比較制度分析を学ぶための序論
経済システムの進化と多元性―比較制度分析序説 青木 昌彦 (著),価格: \1,785
スタンフォード大学の青木昌彦教授が95年に著した本です.青木教授と言えば「比較制度分析に向けて」という大著が有名ですが,この本はアカデミアの専門家向けで,数理経済学の素養とゲーム理論などの最新の経済学のツールを知らないと読みこなせません.一般の読者にはとても歯が立つ代物ではないので,まずはこの本で序論を学ぶとよいと思います.
この本ではコーポレートガバナンスを一貫して主題として扱います.著者は日本のメインバンク制度とアングロ・アメリカンの株主中心のガバナンスを対比させ,ときにはゲーム理論を用い,制度というものの本質を丁寧に説明してくれます.日本の制度が決して劣っているわけでも,発展段階が遅れているわけでもないと説明した上で,しかし今日のグローバルな経済体制の中で,どのような方向性の変革をすべきかという提言も行っています.この本を読むと経済学にも頼もしい発展があるとわかってうれしくなってきます.制度というものの本質を理解した上でこそ,現実の改革の議論が実りあるものになることでしょう.
経済学を学ぶ学生・研究者,経営者,そして全ての企業人にお勧めです.ただし日本語が読みやすいとはいえないので,通勤電車の中での立ち読みはつらいかも.
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