーロード作戦でヨーロッパ全土が解放されたわけではもちろんありません.連合軍は 3 か月後に敢行されたマーケット・ガーデン作戦ではドイツ軍の強い反撃を受け多大な損害を出して撤退し,オランダは解放できたものの,ドイツ本土への侵攻は半年後になってしまいました.この作戦は後に遠すぎた橋バンド・オブ・ブラザーズに描かれました.ノルマンディーへの上陸後,事がトントン拍子に進んだわけでは決してないのです.そしてその間,前線の兵士たちだけではなく戦場となった地域の住民たちの受難も続いたのです.

世界中の戦争や紛争ができるだけ早く終息することを願います.

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2025/06/05

ガガンボ

昨夜は寝苦しい蒸し暑さだったのですが,今朝は早朝ににわか雨を降らした黒い雲が去ってからは,さわやかに晴れ上がり乾いた空気が北西から入ってきました.

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わが家の窓にへばりついていたガガンボ.隣家では足長おじさんと呼んでいるそうです.胴体から突き出して先端に丸い玉のようなものがついているものは何でしょうか?

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2025/04/27

強風の五月晴れ

今日の午前中は家人のお供で近くの知人のギャラリーを訪問.朝から五月晴れの快晴ではあったのですが,強い南風が吹き荒れ,いかにも関東地方の初夏らしいお天気でした.

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ギャラリーから湖畔に降りるとフジの花が強い風になびいていました.

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カエデの大木を下から見上げると,葉を透けて届く日光が大変美しい.

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木の根元になぜかムクドリの卵が一個落ちていました.近くに巣はないはずなのに,誰がどうやって運んできたのやら?

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2025/04/26

コガモとアカメガシワ

これは昨日の散歩のお話.

いつものとおりの散歩コースをたどって調整池に行ってみると,まだ多くのコガモが逗留しています.もともとここで越冬したものなのか,あるいはもっと南で越冬していたものが立ち寄ったのか,定かではありませんが,他のカモが渡去したあとでもコガモは居残る傾向があります.例年だと5月の連休が終わるとようやくいなくなる,ツグミもその頃いなくなる,というのが当地の歳時記です.オスの目の周りの緑色がとても美しく,英語ではコガモの名前 Teal がそのままこの緑色の名前にもなっています.

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一方植物の方は新緑が濃くなって,もはや新緑とは言えない程度になってきました.しかしこれから新しく葉を茂らせるものもたくさんあって,当地では田んぼの際に植えられたクワの木の勢いが盛んです.その脇ではアカメガシワが美しい新葉を伸ばしていました.

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ムナグロ御一行様お着き

今は春の渡りの盛期.東南アジアや南半球から鳥たちが続々と北上し,あるものは日本を中継してさらに北のシベリアやアラスカまで飛んでいきます.翼があるとはいえ,数千キロ,場合によっては一万キロを越える長旅なので,出発前に蓄えた脂肪はなくなり,体重を半分にまで減らして目的地にたどり着きます.

日本を中継地にする渡り鳥のことを旅鳥というのですが,シギチドリたちがその代表です.そしてこの旅鳥たちは海辺の干潟だけではなく,内陸の湖沼や水田地帯にも多く降り立ち,疲れをいやし,食べ物を補給して脂肪を蓄え,再び北をめざして飛び立っていくのです.

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今日はそういうチドリの一種,ムナグロを見に行ってきました.毎年決まってムナグロの群れが降り立つ田んぼがわかっているので,広大な水田地帯を探し回る必要はありません.

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今日は30羽ほどの群れが,水入れが始まる前の乾いた田んぼで休息していました.おそらくは遠くオーストラリアから飛んできたものたちです.多いときは100羽を超える群れでいることが多いので,今日はまだ少ない方です.

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日本で体力を回復して,最終目的地まで無事に飛んで行けることを祈っています.

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2025/04/24

フジが満開

いつの間にか4月も下旬.今週末からゴールデンウィークが始まるというのですから,最近地球の自転が速くなったのではないかといぶかる年寄りです.

