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2005/04/09

今だから作れたベトナム戦争映画

グッドモーニング,ベトナム ロビン・ウィリアムズ(主演),価格: \1,313 (税込)

Good_Morning_Vietnam以前このブログで紹介したマクナマラ回顧録でも書きましたが,ベトナム戦争は今からざっと40年ほど前の出来事です.当時は冷戦時代の真っ只中で,イデオロギーという軸に沿って世界は分裂し互いに対立していました.ベトナム戦争は,東南アジアの小国が強大なアメリカのプレゼンスに頑強に抵抗し,最後にはアメリカ軍を追い出すことに成功した稀有な出来事です.ベトナムはもちろん甚大な犠牲を払ったのですが,アメリカ軍もアメリカ社会も深い傷を負うことになりました.

このような深い傷を負った場合,それを題材にしたまともな映画は癒しの時が経たないと日の目を見ないものです.フランシス・フォード・コッポラが地獄の黙示録でカンヌのグランプリを獲ったのが1979年です.やはり10年程度の時間が必要だったのですが,この映画はベトナム戦争というよりは人間の内面や戦争の狂気というより普遍的な題材をえぐったものでした.

それに対して,この"グッドモーニング,ベトナム"はロビン・ウィリアムズの魅力満載,ホンネ満載のほろ苦いヒューマン・エンターテイメント映画です.まずはマシンガンのような毒舌ディスクジョッキー,これがすごい.当時の政治家や有名人をコケにした声帯模写のジョークの数々は本当に笑えます.アメリカ人にとっては不快極まりないベトナムの気候そのものに対するジョークも彼らのホンネをよく表していると思います.軍の上層部と現場の兵士たちの距離もよく描かれており,極限状態の戦場で過ごす兵士たちの精神安定剤として,このディスクジョッキーが絶大な人気を得ていったのは当然の成り行き,というシナリオです.

軍が運営するラジオ局の内幕が垣間見られるのも非常に興味深いです.ブースは二つで交替で使用.ニュースは必ず事前に検閲.この検閲官が双子の巨漢というのは監督のジョークでしょうが,この双子の俳優さんは"ターミネータ 2"でも活躍しましたね.音楽は扇情的でないものをという方針のどうしようもない上司が,戦場にポルカを流すのもとても笑えます.これに対してロビン・ウィリアムズ演じる主人公はギンギンのジェームズ・ブラウンで対抗!

ベトナム人の美少女に対する主人公の恋と,彼女の兄で実はベトコン工作員の少年とのやり取りは,アメリカ人の独善的な思い込みをアジアの側から痛烈に批判するエピソードとして画期的です.こういうエピソードがアメリカ映画でやっと取り上げられるようになったのも,ベトナム戦争終結後30年以上が経ったことの証でしょう.アメリカもようやく他者の視点で自分を見ることができるようになってきました.と思っては見たものの,アフガニスタンやイラクでのアメリカのやり方はベトナム以前への歴史的逆行であることも事実なので,かの大国は一枚岩ではないものの,この国とのお付き合いは楽ではありません.

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投稿: 人気BLOGランキング | 2005/04/09 15:16

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