比較文化心理学として日本人の精神構造を分析
戦略思考ができない日本人 中山 治 (著),価格: \714
私自身,特に若いころは,日本人の心理構造やそれに根ざした社会構造,制度に強い違和感を持ち,居心地の悪い思いをしてきた人間でしたが,この本によって日本文化と日本人の心理の深層構造を理解する「座標軸」を与えられた気がしました.
日本人はこの本で指摘された精神構造を無理に変える必要は無いと思います.それはそれでユニークな価値あるものだからです.しかし他の文化の精神構造と比べてどのような特性を持ち,どういう利害得失を持つのかを自覚しておかなければ,国際社会の中で生きていくのはつらいのではないでしょうか.ややもすると,そのつらさを不必要に強い反駁や憎悪や恐怖に転化してしまう恐れがあります.昨今の「右派」の言動はその一端ではないでしょうか?
著者は戦前戦中の「マインドコントロール」を厳しく批判しています.その厳しさに違和感を感じる向きもあるでしょうが,実例が身近にいたりすると,著者の批判の厳しさもわかる気がします.政策的に国民文化という規模で推し進められたマインドコントロールを解くことはきわめて困難であることも,また事実なのですが.
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