2019/11/08

こんなカラスウリがあった

先週あたりから天候が安定してきたので,ようやくお散歩の季節が到来したという感じです.まだまだ日向を歩くと汗ばむのですが,それでも日陰に入ると寒く感じるので,秋を味わうのであれば最高気温が15度を上回る今のうちです.

今日は6,000歩くらいのほぼ定例のコースを家人とともに歩いたのですが,遊水池でカモ類を眺め,サギ類カワセミジョウビタキに挨拶されながら,深まる秋を楽しんできました.今日は猛禽が出なかったのがちょっと残念.

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途中,熟し方が異なるカラスウリが固まって成っている個所を発見.黄色くしなびているものあり,オレンジ色に熟しているものあり,まだ青みが残っているものありで,色の組み合わせが美しいと思いました.このブログの9月の記事で今年はカラスウリが不作だと書いたのですが,そこここに実っているカラスウリを見ると,心配したほどでもなさそうです.

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2019/11/04

Refsort/Ruby v2.98 Released

辞書参照型ソーティングフィルタの Refsort/Ruby(新しいほうから *1 *2 *3 *4 *5)の改訂版をリリースしました.

今回の改訂内容は以下の通りです.

  1. 出力フィールドを指定するオプションの処理において,オプション指定に関わらず入力のコメントを辞書のコメントよりも先に出力していたバグを修正.
  2. パイプまたはリダイレクトによる標準入力への入力でエンコーディング指定が可能となるよう修正.キーボード入力では従来と変わらずエンコーディング指定はできません.
  3. Refsort on Excel を使用しインデント付きのラベルを出力する場合に,最低レベルのラベルからさらに一段インデントを深くして実質名を出力するようにした.
  4. 新しいオプション "--tabout" または "-T" を設けた.これは "--excelmode" または "-x" オプションを使ったときと同一の書式で出力を行う.出力結果を直ちに表計算ソフトで読み込むときに便利.
  5. ヘルプメッセージを小修正した.

今回は実質的な意味を持つ修正が複数含まれています.(1) は明白なバグの修正,(2) は使い勝手の改善です.さらに (3) で Refsort on Excel の出力書式をより見やすい形に修正するとともに,(4) でそれを Refsort on Excel を使用しない場合でもエミュレートできるようにしました.これは並べ替え結果を直ちに表計算ソフトで読み込む際の便宜をはかるためのものです.

今回はユーザーズガイドの改訂を見送っています.2020年1月末ころに,IOC List の最新版がリリースされる予定なので,それに合わせてユーザーズガイドも改訂版をリリースしたいと思っています.

ココログの改悪でブログサイトへファイルのアップロードができなくなってしまったので,前回の改訂からファイルのアーカイブを Microsoft One Drive に置いています.画面右側コラムの “Archive” の中の “Refsort/Ruby Archive” をクリックしていただくと,私の OneDrive 上に設けたライブラリが開きますので,そこから過去分も含めてファイルをダウンロードすることができます.お試しください.

Ruby 本体の最新版は v2.6.5 まで上がってきました.今年のクリスマスには新しい v2.7.0 がリリースされるはずですが,Refsort を使う分には Ruby の新旧はほとんど関係ありません.それでも順調に開発が進むことを祈っています.

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2019/10/31

ついに読了!一般相対性理論

一般相対性理論を一歩一歩数式で理解する - 石井 俊全(著)

仕事を引退後,学生時代に挫折した学問の学び直しを始めたことをお伝えし,昨年夏に特殊相対性理論を勉強したことを報告し,今年前半には熱力学を学びなおしたことを報告,と進んできたのですが,本格的な教科書を通読した熱力学が思いのほか苦しまず楽しかったので,余勢を駆って長年の夢と憧れであった一般相対性理論を学んでみようと思い立ちました.

もちろんこれには伏線があって,つい最近,まるで学習参考書のように懇切丁寧に数式を追って独習できる本が出版されたばかりだったのです.それが今回紹介するこの本です.著者は理論物理学の専門家ではないのですが,非常に幅広く数理科学を学んで理解したうえで,その内容を一般の人が学びやすい学習書として再構成することが得意なようで,すでにガロア理論に関する学習書が先行して出版されています.熱力学を読み終わった直後の大学の同期会で,この本を読み進めているという人がいたことも背中を押してくれました.

学習参考書なので,専門書のように数式展開をさらりと省略したりせず,本当に学習参考書並みに丁寧に式変形の過程を赤字を交えて追うことができるようになっています.これだけでもすごいと思うのですが,もっと感心したのは,後々必要になる定理や法則を,必要最小限の範囲ではあるのですが,事前に用意周到に伏線を張って準備しておくという構成になっています.そのために仕方のないことですが,この本は700ページ近い分量になっており,まるでアメリカの大学の教科書なみです.もっとも,昔から有名な重力理論の定番教科書 “Gravitation” は1,280ページとさらに2倍もの分量があるので,上には上があります.

従って,この本はベクトル演算から始まり,大学教養課程で習う程度のベクトル解析のエッセンス,そして難関の一つであるテンソルの導入,さらにテンソル場への応用に進むという具合に進みます.ここでは特に座標変換に対して不変なテンソルとは何かを繰り返し学べるように配慮されています.

途中,電磁気学のマクスウェル方程式特殊相対性理論も学び,ローレンツ共変性四元化の概念,ローレンツ変換という座標変換に対して不変な物理法則とはどうあるべきかも理解できるようになっています.

その後もう一つの難関であるリーマン幾何学へと突入します.この辺りになると,頭の中にイメージを作ることがだんだん難しくなってきて,クリストッフェル記号や計量テンソルがずらずら並んだ式を見ると,拒否反応が出てきて苦しむのですが,ここを何とか乗り越えるとようやく一般相対性理論に入ることができます.

とまあ,こんな具合なのですが,私は6月10日に読み始め,10月31日に読了しました.この間,A4判のノートを4冊費やし,すべての数式を自分で展開していったのは言うまでもありません.もちろん,途中で疑問に思うことや十分に理解できなかった個所は何十か所もあります.その場合,本にもノートにも大きな疑問符を付けてマークしてあるのですが,本当に深刻な疑問は起きなかったように思います.これは著者の懇切丁寧な準備によるものでしょう.

強いて改善点を上げるとすると,一つはローレンツ変換の導入です.この著者は光速度一定の帰結であるローレンツ収縮の考察をもとにしてローレンツ変換へと一般化していくのですが,私にはわかりにくく,むしろ線形変換として天下り式にローレンツ変換の係数を求めるほうがすっきりすると感じました.またミンコフスキー図の使用例が少ないことも気にかかりました.もっと多用して線形変換であるローレンツ変換に慣れたほうが良いように思います.相対論のキモである固有時もミンコフスキー図で見たほうがわかりやすいのでは?と思いました.