今日久しぶりに散歩コースを歩いたのですが,いつの間にかフジの花が満開.もう盛りを過ぎている感じです.以前雑木林の手入れが行われていたころは,フジは強大なツルが他の木々に巻き付いて絞め殺してしまうので,見つけ次第刈り取られていたはずなのですが,最近は手入れをする人がなくなったので,雑木林の中に大きく成長したフジ蔓を見ることができます.花が美しいのは良いのですがあまりほめられたものではありません.

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調整池の土手に何かいると思って見ると,キジのメスでした.すぐ近くにオスがいたのですが,ちょっと離れた場所に長い時間留まっていました.

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シャガはとっくに満開になっていました.

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2025/04/17

低山を花見登山

週明けから強風が吹き荒れてソメイヨシノの花が飛ばされ,せっかく芽吹いてきた木々の新緑が痛んだりしたのですが,昨日は風は若干弱まり気温も湿度も低めだったので,少し遠出をして低い山に登りヤマザクラの花見をしてきました.最近アド街ック天国でも紹介されたところです.ここを訪れるのは3年ぶり.

その地域では有名なヤマザクラの名所だけあって,平日にもかかわらず近郷近在から私たちのようなヒマ老人がぞろぞろ.地域が設けた臨時駐車場もほぼ満杯状態.それでも首都圏の有名どころの混雑ぶりに比べればスカスカでほぼ無人.首都圏から遠く離れて交通の便が悪いからですが,人波に視界を妨げられずに風景や花を楽しむことができます.これぞ田舎暮らしの特権.

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この低山はまさに里山というにふさわしい所で,平地から低い山が連なり県境を構成しています.この花見の季節は林道の車の通行を禁止して人が安心して歩けるようになっています.けっこう急な登りなのですが距離はさほどでもないので,花を賞でながらつづら折りの急坂を登っていきます.低山なので普段着の人も登山スタイルの人もさまざま.

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この山自体のヤマザクラも素晴らしいのですが,この山から遠望できる風景も実に素晴らしい.こういう景色と人々の営みがまだ日本に残っていることに感動してしまいます.

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山頂近くのピークの入り口には巌抱き桜というものがあって,大きな岩を根が抱え込むようにして立っているヤマザクラが面白い.近くで三角点も確認できました.

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下山は楽ちんなのですが,急坂なのでひざを痛めないよう歩幅を小さくして降りていきます.振り返って山を眺めると,これまた絶景.毎日こういう風景を眺めて暮らすとどういう性格になるのだろう?と想像しながら帰途につきました.

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2025/04/13

宝物のような里山

今日は昨日とは打って変わって朝からどんよりとした曇り空.午前中からパラパラと冷たい雨が降り始め,降ったり止んだりをくり返しています.当然ながらこのような日は家の中で停滞です.PC のバックアップとメンテナンスにはちょうどよい日取りでした.

昨日は冷たい北風が吹いていたものの,お天気は晴れ.久しぶりに里山歩きに参加しました.もう早春の出し物はとっくに終わっていて,春本番の景色でした.

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この里山は数十年前から NPO と地元の有志とによって維持されてきたのですが,今となっては本当に貴重な空間です.

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すでにオドリコソウが咲いていました.以前はもっと大きな群落があったのですが,今でも貴重なものです.

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ヤマエンゴサクはおおきな群落が維持できてきます.

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そしてこちらはイチリンソウ

今日,このような空間が維持できるのは,数十年にわたる人々の思いと熱意によるものなのですが,それがこれからも続いていくことを願いたいと思います.

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2025/04/10

ジューンベリー開花

今週月曜日に玄関先のジューンベリーが開花しました.純白の白い花が小ぢんまりと咲くのですが,清楚な感じがして好きな花の一つです.我が家ではトサミズキに次ぐ春告げ花です.

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大変花期が短い花なので,来週には散っているのではないかと思いますが,その後2か月ほどで赤い実がなるのが楽しみです.

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例年,熟した実は鳥に食べられてしまうのですが,今年は実の付きが良ければ食べてみようかと思います.

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2025/04/06

近所を花見歩き

当地でのソメイヨシノはようやく七分咲きといったところですが,今日はお天気が下り坂と言う予報.そうなる前に近所の桜並木を歩いて花見をしてきました.

この桜並木は堤防を兼ねた農道の脇に約 1 km に渡って植えられているもの.もう樹齢は30年を越えているので,だいぶ老木が目立つようになってきました.樹勢もさまざま.すべてが隆々としているわけではありませんが,それでも地元の人間が楽しむ分には十分です.

