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2005年8月

2005/08/28

Canon EOS-5Dの謎

ついに廉価版の 35mm フルサイズ一眼レフデジカメが発売されます.うーん,やっぱり 35mm フルサイズはいいですね.なんといっても使い慣れた画角なので交換レンズの選択にも戸惑わずに済みます.Canon の Web サイトなどを覗いてみたのですが,気になることが一つ.CMOS センサーのサイズがわずかながら 35mm フルサイズよりも小さいのです.本来であれば 36.0mm x 24.0mm であるはずで,上級機種の EOS-1Ds Mark II ではちゃんとこのサイズになっているのですが,この EOS 5D ではとても中途半端な 35.8mm x 23.9mm となっているのです.これはなぜ?

このような大面積のセンサーは,歩留まりも考慮するとかなりの高コストになるはずですが,それをほどほどのプライスで製品化するためには何らかの手を打たなければならないことは当然です.ということは CMOS センサーの歩留まり対策なのでしょうか?それともシリコン・ウェファーから切り出すときの取得数の都合?いずれにせよ 35mm フルサイズとはわずかながら異なるので,35mm フルサイズ用のレンズを装着した場合の画角はわずかながら小さくなり,ほんのわずかですが焦点距離が長めのレンズを装着したことと等価になります.

こだわる人にとっては気になるところかもしれません.でも私は欲しい.物欲が刺激されることしきりです.

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2005/08/27

晩夏

Kasumigaura_012m
残暑はまだまだ厳しいのですが,朝晩の日の短さははっきりと感じられるようになりました.夕焼けに映える雲も夏の雲ではなくなってきました.植物や動物にも秋へ向けた動きが加速しています.夏の間に土手を覆いつくしたクズには美しい花が咲いており,もうこれ以上クズのつるが伸びることはありません.ツバメは南の国へ帰り始めています.セミもツクツクボウシの声を聞く割合が増えました.暗くなって鳴く虫の音にも変化が出てきました.秋の虫の登場です.晩夏です.

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冷戦後の超大国の身の処し方

静かなる戦争(下)-アメリカの栄光と挫折 デイヴィッド・ハルバースタム (著), 小倉 慶郎 (翻訳), 三島 篤志 (翻訳), David Halberstam,価格: \1,890 (税込)

david_halberstamwar_in_a_time_of_peace_2ハルバースタム久々の大作の下巻です.上巻はクリントンの選挙戦から始まり,ボスニアやソマリアに関する軍事・外交のエピソードを政権や軍の中枢から描いたものでしたが,下巻はハイチ,コソボがそのエピソードの中心的舞台です.私はこの上下巻を通読することで始めてバルカン半島の全体像を理解することが出来ました.

セルビアのミロシェビッチが打倒されたことはバルカン半島全体にとってもセルビアにとっても良かったことだとは思います.クリントン政権時代の欧米諸国の介入は,とりあえず血生臭い20世紀型の民族抗争を止めさせる効果はありました.特にコソボに対して航空戦力のみで決定的な打撃を与えることが出来たのは最新の軍事技術の成果です.ミズーリ州の基地からコソボまで一泊二日でB2爆撃機が往復できるとは!アメリカが圧倒的な軍事力を持ち続けていることを世界中が知ったはずですし,それは数年後のアフガニスタンやイラク戦争に際しても同様でした.

しかしバルカン半島の問題は,ハルバースタムも,政権内部の例えばホルブルックも述べている通り,極めて複雑で厄介です.これからもバルカン半島では火種はくすぶり続けることでしょう.平和が保たれるかどうかは冷戦終結後の平和の配当が行き渡るかどうかが鍵だと思いますが,かの地に「貧困と差別と劣悪な統治」というテロリスト育成の三条件が揃っていないとは言い切れません.それが宗教原理主義と結びつこうものなら,バルカンはアフガニスタンやイラクと同様の悪夢を見ることになるでしょう.そのときの倒すべき敵はミロシェビッチのようなわかりやすい独裁者ではありません.絶望し思いつめたあげく自爆テロをいとわない異国の純真な若者たちと,彼らの背後で糸を引くプロのテロリストです.