もう一つの改善点は計量テンソルの扱いです.まずテンソルの添え字の上げ下げのツールとして g_{ij} や g^{ij} というテンソルが導入されるのですが,それが線素の計算に必要な計量テンソルに自然につながることを丁寧に示したほしかった.これは未だに未消化の部分です.この辺り,数学寄りのテンソルの定義から始めて,物理寄りのテンソル場へ移行する過程がもう一工夫必要ではないかと思います.

さらに,アインシュタインの重力場方程式を天下り式に導入してしまうのですが,ここはアインシュタインが何年間も悩んだだけに難関です.なぜ右辺がエネルギー・運動量テンソルでよいのか?なぜ左辺は計量テンソルの1階微分の2次式と2階微分の1次式でよいのか,ひと通りの説明はしてあるのですが,正解がわかっているときの最短距離での説明に終始しているので,発想法としてついて行けませんでした.これはシュバルツシルト解や重力波方程式の導出においても同様で,解にたどり着くまでの発想と試行錯誤の跡を辿れるようにしてくれれば最高だと思いました.

とまれ,4か月半の間ほとんど毎日,この本と付き合って楽しんだことは確かです.テンソルやリーマン幾何学が何であるかもようやく理解できました.この本を足掛かりにして,もう少し深みのある専門書を読んでみたいとも思うのですが,書店で立ち読みした限りでは理論物理の秀才向けの本が多く,なかなか敷居が高そうです.

一方,この本ではほとんど紹介がなかったのですが,解析力学を学んでみたいとも思うようになりました.これは学生時代の勉強ではラグランジアンで終わってしまっており,ハミルトニアンが何であるかいまだにわかっていません.これを学べば量子力学が理解しやすくなると聞いていますし,アインシュタインの重力場方程式も素直に導出できるらしいので,次は少し方向を変えてみようかと画策中です.

仕事を引退して十分な時間が持てるようになって,何をやるかは人それぞれだと思いますが,このような学び直しはほとんどお金がかからず,得られる喜びと満足感は他の何物にも代えがたいものがあります.他の趣味の邪魔にもなりません.頭が働くうちはこれからも続けていこうと思っています.学び直しはまだまだ続きます.

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2019/10/27

アオツヅラフジが豊作

このところ台風や大雨が続いて好天の日が少なく,なかなか外に出歩く機会も少なくなっていたのですが,今日は雲が多いながらもなんとか雨には降られなかったので,久しぶりに家の近所を散歩.

気温は高いながらも秋は深まり,特にカキノキは早々に熟しています.例年よりもずいぶん早いという印象です.

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我が家の周囲の谷津田の際ではアオツヅラフジの実がたわわに実っています.今年は特に実の付きが良いようです.

有毒なのですが,漢方薬にも用いられているそうです.これは鳥の食べ物にはならないのでしょうね?

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2019/10/01

晩年になっても珠玉の作品

Let's Face the Music and Dance [CD] - Willie Nelson & Family

数年前に買って時々聴いてはいたのですが,PC用のデスクトップ・スピーカーで聴くだけだったので,久しぶりにアンプとスピーカーを通して聴いてみたら,うーん,しまったと思いました.もっと早くから聴きこんでおくべきでした.私は Willie Nelson は大好きなアーティストの一人なので,アルバムも10枚以上持っていると思いますが,その中でも上位に入る出来だと思います.

2019年現在御年86歳のはずですが,80歳代に入ってから作ったこのアルバムでも,Willie の端正かつ繊細でやさしい声は健在です.昔のスタンダードナンバーをカバーし,かつ大変リラックスした感じのダンスミュージック風にアレンジしてあるので,素敵な相手と踊るにはもってこいです.こういう歌声に包まれてダンスしたら気持ちがいいでしょうね.同じ年に,カントリーの女性歌手とのデュエットアルバム “To All the Girls...” もリリースしており,こちらも出色の出来です.今年も新しいアルバムを出しているようなので,ファンとしてはまだまだ楽しめそうです.

私はカントリー歌手としての Willie Nelson を聴いてきたのですが,音楽性の幅は大変広いので,なかなか一つの枠には収まり切れません.それがこの歌手の魅力ですが,彼のヒッピー的なスタイルは従来の保守的なカントリー界からはうさん臭く思われていたはずです.しかし,金髪の三つ編みの外見とはうらはらに,ギターと歌唱のレベルの高さ,音楽性の高さは疑いようがなく,また今や伝説となった愛用のギター “Trigger” (*) とともに,これからもファンに愛されていくのだと思います.

本アルバム中,私が最も気に入った曲は,第3曲の “You'll Never Know”.大変ロマンチックな曲で,深夜に聴くにはもってこいです.お勧め!

(*) Martin N-20 ナイロン弦のクラシックギター,これにピックアップを付けて演奏するのが Willie Nelson のスタイル.

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2019/09/21

実のつきが悪いカラスウリ

キクイモの花を見ながら,カラスウリの実のつきもチェックしてみたのですが,こちらも夏の暑さのせいか,台風のせいか,状態は良くありません.そもそも実の数が少なく,この季節であれば見られるはずのウリ坊状態の実がほとんど見られないのです.真夏に花がたくさん咲いていたことは確認済みなので,花が終わってからの条件が悪かったということなのでしょう.

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毎年楽しみにしているカラスウリ(昨シーズンの記事はこちら)なのですが,晩秋の散歩の楽しみが一つ減ってしまいそうで気がかりです.

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2019/09/20

今年のキクイモは不作

ちょうど一年前にも,この記事キクイモの開花を報告したのですが,今年もその季節がやってきました.と言っても,今年は夏の暑さのせいか,先週の台風の風雨のせいか,はたまたクズの勢いが強くてキクイモが負けてしまったのか,花の数も勢いもありません.すでに花の盛りを過ぎているのは間違いないのですが,今年のキクイモは目立ちません.以前は河原を埋め尽くすように咲いていたこともあったのですが.

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台風が連れてきた熱波が過ぎ去り,ようやく秋らしくなってきたので日中散歩に出てみたのですが,日向を歩くとまだまだ暑く,たっぷりと汗をかいてしまいました.本当に秋らしくなるのはあと1,2週間後でしょうか?

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2019/09/16

秋空の下でタカ探し

昨日は曇りのち雨の天気予報だった割には朝から快晴に近く晴れ渡り,絶好のお出かけ日和.ちょうど秋の渡りのシーズンも中盤を過ぎていたので,最後のチャンスと家人とともにタカ渡りを見に行くことにしました.

条件の良い場所は限られており,かつたくさんの眼があったほうが発見確率も識別確度も高いので,この時期に常時観察を続けているサイトまで車を飛ばして仲間に加えてもらうことにしました.

全く初めて行くところなので,駐車場の位置や観察サイトへのトレイルなど試行錯誤はあったものの,自宅を出てから1時間ほどで現地に到着.5, 6人のメンバーがすでに陣取っていました.小高い丘の頂上の木を伐採して見晴らし台にしてあるところで,180度以上の視界が得られる素晴らしいところでした.大きなあずまやもあり,陽射しを避けて観察できるのも良いです.

