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2005/01/23

辺縁のコンプレックスが生んだ神聖ローマ帝国

神聖ローマ帝国 講談社現代新書 菊池 良生 (著),価格: \756 (税込)

Shinsei_RomaTeikoku中世ヨーロッパ史を神聖ローマ帝国という切り口で記述した本なのですが,とても読みやすい語りで一気に読めます.神聖ローマ帝国の末期は神聖でもローマでもなかったというところから話が始まるのが読者を惹きつけてとてもうまいところです.中世ヨーロッパ史のご多分に漏れず,数多くの王朝,諸侯,教皇らが家系も含めて入り乱れての権力闘争ですので,とてもついていけないのが普通なのですが,この本ではあまり頭が混乱することはありませんでした.

私が思うに,今のドイツ・オーストリア地方は中世ヨーロッパでは辺縁に位置し,経済や文化の発展度合いが遅れ,弱小諸侯の集合体で政治権力としても洗練されていなかった,そのコンプレックスが相当にあったために,ローマ帝国の正統の系譜にわざわざこだわったのではないかと思います.そこにローマ教皇の付け入る隙が生じて話がさらにややこしくなった,という図式です.

そのコンプレックスは,後にハプスブルグ王朝の栄華によってある程度は解消されるのですが,しかし外から見た田舎臭さはその後のプロイセンや現代のドイツにも受け継がれているように感じます.少なくともフランス人はドイツ人を野暮ったい奴らと見ていることは間違いありません.まあ,これはヨーロッパに暮らしてみないとなかなかわからない感覚ではあると思います.

とにかくお勧めの一冊.高校生のときに習った世界史は何だったんだろう?と思わせること請け合いです.

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