冷戦後の世界は,唯一の超大国アメリカの力をいかに賢明に使うかにかかっていると私は思います.しかしアメリカの世論は伝統的に国内志向ですし,アメリカ人兵士の血が流れることには世論も政権も神経質になっています.軍,特に陸軍は未だにベトナムの傷が癒えておらず,軍事介入後に政治家に梯子を外されないかと懐疑的です.ボスニアとコソボはその最初の試金石でした.そしてアメリカは何とか破綻することなくそれを乗り切りました.しかしその後のアフガニスタンとイラクでは大きく躓きました.イラクでの長く続くテロリストとの戦いは,アメリカの力の使い方に関して真剣な反省を世界に強いるものです.アメリカの国内政治も気がかりです.原理主義的なキリスト教右派勢力が異常に力を伸ばしているからです.アメリカという国の未開の暗部を見る思いがします.

これに対して日本が何ができるか?アメリカ追随の外交ポリシーにより日本はイラクに自衛隊を派遣しましたが,アメリカのイラク政策の破綻は目に見えて明らかです.中国の大国外交の影響もあり,アメリカの御機嫌取りをすることとアジアにおける日本のプレゼンス低下は表裏一体の関係になった感があります.日本の戦後外交政策の大きな転換点が迫ってきたと感じるのは私だけではないと思います.

最後に,このようなジャーナリズムが存在することを大変うらやましく思います.立花隆さんは例外ですが,日本のジャーナリズムも早くこのレベルに達してほしいと思います.

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2005/08/19

「日本企業=共同体」を肯定した日本に優しい経営論

新・日本の経営 ジェームス・C・アベグレン (著), 山岡 洋一 (翻訳),価格: \1,890 (税込)

James_Abegglen-21st_Century_Japanese_Management何と日本に優しい考え方!何と日本をいくつしむ筆致!この本の本質は「日本の企業=共同体」という日本の企業経営の理念をおおらかに肯定してるところにあります.

著者は戦後,高度成長期が始まる直前の日本でつぶさに企業研究を行い,その独特の強さと潜在能力をアメリカのビジネス界に知らしめた人です.その後ボストン・コンサルティング・グループの設立に参加し,日本支社長として日本に在住.そして1997年には日本国籍まで取ってしまったという日本を愛する(たぶん)アメリカ人経営学者です.

その彼が,バブル崩壊後の長期低迷期を脱しかけた時期に,日本のビジネスマン向けに書き下ろしたのが本書です.全体として,アメリカの企業経営,ヨーロッパ大陸の企業経営,そして日本の企業経営を対比させながら,日本の企業経営はヨーロッパ大陸の企業経営と同様に長い歴史を持つ社会の伝統や文化に裏打ちされたもので,それが日本の企業の強さにもつながっていること,そして「失われた10年」と呼ばれる期間の間にも,日本は欠陥を修正するさまざまな制度的改革に乗り出してそれらが成功を収めつつあること,などを肯定的に論じています.このあたりは青木昌彦さんの著書と同様の評価を下しており非常に興味深いところです.

しかし企業の中で仕事をしている者にとって,著者の評価は甘すぎるように感じるところもあります.特に「日本企業=共同体」を肯定することで失われるものも多いように思います.それは「企業=機能集団」として果たすべき大局的戦略,冷徹な判断,断固たる実行などの部分です.中山治さんの論によれば「日本では組織はいとも簡単に共同体化する」と言われ,第二次世界大戦に至る歴史はその汚点にまみれているだけに,著者のおおらかな肯定の姿勢には違和感を感じます.しかもそれを肯定したとしても,それが労働者に優しいかというとそうでもありません.日本の労働分配率は購買力平価換算するとドイツ・フランスの企業に比べかなり見劣りがするという事実は,共同体論が実は経営者にとってのみ都合の良い幻想ではないか?という疑いを投げかけるからです.

私が少々心配するのは,この本が日本の企業経営者に広く読まれ,彼らが再びバブル期と同様の無定見な根拠のない自信を持ってしまうことです.企業経営の(少なくとも名目上の)目的は利益をあげることです.雇用や長期的視点に立った経営と引き換えに利益率は低くても良いという言い訳の根拠にされてしまいそうな気がします.

