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2005/06/09

会計基準は政治を規律付けるか?世代間の公平を担保する公会計革命

公会計革命 講談社現代新書 桜内 文城 (著),価格: \777 (税込)

KouKaikei_Kakumei公的機関の会計基準を革新することによって,その行動までも規律付けるという野心的な試みを解説した本です.まず会計基準の分類を行い,それぞれの会計基準が持っている意図と長所・短所を整理して解説します.従来は現金主義の単式簿記に過ぎなかった公会計を,発生主義の複式簿記に変えようという世界的な動きが背景にあります.ここで目新しいのは,国家予算の会計的意味をガバナンスレベルとマネジメントレベルに分離して明確に分析しているところです.しかもこの分離が憲法とも合致した思想であると論じるところが実にうまく出来ています・・・ちょっと出来すぎ.

ちなみに,ガバナンスレベルの予算とは,各行政分野にどの程度の予算枠を配分するか,将来世代にツケを回す国債の発行額をどの程度まで許すか,という政治レベルの決断を言います.マネジメントレベルの予算とは,そうやって枠が決まった予算額を,いかに効率よく執行するかという行政執行機関の裁量範囲の予算策定作業のことを言います.この区別は画期的です.次に,ガバナンスレベルの意思決定の内容が誰の目にもわかるように,透明性の高いアカウンタビリティを保証するために考え抜かれたのが "処分・蓄積勘定" という費目です.これにより実資産を生まない費用や将来へのつけ回しが明らかに出来ます.

この斬新な公会計基準のソフトウェアが,実際に会計士やシステムエンジニアの手によってソフトウェアとして開発され,地方自治体で試用されているそうです.数千にのぼる仕分け項目のインプリメンテーションと,三種類の財務諸表でそれらを連関させるプログラミングの作業は大変だったのではないかと思います.これからさまざまな自治体で試用が始まると思いますが,現場からのフィードバックを取り入れてさらにブラッシュアップしたものが,実際の政治と行政で活用され,この国の統治のあり方を少しでも良い方向に導いてくれるように願わずにいられません.はたしてこれで道路行政を改革できるでしょうか?

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