取り残されそうな人たちへの暖かい視線
至福のとき チャン・イーモウ(監督),価格: \2,090 (税込)
張藝謀(チャン・イーモウ)の最近の三部作のうちの一つです.経済発展から取り残された国営工場の失業労働者たちの無償の善意と,これまた盲目のハンディキャップにも負けじと人生に立ち向かっていく一人の少女のけなげな姿が胸を打ち,私は「初恋のきた道」よりはよほど共感を持って鑑賞することができました.
交通事故で亡くなった主人公が少女の父親に成りすまして書いた手紙を,少女のカセットテープの伝言に応えるように同僚が朗読する場面がクライマックスですが,経済発展著しい中国にも,このような日の当たらない人々が多数いるのだということを思い出させてくれます.
中国の工業都市の庶民の風俗も垣間見ることができます.季節は夏,みな軽装です.大連の街が近代化されたことが私には興味深かった.大連は戦前は日本の植民地の勢力図の中に取り込まれ,多くの日本人が住んでいた街です.年配の家族に大連生まれという人をお持ちの方も多いと思います.
少女役のドン・ジェは大連生まれで,中国人民解放軍広東省広州軍区政治部戦士歌劇団所属のダンサー.この映画には公募で選ばれたそうです.この映画の撮影当時はガリガリに痩せていて薄幸のローティーンを演じるには良かったのですが,大人になったこれから,チャン・ツィイーのようにメジャーになれるか,ここ数年が勝負ですね.日本にもファンは大勢いるようです.
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