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私たちが到着したのは,ちょうど間近にハチクマが2羽出ているときだったのですが,すぐに近くの丘の森の中に降りてしまいました.ハチクマはオスとメス,成長と幼鳥とで体色の変化が大きく,場数を踏んでいない私たちにとってはなかなか同定が難しい種です.

それから約3時間,おしゃべりをしながらタカを探してはトビだ,サシバだ,ツミだと言っているうちに終了.最初は幅の広い雲の帯が空の半分を覆っていたのですが,この雲は間もなく無くなり,思っても見なかった快晴の空が広がりました.北東からの涼しい風も心地よく,出現数は少なかったものの,久しぶりに広大な空の中でのタカ探しを楽しみました.

近くのお蕎麦屋さんで地粉を使った手打ちそばを食べ,車を飛ばして午後早めに帰宅.

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2019/09/13

咲き誇るセンニンソウ

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台風の熱気が去ってようやく涼しくなってきたので,久しぶりに近所を散歩.気温は高くても秋は確実に進んでおり,クズの花はそろそろ終わりで,キクイモ花もいつの間にか盛りを過ぎ,今はセンニンソウが花盛りを迎えていました.

マント群落に絡まるように多数の白い花が群れて咲くので非常に豪華に見えます.白い十字の花弁(実は萼片)と多数の雄蕊が優雅さを盛り立てます.

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今日は厚い雲に覆われて光は良くなかったのですが,暗い林縁でも非常によく目立っていました.

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2019/09/10

台風の高分解能風予報を

アジア名 FAXAI こと台風15号が関東地方を直撃しました.数日前から天気予報の進路予想を見ていると,当初予想よりも西寄りの進路を取る傾向に変わってきたので,これはやばいと警戒をしていました.台風は(北半球では)反時計回りの渦なので,進行方向に対して右側に強風・強雨域が発達し,逆に左側は風も雨もさほど強くなりません.この性質は台風の進む速度が大きければ大きいほど強調されていきます.従って台風の進路の左右どちらに自分が位置するかで天と地ほどの差が出るのです.台風が西側のコースを取れば,我が家が台風の右側に位置するようになるので警戒を強めたのです.

台風が我が家に最接近していた昨日の午前6時ころは,風は強いものの暴風というほどではなく,何とか外も歩ける程度だったので,ひょっとして東に逸れたか?助かったかな?と思ったのですが,後刻の天気予報の台風の経路を見ると,確かに東京湾に入ってから東に大きく向きを変えたことがわかりました.そしてその進路右側の市原市や君津市には大きな被害をもたらしました.

今回,インターネット上で台風の進路予想を何度も調べたのですが,大縮尺の地図に進路予想を書き込んだものは皆無でした.つまり 10 km,20 km の分解能での進路予想は出されていないのです.しかし前述の通りこの 10 km,20 km の差が大きな違いを生むので,たとえ接近の直前であっても,つまり予報ではなく現状を外挿した成り行きであっても,その情報には高い価値があります.

なぜそのような情報が出されないのでしょうか?考えられる一つの理由は,それほどの予測技術が無いから.台風中心の経路を進路とするのであれば,台風の中心を求めなければなりませんが,そもそも台風の中心を定義するのは簡単ではありません.

いや,本稿の趣旨からすると,台風の中心位置などどうでもよいので,高分解能の強風・強雨域分布の予測があれば,それでよいのです.強雨域に関しては “雨雲ズームレーダー” というものがよく知られており,スマートフォンでも簡単に見られるようになりました.河川情報を加えた国土交通省の XRAIN情報サイトもあります.しかし強風域についてはこのようなものは一つも無いのです.

多地点のドップラー・レーダーの情報を統合し,強風域の現状表示と短期予測をすることは可能だと思いますが,それが一般の気象予報にまで実用化されていないのです.竜巻の少ない日本にはドップラーレーダー自体が少ない(竜巻の本場アメリカには NEXRAD という観測ネットワークがあります)のですが,それでも関東平野は比較的配置数が多いところで,少なくとも成田空港,羽田空港,千葉県柏市の気象大学校(近隣に2棟ほど高層ビルがあるらしく,東側2方向に盲点があるのが明確にわかるのがご愛敬)の3拠点,さらに国土交通省の河川管理用レーダー網も整備中です.自衛隊や在日米軍のドップラー・レーダーの活用は無理として,これらの情報を統合して強風域の分布を 1 km 程度の分解能で予測できるようになればいいと思います.

観測するだけで強風被害が防げるわけではありません.しかし,台風通過時にどの程度の風速が何秒間持続しているか,ガストの分布やその強度が実際に観測できれば,例えば鉄塔や電柱,あるいは建築工事機材の設計・設置基準の向上に役立ち,ひいては被害の低減につながることは確かです.

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2019/09/08

IOC List の属種同名

今回はちょっと悪乗りです.前回の投稿では属は異なるが種小名が同じ種について調べました.今回は,属名と種小名が同一の種がどれくらいあるか調べてみました.これにはもちろん前々回に紹介した反復名 tautonym が含まれますが,そうでないものも多いのです.これを何と名付けようかと悩んだのですが,日本語にすると “属種同名” ということになるでしょうか.うーん,あまり良くないですね.

属名は鳥類の分類体系全体を通して唯一性があるのですが,種小名と亜種名には唯一性はありません.しかし属名と同一の種小名や亜種名が多いのはなぜだろう?と思います.からまでは語尾に規則が設けられているのですが,以下にはその規則がないため,このような重複が起こりえます.やはり種の多様性に対して語彙が少ないということが本質的だと思いますが,いかがでしょう?

IOC List の中で,属名であると同時に最も多数の種に共有されている種小名は “melanotis” です.これはギリシャ語で黒いという意味の melano から採られた言葉ですが,これを名前とする属が Melanotis です.和名としては “アオアシマネツグミ属” が当てられています.

小さな属で,含まれる種はたったの2種.一つは “Melanotis caerulescens”,英名が Blue Mockingbird,和名がアオマネシツグミです.この種には基亜種を含めて2亜種があります.もう一つの種は “Melanotis hypoleucus”,英名が Blue-and-white Mockingbird,和名がシロハラアオマネシツグミです.

なお,マネシツグミを代表するのは Mimus マネシツグミ属に属する種で,Melanotis とはやや離れた位置にあります.下のリストに1種だけ Mimus 属の種が出てきますので確認してください.

一方,種小名が melanotis である種は全部で11種.反復名はありません.下にリストを出しておきますが,どうやら耳が黒いという名前を持つものが多いようです.

