カントリー最源流のすごいアルバム
Long Black Veil [FROM US] [IMPORT] The Chieftains,価格: \2,235 (税込)
私の世代にとって Chieftain(チーフテン)とは冷戦期に有名だったイギリスの主力戦車.プラモデルを作ったおぼろげな記憶があります.
ところでこちらの The Chieftains(ザ・チーフタンズ)はアイリッシュフォークの超有名バンド.哀愁漂うメロディーと素朴な音色の楽器群が魅力です.リーダーの Paddy Moloney はどことなく妖精の一族を思わせる風貌をしていて,まさにケルトの香りが濃厚です.しかもこのケルトの音楽はアイルランド移民とともに海を渡り,アメリカ東海岸はアパラチア山系に根を下ろし,今日のカントリーやブルーグラスの源流となりました.しかもこの流れは一方向ではなく,アメリカのマウンテンミュージックがアイルランドに逆輸入されて相互に影響しあい,フィドルの奏法はどうやらそうやって進化してきたものだそうで,これはとても興味深いことですね.私が愛読しているブログ "フィドル少年漂流記" にすばらしい解説があります.
さてこのアルバムは The Chieftains が超大物ゲストを招いて共演した価値あるアルバム.これまでにもカントリーやロックのアーティストとの共演は多く,DVDなども出ているのですが,このアルバムも相当すごいです.まず一曲目でいきなり Sting がアイルランド語(ゲイル語)で歌います.二曲目で Mick Jagger が登場.Buena Vista Social Club などでルーツ音楽の発掘に貢献している Ry Cooder も中盤の二曲に参加.そして Tom Jones や The Rolling Stones などの超大物が終盤を飾ります.
これほどの大物ミュージシャンとの共演アルバムをいくつも作り出すことが出来る秘密は何でしょうか?私が想像するに,英米のミュージシャンたちにとって,自分たちのルーツはここにあるという確信,そしてそのルーツを守り育て現代に伝える The Chieftains に対する敬意があるからではないでしょうか?それにしてもすごい.世界中のロックファンは驚いたはずです.
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