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ソメイヨシノ,ヤマザクラオオシマザクラなどが植えられています.ヤマザクラはまだ咲き始めですが,比較的花期が長いのでまだ楽しめるでしょう.

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田んぼの疇ではホトケノザやオオイヌノフグリが満開を迎えていました.

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2025/04/04

ちょっと早めのお花見

ここ数日続いた寒くてジメジメしたお天気から一転,今日は朝方は濃霧だったもののその後晴れ上がり,雲が沸き立ちながらもなんとか晴れが続きました.

当地では場所によってはソメイヨシノはすでに満開になっているのですが,本番は今週末という感じです.それでも平日のほうが人出が少ないということで,定番のお花見ドライブに出かけました.

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着いてみると人出はまばらで思惑が当たったのですが,ソメイヨシノはまだ三分咲きといったところ.蕾の状態の花芽のほうが多い感じです.しかし山の中腹で咲き誇っているサクラもあるので,ヤマザクラの中にはすでに咲いているものもあるのでしょう.

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すぐ隣の遺跡公園で奈良・平安時代の官衙(かんが)を復元したものを見学.奈良時代には木材は豊富にあったのでしょうが,これほど大型の木造建築が作られていたというのはある意味驚きです.校倉造(あぜくらづくり)板倉造(いたくらづくり)の高床式倉庫が区別して復元されています.

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2025/04/02

やはり名作「夜の大捜査線」

夜の大捜査線 [Blu-ray] - シドニー・ポワチエ (出演),ロッド・スタイガー (出演),ノーマン・ジュイソン (監督)

数年ぶりで観ましたが,やはり名作は名作です.出演者たちがみなとても上手い.シドニー・ポワティエの表情がインテリぶって硬いのが気になりますが,他の白人俳優たちがみないいのです.南部の黒人差別が強い地域の白人たちを非常に上手く演じています.演技指導が相当入ったのかもしれませんが,撮影が 1960 年代という公民権運動が盛り上がっていた時期だったことも影響しているのかもしれません.

役者たちをクローズアップで撮るとき,特に逆光気味のときの照明がきつめなのが今となっては気になるのですが,当時はこれが普通の撮影ルーチンだったのでしょう.「熱いトタン屋根の猫」を観るとそれがよくわかります.一方,夜のシーンはすでに高感度フィルムがあったせいか実に自然です.

この映画の中には何カ所か名シーンと呼ばれるものがあるのですが,まず最初はタイトルロールの長距離列車のシーン,次は警察署長のギレスビーがシドニー・ポワティエ演じるティッブスを駅のプラットフォームで引き留めるシーン,そして最後は帰っていくティッブスをギレスビーが駅で見送るシーンです.ギレスビー役のスタイガーの演技は素晴らしいもので,アカデミー賞の主演男優賞をとったのもうなずけます.これらのシーンから,当時はアメリカ国内でも長距離旅行は鉄道が一般的だったことがわかります.ビジネスマンが飛行機で出張するようになったのはもう少し後の時代です.

ちなみに,シドニー・ポワティエの有名な出演映画,いつも心に太陽を招かねざる客,そしてこの夜の大捜査線はすべて 1967 年の作品.これは偶然なのでしょうかね?私は中学生の時に地元の映画館で,いつも心に太陽をを観て感動したことを覚えています.

この映画の音楽はすべてクインシー・ジョーンズの作で,タイトル曲はレイ・チャールズが歌っています・・・とくると,USA for Africa が思い出されるのですが,案の定 USA for Africa の収録スタジオにはシドニー・ポワティエが招待客として顔を出していました.絆は深いのですね.

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2025/03/30

春が進行中

早いもので週明けには4月が始まります.先週は異常な高温が続いたおかげで春が一気に進んだ感があります.春の孤高の花コブシはすでに終わり,我が家の庭ではトサミズキの花穂がだいぶ長くなり,レンテンローズはすでに盛りを過ぎました.

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ただし昨日から冷たい北東気流が入って冬に逆戻りしたので,当地では次の週末くらいがソメイヨシノの満開になりそうです.私が好きなオオシマザクラはいつ満開になるのやら.寒が戻ったので花は長持ちしてよいのかも.

