ブルーグラス期待の新トリオ
Weather and Water [from US] [Import] - The Greencards
注目されているブルーグラスのトリオです.Carol Young, Kym Warner, Eamon McLoughlin の男性2名,女性1名の構成.Carol がバス,Kym がマンドリン,そして Eamon がフィドルを弾き,ゲストが他の楽器に加わります.楽器は全てアコースティックであることは今やブルーグラスでは当然ですが,彼らのアンサンブルはアコースティックの良さを最大限にひき出しています.
まず気が付くのはマンドリンの音が大変美しいこと.一音一音の粒立ちが見事です.Kym はかなりの弾き手のようですね.一方,フィドルの音はあまり良くありません.音に艶が無く,ぎすぎすした感じがして耳に心地よく感じないのが大変残念.第3曲目の "Almost Home" は Instrumental なのですが,フィドルとマンドリンの差が目立ちます.フィドルにはもう少しがんばってもらいたいところ.
さて,ヴォーカルは Carol がリードをとることが多いのですが,なかなか良いヴォーカルです.ちょっとハスキーなブルーグラスに良く合った声質で,Emmylou Harris に似たところがあります.このアルバムに収められている曲は穏やかな音程運びのものが多く,浪々と歌い上げるという曲は無いので,本当の実力がどれほどのものかこれから見極める必要がありますが,まずは良しとしておきましょう.
録音とミキシングは非常に良いと感じます.これも最近のブルーグラス仕様.これが良いがためにフィドルの音のまずさが目立ってしまったところはあると思いますが,変に音に手を加えて修正したりしていないのでしょう.ミキサーは Alison Krauss や Nickel Creek,Dolly Parton のミキシングを手がけている Gary Paczosa という引っ張りだこの人らしいですから,質の高さにうなずける気がします.
このアルバムの前作 "Movin' On" もなかなか良い出来なので,聴いてみると良いと思います.これからも良い作品を期待できますね.楽しみです.
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コメント
こんにちは
ミキサーの方がそんな人気者とは知りませんでした。
私のリスニングスタイルはどちらかというと ただ聴いてるだけでして、
CDのブックレットを開くことは実は殆どありません。
だから曲名を覚えていないなんて当たり前で、歌詞は耳から入ってくるそのまま・・・(かなり聞き違えている) 従ってレコーディングエンジニアの苦労はわかっていても名前はとんと。。。
ある意味、無礼者ですかね。
私もフィドルはもっと頑張って欲しいと思っています、しかし全体としては妙に良い感じになってるのは下手にいじっていないからでしょうか・・・?
投稿: たいちょ~ | 2006/06/25 11:54
たいちょーさん,こんにちは.
そうですね,実は私もほとんどの場合はボケーっと聴くだけなのですが,それが無礼者ということにはならないと思いますよ.聴き方はその人の自由ですから.
私の場合は,レビューを書き始めると,いい加減はいけないと思って一曲ずつ聴きなおし,ライナーノーツと Amazon.com の解説を(斜めに)読む,ということをやっています.その過程でいろいろと知識も増えますので,暇なときにはお勧めします.
このトリオの最大の良さは,全体としてのアンサンブルの心地よさではないでしょうか?二本のスピーカーの前で壁を凝視して聴くのではなく,BGMとして気楽に気持ちよく聴くのに向いていると思います.
投稿: 俊(とし) | 2006/06/25 12:05