属名 種小名 英名 和名
Odontophorus melanotis Black-eared Wood Quail ミミグロウズラ
Hapalopsittaca melanotis Black-winged Parrot クロガタインコ
Ailuroedus melanotis Black-eared Catbird ミミグロネコドリ
Manorina melanotis Black-eared Miner ミミグロミツスイ
Pteruthius melanotis Black-eared Shrike-babbler クリノドモズチメドリ
Oriolus melanotis Olive-brown Oriole チモールコウライウグイス
Mimus melanotis San Cristobal Mockingbird サンクリストバルマネシツグミ
Coccopygia melanotis Swee Waxbill キバラカエデチョウ
Basileuterus melanotis Black-eared Warbler ミミグロアメリカムシクイ
Hemispingus melanotis Black-eared Hemispingus ミミグロモリフウキンチョウ
Coryphaspiza melanotis Black-masked Finch マミジロシトド

同様の分析を亜種名に対しても行うことができるのですが,あまり意味がなさそうなので,詳細は省略します.

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2019/09/05

IOC List 最多の種小名 affinis

先日の投稿の続編です.IOC List を分析すると,いろいろと面白い トリヴィア が見つかります.

反復名 tautonym のことを調べていたら,以前から気になっていた同名 homonym についての解説に行き当たりました.これは異なる種に同じ学名,つまり同じ属名,同じ種小名が付いているものです.もちろんこれはあってはならない事なので,後から付けられた同名は無効となります.

当然ながら IOC List にはこのような学名はありません.仮にあったとすると,拙作の辞書参照型ソーティングフィルタである Refsort/Ruby がたちどころに撥ねてくれます.

条件を緩めて,属名は異なるが種小名は同じものを “同種小名” と呼ぶことにします.IOC List にこの同種小名がどれくらい含まれているのか調べてみましたが,実に膨大な数があることがわかりました.少なくとも 1,600 組の同じ種小名を共有するグループがあり,それらに含まれている種は合計約 6,600 種に上ります.IOC List 全体が種レベルでは約 11,000 種ですから,半分以上の種が他の種と種小名を共有していることになります.これは実に驚くべきことです.

種小名は,同じ属に属する個々の種を区別するための形態上の特徴や命名者から成っている場合が多いのですが,上記の事実は種小名には実はそれほど多くの語彙が無いということを表しています.意外と多様性が無いのですね.欧州系の人名はキリスト教の聖人から採ることが多く,さほど種類が多くないのとよく似ています.

その中でも最も多数の種を含む種小名は何かというと “affinis” です.この単語はラテン語では「類似」とか「関連」という意味があるのですが,時代が下ってくると「親和性」という意味も持たされるようになったようです.IOC List にはこの種小名を持つ種が30種も登録されています.その全てを以下にリストします.分類は IOC List の順です.日本で見られる鳥がほとんど無いのが残念.

属名 種小名 英名 和名
Aythya affinis Lesser Scaup コスズガモ
Batrachostomus affinis Blyth's Frogmouth コガマグチヨタカ
Caprimulgus affinis Savanna Nightjar シロアゴヨタカ
Aegotheles affinis Vogelkop Owlet-nightjar コウチシマズクヨタカ
Collocalia affinis Plume-toed Swiftlet ケアシシロハラアナツバメ
Apus affinis Little Swift ニシヒメアマツバメ
Treron affinis Grey-fronted Green Pigeon ハイビタイアオバト
Sarothrura affinis Striped Flufftail クリオシマクイナ
Ninox affinis Andaman Hawk-Owl アンダマンアオバズク
Penelopides affinis Mindanao Hornbill ミンダナオカオグロサイチョウ
Coracias affinis Indochinese Roller インドシナブッポウソウ
Veniliornis affinis Red-stained Woodpecker ウスアカハゲラ
Lepidocolaptes affinis Spot-crowned Woodcreeper ホシガシラオニキバシリ
Scytalopus affinis Ancash Tapaculo アンカシュオタテドリ
Empidonax affinis Pine Flycatcher マツメジロハエトリ
Climacteris affinis White-browed Treecreeper マミジロキノボリ
Melithreptus affinis Black-headed Honeyeater ズグロミツスイ
Tephrodornis affinis Sri Lanka Woodshrike スリランカモズサンショウクイ
Colluricincla affinis Waigeo Shrikethrush ワイゲオモズツグミ
Terpsiphone affinis Blyth's Paradise Flycatcher ヒガシサンコウチョウ
Cyanocorax affinis Black-chested Jay ムナグロルリサンジャク
Mirafra affinis Jerdon's Bush Lark インドヤブヒバリ
Thapsinillas affinis Seram Golden Bulbul キンイロヒヨドリ
Phylloscopus affinis Tickell's Leaf Warbler キバラムシクイ
Argya affinis Yellow-billed Babbler キバシヤブチメドリ
Arachnothera affinis Streaky-breasted Spiderhunter ムネシマクモカリドリ
Mycerobas affinis Collared Grosbeak キバシキンクロシメ
Hemignathus affinis Maui Nukupuu マウイカワリハシハワイミツスイ
Euphonia affinis Scrub Euphonia ヤブスミレフウキンチョウ
Emberiza affinis Brown-rumped Bunting コシアカホオジロ

植物にもこの種小名を持つものが多くあるようで,最多の同種小名の一つだろうと思われます.次点以降では色に関する種小名が目立ち,例えば albicollis(白い襟元),bicolor(2色),cinerea(灰白色),melanocephala と melanocephalus(黒い頭部),ruficollis(茶色の襟元),unicolor(単色),versicolor(変色),viridis(緑色),などなど.

ちなみに亜種のレベルで同様のことを行うと,もっとすごい名前が見つかります.それは “minor” で「小さい」という意味ですが,この名前を持つ亜種は IOC List の中に79亜種もあります.こちらのリストは省略します.

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2019/08/22

重連種名,改め反復名

先日の投稿のアップデートです.

まず,私が勝手に “重連種名” と名付けた名前ですが,分類学ではちゃんと “反復名 tautonym” という名前が付いていました.しかも反復名を付けることは動物以外の命名規約では禁止されているそうです.まあ紛らわしいですから当然ですね.でも,Pica pica pica なんて面白いのは確か.

先日の投稿では,IOC List v9.2 のうち,属名,種小名,亜種名のすべてが同一であるもの50種を掲載しました.これは反復名を持つ種のうち亜種名にも反復があるものに限っているので,反復名より厳しい条件になっています.単なる反復名という範囲に条件を緩めると,IOC List v9.2 では92種になることがわかりました.

先日掲載のリストは,種の掲載順におかしなところがあったようなので,それもあわせて修正したリストを改めて掲載します.