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2025/03/15

「鳥の飛行力学 入門」書きました

日ごろ鳥が飛ぶ姿を見てはその飛行制御に感嘆しているのですが,鳥が飛べる秘密を解明したい,鳥のように空を飛びたいという思いは世界共通です.古くから鳥を模倣して空を飛ぶ試みが続けられ,ようやく20世紀初頭になって有人動力飛行が実現したことはご存じの通り.

一方,鳥やコウモリや昆虫など生物の飛行そのものの研究も進んでおり,次々に興味深い事実が明らかにされつつあります.その中でも鳥の飛行は一つの典型として古くから研究され,かなりの程度体系化が進んでいます.私は一昨年から昨年にかけて,英国 Bristol 大学の故 Pennucuick 教授が書いた “Modelling the Flying Bird” という教科書を通読して,現代の研究水準を学びました.

しかし物理学や工学を専門としない読者にとってその内容を消化するのは敷居が高いと感じ,また数式も頭ごなしに書いてあるだけで導出過程は省略されていることが多く,独学で読み進むのは難しいと思いました.

一時はこの本の翻訳出版を考え,半年以上かけて翻訳したのち,あちこちの出版社に打診したのですが,あまりにニッチな分野であり予想販売部数が少なすぎる,翻訳の権利処理にも手間と費用がかかるという理由で断られてしまいました.

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それでは,この本を下敷きにしつつも,基本的な部分に範囲を絞って自分なりに書き下ろしてみようと思い,3か月程度で完成させたのが今回紹介する「鳥の飛行力学 入門」です.全体で 120 ページほどの小冊子ですが,鳥の飛行の原理を力学的パワーを主軸として解説したものです.対象とする読者は,高校卒業程度の数学と物理学の知識を持ち,鳥や飛行機が飛ぶ仕組みを物理法則に基づいて学びたい,一般向けの比喩や雰囲気でごまかした説明には満足できないという人たちです.また模型飛行機,グライダー,人力飛行機などのスカイスポーツの愛好者にもお勧めできます.なぜなら鳥も飛行機も同じ物理法則に従って飛んでいるからです.

そのため運動量保存則などの基本原理に従って数式を導出し,さらにその数式を現実の鳥の形態データに当てはめて計算する例を多く作りました.またそれらをできるだけグラフにして視覚的に理解しやすいように努めました.また大きな特徴は印刷出版することを前提としていないことです.PDF 閲覧ソフトで読むことを想定し,たくさんのハイパーリンクを本の内外に張っていますので,図や数式などを参照するのがとても楽です.

この本は自分の趣味として書いたもので,販売して金銭を得ることを考えていません.そのため私の OneDrive に置いておきますので,ここから自由にダウンロードしてください.コピーや転載も自由です.

質問は巻末に書いたアドレスへのメールで受け付けますが,素早い応答は期待しないでください.ある程度質問の数がまとまったら Web 上で質疑応答をやれるといいなと思っています.

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2025/03/12

IOC List v15.1 Released

IOC World Bird List v15.1 が予定よりもだいぶ遅れてリリースされました.これは 2025 年 1 回目のリリースです.遅れてとはいうものの,前回 2024 年 8 月 27 日のリリースからちょうど 6 か月経ってからのリリースなので,リリース間隔としては通常通りです.移行完了日は 3 月 9 日とされているのですが,Master List が公開されたのは 2 月 28 日だったので,私としてはその日をリリースの日としたいと思います.

今回収録されたのはが 44,が 256,が 2,396,が 11,250(うち絶滅種が 164),亜種が 19,774 です.

今回は過去に独立種とされた種が亜種に格下げされる例が多く,そのために種の数が減少し,代わりに亜種の数が増加しています.また属や科の中でのシーケンス(掲載順序)が大幅に変更されたものがありますが,これはリストを見て確認してもらうしかありませんので,ここでの説明は省略します.

日本のバーダー向けに重要と思われる変更点を書こうと思ったのですが,今回は特に記すべきことはありません.英名はそれなりの数の変更がありましたので,興味のある方は Updates の English names を見ておくとよいと思います.


