先鋭からどこへ向かうのか?
Why Should the Fire Die? [from US] [Import] Nickel Creek,価格: \2,600 (税込)
Nickel Creek とそのメンバーである Chris Thile のアルバムはこのブログでも過去3回紹介しています.(*1, *2, *3) ブルーグラス革新の最先端にいると感じて注目しているからです.そのときには "コンテンポラリー・ブルーグラス" という表現をしているのですが,このアルバムでもその先鋭さは相変わらずながら,その路線から少々はみ出す実験をしているようにも感じます.まず曲の長さがまちまち.最長の曲が5分34秒もあるのに,最短の曲は1分43秒しかありません.アルバム14曲の中に1分台の曲が3曲も含まれているのです.その中でも第9曲の "Anthony" は Sara Watkins のソロ・ヴォーカルの曲ですが,何ともこれまでとは傾向が違う柔らかで物憂い小曲.その直後の第10曲目 "Best of Luck" はベースが力強い完全なロック.
私個人の評価からすれば,今回の実験はあまり上手く行かなかったように感じます.ケルト風あり,ブルーグラスあり,ロックありで,方向性が定まらず多方面への迷いがあり,聴くほうもどう聴いてよいのかわからなくなります.第12曲と第13曲のつなぎのちぐはぐさはその典型.
ベストを上げるとすれば第2曲の "Somebody More Like You" かな?コード進行が心地よい一曲です.最終曲でアルバムタイトルの "Why Should the Fire Die?" は彼らの本領を発揮できるはずのブルーグラスですが,曲のメロディーラインがいまいち.次作に期待しましょう.
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