属名 種小名 亜種名 英名 和名
Casuarius casuarius   Southern Cassowary ヒクイドリ
Pipile pipile   Trinidad Piping Guan トリニダードナキシャクケイ
Mitu mitu   Alagoas Curassow チャバラホウカンチョウ
Pauxi pauxi Helmeted Curassow カブトホウカンチョウ
Falcipennis falcipennis   Siberian Grouse カマバネライチョウ
Lagopus lagopus Willow Ptarmigan カラフトライチョウ
Lerwa lerwa   Snow Partridge ユキシャコ
Francolinus francolinus Black Francolin ムナグロシャコ
Perdix perdix Grey Partridge ヨーロッパヤマウズラ
Coturnix coturnix Common Quail ヨーロッパウズラ
Gallus gallus Red Junglefowl セキショクヤケイ
Crossoptilon crossoptilon White Eared Pheasant シロミミキジ
Anser anser Greylag Goose ハイイロガン
Coscoroba coscoroba   Coscoroba Swan カモハクチョウ
Cygnus cygnus   Whooper Swan オオハクチョウ
Radjah radjah Raja Shelduck シロガシラツクシガモ
Tadorna tadorna   Common Shelduck ツクシガモ
Histrionicus histrionicus   Harlequin Duck シノリガモ
Apus apus Common Swift ヨーロッパアマツバメ
Amazilia amazilia Amazilia Hummingbird チャムネエメラルドハチドリ
Coeligena coeligena Bronzy Inca ブロンズインカハチドリ
Ensifera ensifera   Sword-billed Hummingbird ヤリハシハチドリ
Tetrax tetrax   Little Bustard ヒメノガン
Guira guira   Guira Cuckoo アマゾンカッコウ
Crex crex   Corn Crake ウズラクイナ
Porzana porzana   Spotted Crake コモンクイナ
Porphyrio porphyrio   Western Swamphen セイケイ
Leucogeranus leucogeranus   Siberian Crane ソデグロヅル
Antigone antigone Sarus Crane オオヅル
Grus grus   Common Crane クロヅル
Poliocephalus poliocephalus   Hoary-headed Grebe シラガカイツブリ
Himantopus himantopus   Black-winged Stilt セイタカシギ
Vanellus vanellus   Northern Lapwing タゲリ
Jacana jacana Wattled Jacana ナンベイレンカク
Limosa limosa Black-tailed Godwit オグロシギ
Gallinago gallinago Common Snipe タシギ
Ichthyaetus ichthyaetus   Pallas's Gull オオズグロカモメ
Alle alle Little Auk ヒメウミスズメ
Puffinus puffinus   Manx Shearwater マンクスミズナギドリ
Ciconia ciconia White Stork シュバシコウ
Sula sula Red-footed Booby アカアシカツオドリ
Anhinga anhinga Anhinga アメリカヘビウ
Cochlearius Cochlearius Boat-billed Heron ヒロハシサギ
Nycticorax nycticorax Black-crowned Night Heron ゴイサギ
Clanga clanga   Greater Spotted Eagle カラフトワシ
Milvus milvus Red Kite アカトビ
Buteo buteo Common Buzzard ヨーロッパノスリ
Bubo bubo Eurasian Eagle-Owl ワシミミズク
Colius colius White-backed Mousebird セジロネズミドリ
Todus todus   Jamaican Tody ジャマイカコビトドリ
Galbula galbula   Green-tailed Jacamar ミドリオキリハシ
Indicator indicator   Greater Honeyguide ノドグロミツオシエ
Pyrilia pyrilia   Saffron-headed Parrot アカメインコ
Mascarinus mascarinus   Mascarene Parrot マスカリンインコ
Suiriri suiriri Suiriri Flycatcher スイリリハエトリ
Tyrannus tyrannus   Eastern Kingbird オウサマタイランチョウ
Rupicola rupicola   Guianan Cock-of-the-rock イワドリ
Cotinga cotinga   Purple-breasted Cotinga ムネムラサキカザリドリ
Porphyrolaema porphyrolaema   Purple-throated Cotinga ハシブトカザリドリ
Manacus manacus White-bearded Manakin シロクロマイコドリ
Tchagra tchagra Southern Tchagra マユジロヤブモズ
Xenopirostris xenopirostris   Lafresnaye's Vanga クロアゴハシボソオオハシモズ
Oriolus oriolus   Eurasian Golden Oriole ニシコウライウグイス
Temnurus temnurus   Ratchet-tailed Treepie キリオオナガ
Pica pica Eurasian Magpie カササギ
Pyrrhocorax pyrrhocorax Red-billed Chough ベニハシガラス
Riparia riparia Sand Martin ショウドウツバメ
Incana incana   Socotra Warbler ソコトラムシクイ
Regulus regulus Goldcrest キクイタダキ
Troglodytes troglodytes Eurasian Wren ミソサザイ
Luscinia luscinia   Thrush Nightingale ヤブサヨナキドリ
Calliope calliope Siberian Rubythroat ノゴマ
Phoenicurus phoenicurus Common Redstart シロビタイジョウビタキ
Oenanthe oenanthe Northern Wheatear ハシグロヒタキ
Cinclus cinclus White-throated Dipper ムナジロカワガラス
Petronia petronia Rock Sparrow イワスズメ
Quelea quelea Red-billed Quelea コウヨウチョウ
Amandava amandava Red Avadavat ベニスズメ
Coccothraustes coccothraustes Hawfinch シメ
Pyrrhula pyrrhula Eurasian Bullfinch ウソ
Chloris chloris European Greenfinch アオカワラヒワ
Carduelis carduelis European Goldfinch ゴシキヒワ
Serinus serinus   European Serin セリン
Spinus spinus   Eurasian Siskin マヒワ
Xanthocephalus xanthocephalus   Yellow-headed Blackbird キガシラムクドリモドキ
Icterus icterus Venezuelan Troupial ムクドリモドキ
Dives dives   Melodious Blackbird ウタムクドリモドキ
Curaeus curaeus Austral Blackbird ミナミムクドリモドキ
Cardinalis cardinalis Northern Cardinal ショウジョウコウカンチョウ
Cyanicterus cyanicterus   Blue-backed Tanager セアオフウキンチョウ
Melanodera melanodera White-bridled Finch ノドグロシトド
Diuca diuca   Common Diuca Finch ジュウカチョウ

こうやって見ると,日ごろ目にしている鳥の中にも結構反復種が含まれていることがわかります.

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2019/08/18

IOC List v9.2 の重連種名

ここ数日,IOC List のサイトが何者かにハックされ,巧妙にアダルトサイトへ誘導されるようになっていたのですが,ようやく修正されて再びアクセスできるようになりました.

ところで,2016年5月のこの記事で IOC List に含まれる重連種名を紹介しました.重連種名とは私の勝手な命名で,属名と種小名が同一の綴り(つまりその属の模式種)で,さらに基亜種も定義されているもののことです.基亜種名は定義により種小名と同一なので,結局3つの同一のラテン語が並んでいる亜種名が存在することになります.

幸運が重ならないと属名と種小名が同一になることはありません.仮に属名と種小名が同じ単語に由来していたとしても,ラテン語の語尾変化規則により,属名の語尾と種小名の語尾が一致するとは限らないからです.