IOC 本家の Master List (学名と英名を収録した Excel ファイル)を編集して,Refsort/Ruby 用の辞書ファイル(拡張子が .ref のテキストファイル)を作りましたので, Microsoft One Drive 上に設けた “IOC List Archive” にアップロードしました.エンコーディングは UTF-8US-ASCII の 2 種類です.正版は UTF-8 版で US-ASCII 版は簡易版ですが,詳細についてはユーザーズガイドをご覧ください.


このオリジナル版の辞書ファイルと併せて,全ての掲載種に和名を付与した辞書ファイル 2 種と, IOC Master List の和名追加版( Excel ファイル)も同時にリリースしました.これら和名追加辞書についても,UTF-8 でエンコードしてあるものが正版ですが,Windows などでの使い勝手を考慮して Windows-31J でエンコードしたものも同時にアップしてあります.詳細についてはユーザーズガイドをご覧ください.

単に種名を調べるためだけであれば,和名追加版の Master List( Excel ファイル)が最も便利です.ただし長大なワークシートなので,目的の名前をスクロールして探すのは非効率です.検索メニューからジャンプするのが良いでしょう.


これらのファイルは前述のとおり,Microsoft One Drive 上に設けた IOC List 専用のフォルダからダウンロードできます.それには,このブログ右側のコラムの最上段の Archive の中の IOC List Archive をクリックしてください.そうすると One Drive のフォルダに入ることができますので,あとは適当に選んでダウンロードしてください.


I am pleased to announce that I have posted reference files for Refsort/Ruby compiled directly from the latest IOC World Bird List v15.1. It contains 44 Orders, 256 Families, 2,396 Genera, 11,250 species including 164 extinct ones, and 19,774 subspecies, respectively. Please try it out, and enjoy its capability and speed.

Note that the reference file "ioclist_v151u.ref" is encoded in UTF-8 in order to retain all European accents and umlauts with complete fidelity as they are in the IOC Master List.

For those who want to use Refsort/Ruby in universal ASCII environments, I have posted another reference file "ioclist_v151a.ref" encoded in pure US-ASCII. Note that characters with accents and umlauts have been simplified to their nearest neighbors. So please be careful in particular when you refer to authorities of species.

I have also posted two different reference files "ioclist_v151ju.ref" and "ioclist_v151jw.ref" (encoded in UTF-8 and Windows-31J, respectively) which include Japanese names for all species. If you want to know Japanese names, please refer to those files.

In order to sort a list properly using these reference files, you need to align the encoding of the input file to that of the reference file, and you should add a magic comment specifying the encoding in the first line of these files, such as

#!E -*- coding: UTF-8 -*-

or, add an option "-E UTF-8" into your commandline.

You can skip this process if your iput file is encoded in the default encoding of your platform, e.g., US-ASCII or Windows-31J for Windows, UTF-8 for macOS or Linux.

A master list in Excel format containing a column of Japanese names has been posted as well. This would be most convenient for quick reference.

You can download appropriate files from my area of Microsoft One Drive by clicking “IOC List Archive”. Enjoy, and bon appétit.

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2025/02/23

強風の中を鳥見

今日は 3 連休の中日.強い寒波が居座っていて日本海側は大雪が続いており,雪かき本当にご苦労様です.当地でも数年に一度は雪かきをしなければならず,うっかりさぼっていると雪かきならぬ氷剥がしになってしまって翌日は筋肉痛でつらいのですが,これが毎日となると本当に大変です.早く雪が止んでくれることを祈ります.

当地はこのところ毎日冬晴れ.しかし風が強い状態は続いており,どこへ出かけるのも風を覚悟しなければなりません.今日は比較的近場でありながらこれまで行ったことがなかったため池の公園へ足を延ばしました.

人はまばらで,ここにはまだカモがたくさん残っていました.マガモハシビロガモヒドリガモオカヨシガモコガモ,そしてたくさんのオオバン.夜行性のカモは昼間は寝ていることが多く,ここで活発に動いているのはハシビロガモとヒドリガモ,そして陸に上がって草を食べていたオオバンたち.

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まもなく北帰行の季節になります.今のうちにたくさん食べて脂肪を蓄えておかなければ長いフライトを行うことはできません.どれくらい太ったのかな?

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湿地のようになっているところでクイナが出て来ました.人間が近くにいてもあまり物怖じしません.ヒクイナもいるらしいのですが今日は出会えず.