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2005/08/17

スパムを防ぐ本質的な解決策

毎日大量に送られてくる迷惑メールにうんざりしている方も多いことと思います.最近流行のブログではコメントスパムやトラックバックスパムという同様の手口で,アダルトサイトや非合法ドラッグ販売サイトへの誘導が行われています.これらのメールやトラックバックは「数打ちゃ当たる」で大量に送る必要があるために,コンピュータプログラムにより自動的に送信されています.迎え撃つユーザーはある程度は機械的なフィルタにより阻止することは出来ますが,100%確実な阻止をすることは出来ず,どうしても最後は目視で確認し人手をかけて消すという作業を強いられます.問題が深刻であることは世界中で強く認識されており,ソフトウェアのベンダや各種団体もメールヘッダへの追加情報でスパムメールを防止する方向を検討・試行中です.

さて,一般的にモノや情報の交換に対して手数料を取るという行為は,その交換に対する抵抗として働きます.これは機械的な摩擦や流体の粘性と同様の効果を持つと考えてよく,ある意味で損失とはなりますが,逆に多数の交換が行き交う系全体の安定性を増す作用があります.抵抗が非常に少ないと系はわずかの外乱に対しても固有の不安定性を発生させ,強く周期的な変動が発生したり,あるいは系全体に強くランダムな変動が発生して「乱流」状態に遷移したりします.

例をあげましょう.国際為替市場でしばしば大規模な為替レートの変動が起きるのは,通貨売買の手数料が極端に安いからです.例えば,円−ドルレートが50銭変動したとします.これは現在の国際為替市場ではチャンスと見なされ,為替ディーラーは一億円単位で売買をくりかえして投機的利ざやを稼ごうとします.しかしここで手数料が1ドル当たり50銭だったとするとどうでしょう?50銭程度の変動ではどのディーラーも手を出せません.もっと大きな変動でないと利ざやが稼げないため,彼らが実需以外の投機目的で活躍する機会は大幅に制限されることになります.ただしこうすると為替の流動性を低めることにもなるので,その手加減は難しい課題です.

現在インターネットに情報を流すのは無料です.つまり抵抗がゼロです.これはスパム業者に理想的な環境を提供しているのと同じです.彼らはいくらでも好きなだけの情報をタダでインターネットに送り出すことが出来ます.スパムメールの0.01%でも引っかかる人がいれば十分に採算が取れます.この抵抗の少なさが人間の心の奥底に潜むわずかな悪意を増幅し,膨大な量の無益な通信トラフィックを生み出しているのです.

となると本質的な解決方法はインターネットの情報の流れに粘性を持ち込むことしかありません.最も単純にはインターネットを流れるデータに従量課金をするのです.例えば電子メールであれば smtp プロトコルに 0.01円/octet というように課金します.これにより例えば1通あたり1kBのメールを10万通送ろうとするとそれに要する費用は100万円になります.これではどんなスパム業者も二の足を踏むことでしょう.メール以外のプロトコルにも原則課金することで,例えばDoS攻撃も防ぐことが可能になります.ところでスパム業者ではない私たちが大きなサイズの添付ファイルを送るにはどうすればよいのでしょう?これにはパスワードによる課金免除のメカニズムをインターネットプロトコルに作りこむことで対応します.これが破られる可能性も無くはありませんが,現在でも鍵暗号のシステムは実用上十分な程度安全なので何とかなると期待しましょう.

課金以外の粘性の導入も可能でしょうが,あまりいいアイデアを思いつけません.何か良いアイデアがあればコメントしてください.

最大の課題は課金徴収の仕組みづくりです.全ての人が信用の置ける ISP に加入していればそれも可能でしょうが,独立したサーバを立ててしまえばそれを回避できます.それを防ぐには DNS やルーティング全体の仕組みの改変に踏み込むことになり,これはなかなか厄介な問題です.私も専門家ではないのでこれ以上踏み込んだ議論は出来ませんが,基本は課金,合法的な情報交換は課金免除というポリシーを貫くことが,インターネットでのあらゆる悪意を根絶することにつながるはずです.