前回調べたのは IOC List v6.2 についてだったのですが,今回,最新の v9.2 について調べてみました.すると前回調査とはだいぶ入れ替わっていることがわかりました.このところ IOC は亜種の整理を進めてきたので,様相が変わってきたのです.以下に基亜種名を省略したリストを示します.

属名 種小名 英名 和名
Pauxi pauxi Helmeted Curassow カブトホウカンチョウ
Lagopus lagopus Willow Ptarmigan カラフトライチョウ
Francolinus francolinus Black Francolin ムナグロシャコ
Perdix perdix Grey Partridge ヨーロッパヤマウズラ
Coturnix coturnix Common Quail ヨーロッパウズラ
Gallus gallus Red Junglefowl セキショクヤケイ
Crossoptilon crossoptilon White Eared Pheasant シロミミキジ
Anser anser Greylag Goose ハイイロガン
Radjah radjah Raja Shelduck シロガシラツクシガモ
Apus apus Common Swift ヨーロッパアマツバメ
Amazilia amazilia Amazilia Hummingbird チャムネエメラルドハチドリ
Coeligena coeligena Bronzy Inca ブロンズインカハチドリ
Antigone antigone Sarus Crane オオヅル
Jacana jacana Wattled Jacana ナンベイレンカク
Limosa limosa Black-tailed Godwit オグロシギ
Gallinago gallinago Common Snipe タシギ
Alle alle Little Auk ヒメウミスズメ
Ciconia ciconia White Stork シュバシコウ
Sula sula Red-footed Booby アカアシカツオドリ
Anhinga anhinga Anhinga アメリカヘビウ
Cochlearius cochlearius Boat-billed Heron ヒロハシサギ
Nycticorax nycticorax Black-crowned Night Heron ゴイサギ
Milvus milvus Red Kite アカトビ
Buteo buteo Common Buzzard ヨーロッパノスリ
Bubo bubo Eurasian Eagle-Owl ワシミミズク
Colius colius White-backed Mousebird セジロネズミドリ
Suiriri suiriri Suiriri Flycatcher スイリリハエトリ
Manacus manacus White-bearded Manakin シロクロマイコドリ
Tchagra tchagra Southern Tchagra マユジロヤブモズ
Pica pica Eurasian Magpie カササギ
Pyrrhocorax pyrrhocorax Red-billed Chough ベニハシガラス
Riparia riparia Sand Martin ショウドウツバメ
Regulus regulus Goldcrest キクイタダキ
Troglodytes troglodytes Eurasian Wren ミソサザイ
Calliope calliope Siberian Rubythroat ノゴマ
Phoenicurus phoenicurus Common Redstart シロビタイジョウビタキ
Oenanthe oenanthe Northern Wheatear ハシグロヒタキ
Cinclus cinclus White-throated Dipper ムナジロカワガラス
Petronia petronia Rock Sparrow イワスズメ
Quelea quelea Red-billed Quelea コウヨウチョウ
Amandava amandava Red Avadavat ベニスズメ
Coccothraustes coccothraustes Hawfinch シメ
Pyrrhula pyrrhula Eurasian Bullfinch ウソ
Chloris chloris European Greenfinch アオカワラヒワ
Carduelis carduelis European Goldfinch ゴシキヒワ
Icterus icterus Venezuelan Troupial ムクドリモドキ
Curaeus curaeus Austral Blackbird ミナミムクドリモドキ
Cardinalis cardinalis Northern Cardinal ショウジョウコウカンチョウ
Melanodera melanodera White-bridled Finch ノドグロシトド
Diuca diuca Common Diuca Finch ジュウカチョウ

これらのうち,タシギカササギは有名なので,学名のトリビアとして知っている人も多いと思います.

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2019/08/06

イギリスの神髄を守る者たちの心のひだ

日の名残り [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray] - アンソニー・ホプキンス(出演),エマ・トンプソン(出演)

重厚な作品です.第1次世界大戦と第2次世界大戦のはざまの時期に,ドイツに融和的なイギリスの貴族に使えた執事と使用人たちの物語.日本にはこのような職種に就いている人は極めて少数なのでなじみが薄く,執事や使用人たちの仕事の内容や日常生活を垣間見るという意味でも楽しめました.

原作者は日系イギリス人のカズオ・イシグロ.つい最近ノーベル文学賞を受賞したということで,作品の評価も高まったことでしょう.

物語は回想形式で始まります.第2次世界大戦後に,かつて仕えた貴族の屋敷が売りに出され,それをアメリカ人の富豪が買って暮らし始めます.新しい主人への仕え方に悩んでいた時,主人から休暇をもらい,かつての女中頭(ハウスキーパー)を訪ねるという風に物語は始まります.そこから1930年代の回想シーンへ話が飛んでいきます.

イギリス貴族の暮らしぶりを忠実に描いているのだと思いますが,その重厚さがよく表現されています.特に賓客を招いて外交問題を議論する会議を行うときの舞台裏を描くことで,貴族の館を運営するとはどういうことかがよく理解できるようになっています.これは原作のおかげか?それとも演出のおかげか?仕える主人への忠誠,執事としての矜持と誇り,豪華なお屋敷と調度品,古き良き時代のイギリスの神髄を見ることができます.本当にこういう世界があったのですね.

使用人たちも人間なので,それぞれの事情があり,考え方があり,人生があります.それを主人の側とどのように折り合いをつけていくのか,みな頭を悩ませながら生きていかなければなりません.しかしこの執事は,自らの内面を顔に出すことはなく,仕事の同僚である自分の父親が屋敷内で息を引き取ったときですら接客を優先したのでした.淡い恋心を抱いていた女中頭から他の男と結婚するので辞めたいといわれた時にも,儀礼的な挨拶をするのみ.しかし内心どうだったのだろうと観る者が思わずにはいられない,そういう演技や演出がこの映画の見どころです.

主演のアンソニー・ホプキンズはまさに適役.この重厚な執事の役を見事に演じました.仕事への献身ぶりを全身で演じたところは見事としか言いようがありません.メソッド演技法に批判的なホプキンズが,それによらずにどのような演技を行えるのか,この作品をじっくりと鑑賞するとよいでしょう.また,この人の演技は表情の作り方が独特ですが,同等レベルの演者としてはメソッド演技法の実現者であるジャック・ニコルソンがあげられると思います.この二人の演技を比較してみることは非常に興味深いです.

エマ・トンプソンも大変良かった.気配りができてちょっと気の強いベテランの女中頭を大変うまく演じました.「いつか晴れた日に」で共演したケイト・ウィンスレットが出演者に入っていてもよかったと思いますが,ちょっと贅沢すぎるか.若いころのヒュー・グラントが軽めの脇役で出ているのですが,よく観ないと本人とはわかりませんでした.あとジュディ・デンチが出てくれば,もう言うことはなかったですね.

映画が大変良かったので,原作を読んでみようと思っています.