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強風の中,空は澄んで,遠くの山が良く見えていました.

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2025/02/08

トモエガモの群れ

今日は風が強くなるという予報は知っていたものの,日程の都合から印旛沼まで遠征してきました.お目当てはここ数年冬になると大挙してやってくるトモエガモの群れ.以前は韓国と九州が主な越冬地だったらしいのですが,ここ数年で関東では印旛沼に集まるようになりました.その数,数万羽.一説によると 10 万羽を超えたこともあったようです.

先月,韓国の空港でバードストライクが主な原因と推測される飛行機事故が起きましたが,このトモエガモの群れがエンジンに吸い込まれてエンジンが停止したと見られています.

さて現地についてみると湖岸に妙な人だかりが.どうやらここ数日珍鳥が出たらしく,関東一円からカメラマンがやって来ていました.私たちもしばらくその中に混じって藪の中の鳥を探したのですが,なかなか出てこないためにトモエガモの群れの方へ移動.

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群れの近くで堤防に上がってみるとトモエガモのまさに大群.しかし 10 万羽というほど大きな群れではなく,せいぜい 2, 3 万羽といったところでしょうか.ほとんどの時間は湖面で風上の方向を向いて浮いているのですが,風に流されるのを補正するためか,ときどき数千羽単位で舞い上がっては降りることを繰り返していました.

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帰り道に旧本埜村の白鳥の里に立ち寄り.1000 羽を超えていたコハクチョウは今月初めに大部分は北帰行で渡去してしまったらしく,残ったコハクチョウは 50 羽程度.それにオオハクチョウが 5 羽.オオハクチョウの若鳥がいろいろなポーズをとってくれるので写真を撮ることができました.

冬の今頃はいつもそうなのですが,冷たい強風に耐えながらの鳥見になるので大変体力を消耗し,ストレスもかかります.しかしそうでもしなければ見られない鳥たちがいるので,なかなかやめられないのが年寄りにはつらいところです.

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2025/02/07

ノスリに遭遇

このところブログの更新が滞りがち.体調が悪くて臥せっているわけではなく,ほかのことでパソコンにかじりついているためなのです.このかじりつきはまだ数か月は続くと思われるので,当分の間このブログは閑散としていることをお許しください.

さて寒さが続いています.数日前から今季最強の寒波とやらがやって来て,日本海側は雪で大変なことになっているようですが,当地は風は強いものの毎日冬晴れ.ただしときどき千切れて迷子になった黒い雪雲がやって来て,パラパラと雨を降らしたりします.寒いので灯油の消費量が上がっているのですが,円安で灯油の値段も上がっているので,庶民は寒さを我慢するしかありません.昨日の朝,ストーブを点ける前の我が家の居間の気温は 5 度でした. 30 分ほど運転しても 12 度.今朝はそれよりはましで 7 度からのスタート.鍛えられてだいぶ寒さにも慣れてきました.ハハハ.

昨日の昼間,立春を過ぎて日差しはたっぷりだったので散歩に出かけました.大した出物は無かったと思って帰る途中,いきなりノスリに遭遇.こいつは電線に止まったり人家の屋根に降りたりしながら付近をパトロール.広い耕作放棄地があるのでネズミがいないか探していたのかもしれません.

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やがて遠くへ(たぶん月へ)飛んで行ってしまいました.

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2025/01/18

冬枯れ

今朝はこの冬一番の冷え込み.起床後,居間のヒーターを付けるときの気温は 5 度.温まるまでに時間がかかります.それでも日差しはたっぷりでお昼頃には暖かくなり,ほぼ一週間ぶりに自宅周辺の散歩コースを歩きました.

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調整池の立ち枯れたヨシの茎をメジロが盛んにつついていました.嘴に白いものが付いています.これはカイガラムシの一種,ビワコカタカイガラモドキと呼ばれるもののメスの残骸.ヨシの葉鞘に固着して生活しているのですが,冬の小鳥たちのよい食料になっています.

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休耕田に面した畑にはアオサギと,ゴイサギの若鳥.調整池に魚はそれなりに豊富なので,さほど食べ物に困ってはいないはずです.

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来週は暖かい日が続くそうなのですが,その後どうなるかはまた別の話.灯油がぐんと値上がりしたので強い寒波が来ないことを祈っています.

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