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2005/08/16

ベテランで美貌の実力派

To Get to You: Greatest Hits Collection [BEST OF] [FROM US] [IMPORT] Lorrie Morgan,価格: \1,977 (税込)

lorrie_morganto_get_to_you_greatest_hits_collectionこの人はすでに1980年代から活躍しているカントリーポップのベテランです.父親もカントリー歌手だったそうで,幼い頃からカントリーの世界には親しんでいたことでしょう.アルトで少しハスキーな声は大変耳に心地よく,歌唱力も抜群なので安心して聞いていられます.しかもルックスはカントリー界でもピカ一の正統派美人なので,本国での人気も相当のものでしょう.キャリアが長いだけにアルバムも相当な数にのぼります.ここで紹介するのはいわゆるベストアルバムのたぐいですが,こういう多作のアーティストの全体像を手っ取り早くつかむにはやはりベストアルバムを買ってみるのが最も効率的!

実力派だけに,さまざまな側面を楽しむことが出来ることもベストアルバムの良さの一つです.このアルバムでも,乾いたロック調あり,しっとりとしたバラード調あり,男性歌手とのデュエットあり,と多彩な顔を見せてくれます.とにかく歌のうまさは抜群なので,どんなジャンルでもサマになるというのがこの人の強みでしょう.ベテランとはいってもまだまだ将来にわたって活躍が期待できます.アメリカのカントリー界の強みは,アメリカ音楽の基盤的分野として,こういう人材のストックが膨大ということでしょうね.

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2005/08/14

土臭いブルーグラスの逸品

Mountain Soul [FROM US] [IMPORT] Patty Loveless,価格: \1,791 (税込)

Patty_Loveless-Mountain_SoulPatty Loveless はこのブログでは初めて紹介すると思いますが,カントリー女性シンガーの中でもなかなかの実力派です.ルックスはともかく歌唱力は申し分ありません.現在ではどちらかというとカントリーポップの世界で活躍している人ですが,このアルバムはむしろマウンテンミュージックの色彩を強く出したものになっています.楽器はすべてアコースティックでまとめていますし,歌い方も土臭さを前面に押し出して叙情たっぷり.日本の演歌に近いものがあります.

彼女の実家は炭鉱町にあったようで,父親は炭鉱夫.ライナーノーツには顔を石炭で黒く汚した父親の写真が載っています.おそらく Kentucky はアパラチア山系に含まれるどこかの田舎町なのでしょう.このことが彼女の音楽性に強く影響を与えた,と思いたくなるのですが,本当のところは良くわかりません.炭鉱町の家族の物語となると映画 "わが谷は緑なりき" を思い出してしまいますね.

アルバム11曲目 "Soul Of Constant Sorrow" は映画 "O Brother" で有名になったスタンダードナンバーですが,このアルバムでは実に味わい深いアレンジになっており,彼女のブルーグラスシンガーとしての実力を知らしめてくれる一曲です.

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2005/08/13

地上47階のオープンテラスでお食事

CA250061-63m先日,職場の仲間たちと暑気払いに行きました.選んだ場所は高層ビル最上階のオープンテラスにあるレストラン.雨が心配だったお天気も夕方頃から急に晴れ上がり,やや強めの海風も心地よくて気分は上々.そして当然のことながら地上47階からの眺めは素晴らしいです.しかも場所は東京ウォーターフロントなので,東京湾をバックに高層ビルが林立した景色はさながらマンハッタンにいるような気分にさせてくれます.

このレストランは週末のウェディングパーティを専門としているので,インテリアも調度品も上品で清楚な雰囲気が素晴らしいです.で,料理の質は非常に高かったのですが,おじさんたちの嗜好を考慮して飲み放題コースを選んだのが裏目に出てか,食べ物の量が不足.また飲み物の質もさほどでもなく,もっぱら安ワインをがぶ飲みするという普通の飲み会になってしまいました・・・でもまた行ってみたいです.都心に勤務するものの特権ですからね.

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2005/08/09

一院制,定数100人,全員全国区,再選なし

衆議院が解散され選挙が行われることになりました.解散の是非や今回の選挙の争点,政局の行方などは他のサイトを見ていただくとして,ここでは国会改革への提案をしたいと思います.

