ローマ法王選出
先日ポストしたローマ法王死去のニュースのあと,コンクラーベという日本語のような儀式を経て新しいローマ法王が選出されました.今度の法王は78歳のドイツ人.ちょっと高齢なのが気になります.
面白いと思ったのはカトリック世界と世俗権力の地理的関係です.宗教は国境に関係なく国をまたがって信者を持ち,彼らに共通のメッセージを伝え,国境によって分断されている世俗権力とは別の軸の権力を行使しています.これが中世ヨーロッパから延々と続く宗教対世俗の権力闘争なのです.しかし・・・
この新しいローマ法王の選出が伝えられると,出身地のドイツでは首相自ら祝福を述べ,新法王がドイツ出身であることを誇りに思う旨のコメントが出されました.国境など関係ないはずなのですが.しかもドイツではカトリック教徒は少数派.そもそも宗教改革でローマンカトリックに反逆したのはドイツの改革派たちだったはず.今回の法王は超保守派と言われているだけに,ドイツのキリスト教徒にとっては必ずしも歓迎すべからぬ相手のはずなのですが,まずは自国人がカトリックの最高権力者に選ばれたことを素直に喜んでいるように見えます.
権力構造の軸は異なるものの,これら二つの軸は完全に直交しているわけではなく,かなりの平行成分を持っていることが見て取れます.仮に日本人がローマ法王に選出されたらどのような反応が起きるのか,大変興味深いです.
| 固定リンク | 0
「オピニオン」カテゴリの記事
- フジの花の見納め(2023.04.21)
- 自衛隊ヘリコプターの墜落原因(2023.04.12)
- DX,無謬主義,ベストエフォート(2022.06.30)
- 定期的に自然のアンロックを(2022.05.19)
- 蛮族ロシア軍(2022.04.06)
コメント