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2019/07/10

ひっそりと咲いた貴婦人

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散歩のときにふと見かけたタイザンボクの花です.大変大きく見映えがしますが,谷津のわきの暗いマント群落の中で,人の目の高さでひっそりと咲いていたので,一見すると地味な印象を受けます.しかし,よくよく眺めてみるとなかなか優雅な花ですね.白い花弁が素晴らしいです.

英語では “Magnolia” と言いますが,アメリカのミシシッピ州ルイジアナ州の州花となっているそうで,特にミシシッピ州には “Magnolia State” という愛称があるそうです.車のナンバープレートがそうだったっけな?

以前私が台北で定宿にしていたホテルも旧名が Magnolia Hotel でした.

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ガマとヒメガマ

Summeraroundhome_jul2019_0003m

我が家の周囲には谷津田が多いのですが,この辺りはもともとは低湿地帯で,そこを土地改良して水田の区画が整然と広がっている,そういうところです.従って,圃場の手入れが緩くなって草刈りの圧力が弱まると,もともとあった植物が顔を出し始めることは当然で,最近ではヨシとガマが田んぼの際や谷津のヘリに多く見られるようになってきました.

特に最近まで谷津田だったところを掘り下げて遊水池を作った場所があるのですが,遊水池になってからというもの,ヨシが急速にはびこりだし,昨年あたりからはガマの群落も見られるようになってきました.

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昨年はガマが出てきたと気が付く程度だったのですが,今年はガマのほかにヒメガマのまとまった群落も見られるようになりました.当地で見られるヒメガマは,ガマに比べると細身で色も薄くて優雅.ヒメガマという名前にふさわしい姿です.

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2019/07/07

Windows10をクリーンインストール

フラッシュメモリの在庫がだぶついてきたことから,M.2 タイプの SSD が安くなってきました.昨年末ころから物色していたのですが,ここへきてお目当ての NVM Express 準拠のものが 2万円を切ってきたので先月初めに購入しておいたのです.しばらく放っておいたのですが,先月中旬に Windows10 が 1903 にアップデートされたのを機に,久しぶりに OS をクリーンインストールしてシステムボリュームに長年たまったゴミを一掃しようと思い立ちました.

クリーンインストールには周到な準備が必要です.現状のユーザーファイルやアプリケーションの設定をできる限り完全にバックアップし,OS のインストール直後に何をどのような手順で再インストールしていくのか,その手順書作りから始めなければなりません.

特に昨今サブスクリプション方式のアプリケーションが増えたので,それらについてはライセンスの移動をどうやって行うのか,一つ一つ確認を取りながらの作業になります.

これらの手順をメモに書き留めて印刷し,最終的なバックアップを取り,ライセンス移動のための手続きを終えたら,いよいよ開始です.

まずはハードウェア.久しぶりに PC のケースを開け,積もったほこりを取り除き,不要になった ドライブを取り外し,新しい SSD を M.2 ソケットに取り付け,さらに SATA ケーブルの付け外しを行ってケースのふたを閉めます.

電源を入れ,BIOS のセットアップで HDD 関連のパラメータを修正しますが,BIOS 上で NVMe ドライブが見えません.困ったなと思ったのですが,こんな時のために準備してある Gparted というパーティション・エディタで覗いてみるとちゃんと認識されているので安心してインストール開始です.

インストール用の DVD からブートすると 20 分ほどでまずは立ち上がるようになります.Windows 自体のライセンスとユーザーアカウントがちゃんと移行していることを確認し,セキュリティソフトなどの重要度の高いものから再インストールしていきます.単にインストールするだけではなく,各種設定も復元しなければならないので,骨の折れる仕事です.これを延々と続けて,ようやく元の環境に近づいていきます.アプリケーションは,インストールした後で実際に立ち上げてファイルを読み書きしてみる必要もあるので,いきおい時間がかかります.

午後1時ころから作業を始めて夜10時ころにようやくひとまず完了です.今回は Microsoft Office を 64bit にしてみました.Microsoft はこれまで長い間 32bit 版を推奨してきたのですが,私は特に巷のライブラリやマクロを使っているわけでもないので,しばらくこれを使ってみるつもりです.

いろいろなゴミファイルが無くなり,心なしか Windows のブートやアプリケーションの起動も早くなったような気がするのですが,きっと気のせいでしょう.しかしそれでも,システムをゼロから新しくするのは気持ちの良いものです.

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2019/06/24

梅雨のアジサイ

当地では今年は梅雨らしい梅雨が続いています.定期的にたっぷりと雨が降り,数日前のように蒸し暑くて不快な日があるかと思うと,今日のように冷たい雨が降って肌寒いという事が繰り返されています.

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我が家には何株かもらってきて植えたアジサイがあるのですが,今日は未明からの雨でしっとり濡れて,いかにも梅雨らしい風情を演出してくれています.

Earlysummerhome_jun2019_0012m

私自身はガクアジサイのほうが好みなのですが,我が家の株は弱ってきて花付きが良くありません.周囲の木を剪定して日光を入れてあげないといけないのでしょうか?

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2019/06/23

IOC List v9.2 Released

IOC World Bird List v9.2 が2019年6月22日にリリースされました.これは2019年2回目のリリースで,年内にはもうリリースはありません.前回 v9.1 のリリースが2019年1月20日だったので,今回は約5か月の更新間隔となっており,比較的短期間でのリリースとなっています.担当者が夏休みに長期間不在になることを示唆しているように見えます.うらやましい(勝手な想像).

今回収録されたのはが 40,が 250,が 2,320,現生が 10,758,絶滅種が 158,亜種が 20,034 です.これまでと同様,上目 (Superorder) の PALEOGNATHAE(古顎類)NEOGNATHAE(新顎類)や,系統群であるNEOAVES がリストの最上位の階層に載っています.

今回は非常に大きな変更が行われていますので注意が必要です.このブログで4月に掲載したニュースで予告した通り,目の順番が大幅に入れ替わりました.一例でいうと,NEOAVES 最初の目は,従来のアビ目 GAVIIFORMES からヨタカ目 CAPRIMULGIFORMES に変更になりました.ただしヨタカ目とアマツバメ目 APODIFORMES はまだ統合されておらず,提案段階です.詳しくは,IOC の Web Site のこのページをご覧ください.

今回は日本のバーダーにとって,一つややこしい変更が入っています.冬の海ガモの代表格であるビロードキンクロです.従来の分類では(日本鳥類目録 v7 も準拠),

  属名 種小名 亜種名 Authority
ビロードキンクロ
  Melanitta fusca   "(Linnaeus, 1758)"
亜種ヨーロッパビロードキンクロ(基亜種)
  M. f. fusca "(Linnaeus, 1758)"
亜種アメリカビロードキンクロ
  M. f. deglandi "(Bonaparte, 1850)"
亜種ビロードキンクロ
  M. f. stejnegeri "(Ridgway, 1887)"

となっていました.IOC List では従来から M. f. deglandi 亜種アメリカビロードキンクロを種に昇格させていたのですが,今回はさらに M. f. stejnegeri も種に昇格させてしまいました.するとその和名が問題になります.