内容はこの記事のタイトルのとおりです.まず参議院は廃止して一院制とします.参議院は良識の府であるとか,衆議院に対するチェック機能を果たすという建前にはなっていますが,戦後の長い歴史の中で,衆議院を通過した政府提出法案を参議院が否決したことは今回も含めてほんのわずかの事例しかありません.上記のメリットよりは,審議により多くの時間がかかる,国会という組織が肥大化する,などのデメリットのほうが大と判断します.

現在の衆議院の定数は480人,参議院は242人ですが,これはいくらなんでも多すぎます.国会の年間予算がどれほどかは知りませんが,かなりの税金が使われているはずです.国民各層の意見を反映するという本来の機能のためには,100人もいれば沢山ではないでしょうか?その代わり,政策立案能力のある公設秘書を議員一人当たり10名ほどつけます.各議員は現在と同じように圧力団体の代理人の役割を果たすことになると思いますが,まあそれでも100人もいれば十分でしょう.

また議員の先生から「地元」というものを剥奪します.それと同時に再選もできなくします.これにより国会議員を国家レベルの「統治」の課題に専念させ,次の選挙の票集めの心配をせずに政策立案に集中させることができます.再選のために利益供与の危ない橋を渡る必要もありません.一生に一度の議員生活なのですから,後世に名を残すような国家レベルの立派な仕事をしてもらいましょう.行政管理のことは役人に,地方のことは自治体に任せます.従って権限と財源の委譲を伴う地方自治改革も同時に進める必要があることは言うまでもありません.道州制なども導入する必要があるでしょう.

というかなり極端な改革案ですが,このように特徴の明確なオプションを考えることで改革の議論は大いに進むはずです.最初から折衷案や落しどころを提案してはいけません.最後は折衷案に落ち着くにしてもです.こういうことを言い出す政党が出てこないところが悲劇ですが.

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2005/08/08

Google Earthで遍歴をたどる

Google Earthを御存知でしょうか?地球上を膨大な量の衛星写真でカバーし,しかも標高データや交通・行政・産業などのデータも加えて,地球上のどこでも直ちに飛んで行き,詳細な衛星写真を楽しむことが出来る,画期的なソフトウェアです.現在の最新版は8月3日に更新された3.0.0464(beta)です.

大都市ならば世界中どこでも,車一台一台がはっきりとわかるほどの分解能の画像が得られます.ただし4,5年前に撮られた画像も多いので,都市再開発が盛んに行われている今の東京は,すこし古いと感じることがあるかもしれません.住宅も一軒づつはっきりと識別できますから,自宅を特定することも比較的容易です.ただし高解像度画像は大都市や有名な観光地だけなので,私が現在住んでいるような地方都市はボケボケの解像度の写真しか得られません.

えっ?と思ったのはバグダッドの高解像度写真.この立派な大都市の高解像度写真を見ることが出来ます.湾岸戦争に備えてか,戦後復興ビジネスの需要を当て込んでか,こんな写真が撮られていたのですね.

さてこのソフトには,好きな地点をマークする機能があり,それをアイコンと文字列で画像上に表示することが出来ます.しかもこのマークはいくつでも階層構造を持って登録することが出来ます.この機能でちょっと遊んでみました.これまで自分が住んだことがある家やアパートやマンションを特定し,それを時代順にマークするのです.このソフトにはマークした地点を自動的に順番に辿っていく機能が備わっているので,自分が住んだことがある場所を衛星写真で次々に辿れるのです.ある場所から次の場所に移動する際には,視点がグーンと高くなって画像がズームアウトし,それから飛行機のように次の場所の上空に移動してそこから高度を下げてズームインします.これが実に面白いのです.Google Earthの成功の鍵は,このズームイン・アウトの出来のよさではないかと思うくらいです.

そういうわけで,住んだことがある場所8箇所,勤務したことがある場所11箇所を登録し,たくさんの思い出を胸に浮かべながら,びゅーんと飛び回っています.あそこではこんなことがあったなぁ,こんな人と一緒に仕事をしたなぁなど.感傷にひたれること請け合いです.

