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2006/06/11

ひょっとして今年最高のアルバム?

All American Bluegrass Girl [from US] [Import] Rhonda Vincent

Rhonda Vincent は私のカントリー女性歌手遍歴のまさに最初の歌手として強く印象に残っています.このブログでも過去2回取り上げています (*1, *2).特にアルバム "Back Home Again"*1 は,彼女の特質が最大限発揮された,草の香り高いブルーグラスの名アルバムとして,今でもその輝きが薄れることはありません.

そして今回紹介するこのアルバム "All American Bluegrass Girl" は発売直後から大変評判が高いアルバムだったので大変楽しみにしていました.昨日やっと Amazon.com から到着したので一通り聴いてみました.

まず全体に質が高い.このまま行けばブルーグラスで今年最高のアルバムになるかも.彼女のアルバムはこれまでも粒ぞろいの曲が多く,お買い得感が高かったのですが,このアルバムも例外ではありません.草の香り高いブルーグラスの逸品ぞろいです.良い曲,良いパフォーマンス,そして良い録音とミキシング.これら全てが合わさってアルバム全体の質を高めています.今回のアルバムでは特に録音が素晴らしいですね.これまでも "Back Home Again" 以降のアルバムは録音が良かったのですが,このアルバムは特に力が入っていると感じます.ヴォーカルとアコースティック楽器の良さを最大限生かした,まさにブルーグラス仕様の録音とミキシングです.

女性ブルーグラス歌手としては Alison Krauss と人気を二分する Rhonda Vincent ですが,最大の理由はもちろん彼女の優れた歌唱力でしょう.彼女の唱法は,やや乾いたアルトの声を強く前に押し出し,抜群の安定感をもって長く引っ張る,という特徴を持っています.ハーモニーコーラスでこの特徴は遺憾なく発揮され,まさに彼女を特徴づけ識別できる唱法として確立されています.今回のアルバムでは,第5曲目の "Rhythm of the Wheels" が代表格.大御所 Dolly Parton がハーモニーヴォーカルでゲスト出演している第3曲目の "Heartbreaker's Alibi" もこの唱法が生かされた逸品.でもハーモニーヴォーカルでも Dolly Parton とすぐにわかるところは,うーん,さすがというか,しかたがないと言うか・・・(笑)

強いて難をあげるとすれば,彼女の高域の発声でしょう.彼女はソプラノの歌手ではありません.アルトに寄った音域の声帯を持っている彼女の歌声は,高い音域になるといかにも苦しそうに聴こえます.これを苦しそうに聴かせないテクニックは未開発.曲作りでカバーするか,それとも工夫し鍛錬するのか,残された課題です.

今回目を引いたのはジャケットの写真です.ブルーグラスとはかけ離れていますが,これで新たなファン層を開拓しようというのでしょうか?この衣装では Martha WhiteCM ソングは似合いませんねぇ.

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コメント

そうですよね~
やっぱり今年最高のブルーグラスアルバムって思っちゃいますよね~

私の大胆予想では
IBMAアワードとグラミー賞ダブル受賞となっています。

マーサ・ホワイトのCMは歌えない?衣装ですが、以前Opryへこのドレスで出演したときはそれほど違和感なかったです。(TVで観ました)
このジャケットはやはり悩殺ポーズとの合わせ技ですね。

投稿: たいちょ~ | 2006/06/11 11:46

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