従来通り M. fusca をビロードキンクロと呼び続けるのはもはや適当ではありません.日本で見られるのは M. stejnegeri なので,こちらをビロードキンクロと呼ぶべきでしょう.すると,従来ビロードキンクロと呼んでいた M. fusca の和名が無くなります.従って今回はこちらには「ヨーロッパビロードキンクロ」というやや長ったらしい名前を付けることにしました.従来も亜種としてはそう呼ばれていたので,この変更は自然だと思います.従ってまとめると次のようになります.

  属名 種小名 Authority
ヨーロッパビロードキンクロ
  Melanitta fusca "(Linnaeus, 1758)"
アメリカビロードキンクロ
  M. deglandi "(Bonaparte, 1850)"
ビロードキンクロ
  M. stejnegeri "(Ridgway, 1887)"

日本のバーダーにはあまり関係ありませんが,毎度のことながら,熱帯地方の地域固有種が新種として登録,あるいは亜種から種に昇格しています.ニューギニア周辺やアマゾンの流域が主なものです.さすがに温帯地域では新種はありませんが,しかしセグロカモメ類やメジロ類,ウグイス類のように分類が流動的なものも多いので,日本のバーダーになじみのある種で今後再編が行われる可能性は高いと思われます.楽しみ半分,不安半分というところでしょうか.


IOC 本家の Master List(学名と英名を収録)を編集して,Refsort/Ruby 用の辞書ファイルを作りましたので,Microsoft One Drive 上に設けた “IOC List Archive„ にアップロードしました.

この辞書ファイルの正式なエンコーディングは UTF-8 です.従って,Linux 上で使う分には問題は生じませんが,Windows 上で使う際には,入力ファイルは UTF-8 でエンコードされ(辞書ファイルと入力ファイルのエンコーディングを揃える),かつ最初の行に

#!E -*- coding: UTF-8 -*-

というおまじないを書いておかないとエンコーディングの解釈がうまくいきませんのでご注意ください.

しかし,Windows 上でのデフォルトのエンコーディングである US-ASCIIWindows-31J でも手間なく使えるように,エンコーディング指定なしの汎用 US-ASCII 版もアップしておきます.これはどのようなプラットフォームであっても,そのプラットフォームのデフォルトの Locale が無条件で US-ASCII を解釈できることを利用したものです.ただし,欧文のアクセントウムラウトを含む文字は,それらを含まない最も近い文字に置き換えられています.正版はあくまで UTF-8 なので,特に人名を含む種や,種の Authority を見るときにはご注意ください.


このオリジナル版の辞書ファイルに続いて,和名追加辞書 2 種と,IOC Master List(Excel ワークシート)の和名追加版も同時にリリースしました.和名追加辞書についても,UTF-8 でエンコードしてあるものが正版ですが,Windows などでの使い勝手を考慮して Windows-31J でエンコードしたものも同時にアップしてあります.ただし人名や地名のアクセントやウムラウトなどは,それらを含まない最も近い文字に置き換えてありますのでご注意ください.

単に種名を調べるためだけであれば,和名追加版の Master List が最も便利です.ただし長大なワークシートなので,スクロールして探すのは無理.検索メニューからジャンプするのが便利です.

和名追加版の辞書ファイルのうち,UTF-8 でエンコードしてある ioclist_v92ju.ref は,Linux などで UTF-8 でエンコードした入力ファイルをソートするときに使うことを想定しています.Linux 上で使う際には,入力ファイルの最初の行に上記のようなエンコーディング指定を書く必要はありませんが,Windows 上で使う場合には,入力ファイルは UTF-8 でエンコードされ(辞書ファイルと入力ファイルのエンコーディングを揃える),かつ入力ファイルの最初の行に

#!E -*- coding: UTF-8 -*-

というエンコーディングを指定しておく必要があります.

逆に,Windows 上で Shift-JIS や Windows-31J でエンコードされた入力ファイルを,Windows-31J でエンコードされた辞書ファイル ioclist_v92jw.ref を用いてソートする際には,入力ファイルの冒頭にエンコーディングの指定は必要ありませんが,逆にこの辞書ファイルを Linux 上で使う場合には,入力ファイルは Windows-31J でエンコードされ(辞書ファイルと入力ファイルのエンコーディングを揃える),かつ入力ファイルの冒頭に

#!E -*- coding: Windows-31J -*-

とエンコーディングを指定しておく必要があります.要するに,どのような場合でも辞書ファイルと入力ファイルのエンコーディングを揃え,かつそれぞれの入力ファイルのエンコーディング指定を冒頭に書いておくのが無難です.

これらのファイルは前述のとおり,Microsoft One Drive 上に設けた IOC List 専用のフォルダからダウンロードできます.それには,このブログ右側のコラムの最上段の “Archive„ の中の “IOC List Archive„ をクリックしてください.そうすると One Drive のフォルダに入ることができますので,あとは適当に選んでダウンロードしてください.

さて 2 年ほど前から Master List に多国語版が登場し,ちゃんと和名も載っているのですが,最近の種の分割などに対応しているようには見えず,和名の無い種もたくさんあるようです.そういう場合には,今回アップした各種辞書ファイルか,和名を追記した Master List を参照してみてください.


I am pleased to announce that I have posted reference files for Refsort/Ruby compiled directly from the latest IOC World Bird List v9.2. It contains 10,758 extant species, 158 extinct species and 20,034 subspecies, respectively. Please try it out, and enjoy its capability and speed.

Note that the reference file "ioclist_v92u.ref" is encoded in UTF-8 in order to retain all European accents and umlauts with complete fidelity as they are in the IOC Master List. Therefore, your input file should be encoded in UTF-8 as well, and should contain a magic comment on the top of the file such as;

#!E -*- coding: UTF-8 -*-

For those who want to use Refsort/Ruby in universal ASCII environments, I have posted another reference file "ioclist_v91a.ref" encoded in pure US-ASCII. Note that characters with accents and umlauts have been simplified to their nearest neighbors. So please be careful in particular when you refer to authorities of species.

I have also posted two reference files “ioclist_v92ju.ref” and “ioclist_v92jw.ref” (encoded in UTF-8 and Windows-31J, respectively) which include Japanese names. If you want to refer to Japanese names, please refer to those files. In order to sort a list properly using these reference files, you need to align the encoding of the input file to that of the reference file, and you should add a magic comment specifying the encoding of the input file in the first line of the file, such as UTF-8, US-ASCII or Windows-31J.

A master list in the Excel format containing a column of Japanese names has been posted as well. This would be most convenient.

You can download an appropriate file from my area of Microsoft One Drive by clicking “IOC List Archive„.

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