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2005/08/07

盛夏

CA250060m暑いですね.私はもともと暑さには弱いので,今年も猛暑が襲ってきてから体調が思わしくありません.しかし朝の最低気温が27度とか日中の最低湿度が60%とか言われると,もうこんな国には住んでいたくなくなります.若い頃は日本の気候の悪さに辟易して,本気で涼しい国への移住を考えていたくらいです.北カリフォルニア,ワシントン州やカナダのバンクーバーには今でも憧れます.

右の写真は朝の通勤途上に携帯電話のカメラで撮影した職場が入居しているビル.すでに気温は高く,電車の中も汗臭いです.こんな状態があと一ヶ月は続くのかと思うと,全く気が滅入ります.今日は夕方から雷雨があるという予想なので,少しは涼しくなるかと期待しています.

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低収益にあえぐ日本企業に期待される戦略論

戦略不全の論理―慢性的な低収益の病からどう抜け出すか 三品 和広 (著),価格: \2,730 (税込)

The_Logic_of_Strategy_Failure外国,特にヨーロッパに住んでみるとわかることですが,彼らは日本人ほどあくせく働きません.平日のアフターファイブや余暇の使い方などうらやましい限り.それなのに世界でもトップクラスの生活水準を維持していけます.これはなぜなのか?という疑問には,2004年10月にこのブログで紹介した本の冒頭に解答があります.簡単に言うと,日本企業はヨーロッパの企業に対して低い利益率しか上げられない,従ってより多くの割合の国民が働かなければならない,しかも長時間,という理屈です.なぜ低い利益率に甘んじているのかという問いには,上記の本は突き詰めると日本企業には戦略が無いからだ,という答えを用意しています.そんな馬鹿なと思うかもしれませんが,数字はそれを如実に物語っています.

そんなことは日本の企業人も先刻御承知なので,戦略論が広く読まれているのですが,もともと思考のフレームワークが異なるアメリカ流の戦略論(私はミンツバーグが好きですが)をいくら読んでも,どうも違和感ばかりが残るのではないでしょうか?そんな方にはこの本がお勧めです.

この本の良いところは,戦略の本質を演繹的,帰納的に明らかにした上で,戦略を司る経営と業務を司る管理を峻別して説明し,その能力を混同するところから戦略不全が生じると明快に断定しているところでしょう.これは経営人材を育成する最終章で特に明確に主張されていますが,優秀な業績を上げた管理職を経営者にしてはならないという主張は,そうやって出世してきた現在の経営層にとっては耳が痛いことでしょう.このあたりはさすが日本人の著者ならではで,日本人の思考パターンで抜けが生じやすいところを丁寧に補ってあります.また企業業績や経営者に関する多くの実例が示され,さながらビジネススクールのケーススタディを読んでいるかのように読み進めることができます.戦略論の常として個々の具体的な処方箋が示されるわけではありませんが,戦略と管理を区別しろという主張は,大きな方向性を示してはくれるので,現実問題で選択を迫られたときには大いに参考になるはずです.

しかし一方,戦争の世界で言われていることに,日本軍は現場の兵隊は恐ろしく有能だが指揮官は救い難いほどに無能だ,というものがあります.これはすでに日露戦争の頃には言われていたようで,その後のノモンハンや太平洋戦線などでは決定的な差になり,日本の敗北を決定付けた能力の格差です.戦後の企業社会でも強い工場,弱い本社などと言われて,モノづくりの現場の能力と戦略立案の本社機能がちぐはぐとも言われ続けています.どうも日本人は戦略に弱い,あるいは戦略に強い人間を育てることが下手なようです.

これはおそらく日本の文化的伝統と深く関わっているのでしょうが,このあたりは2004年10月にこのブログで紹介した本である程度解きほぐされています.しかし,これを変えていくのはこの国の文化基盤を変えることでもあるので,そう簡単ではありません.

かく言う私は,某大学で学生を前にして戦略論のさわりを講義したことがありますが,学生たちは大変熱心に聴講してくれ,戦略不全の弊害に驚き,戦略に興味を持ってくれたようです.若い人たちが日本の伝統的戦略不全を打ち破ってくれることを期待しています.

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