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2006年7月

2006/07/30

穂波

Summerhome2006005m

本日,やっと梅雨が明けたようです.もうあと2日で8月に入るところでしたが,梅雨明けの遅さの記録更新とはなりませんでした.しかし,今日の日曜日は梅雨明けしたという割には妙に涼しくさわやかなお天気.北東の風が強く吹いて涼しい空気が関東地方に入り込んでいます.それもそのはず,今回の梅雨明けは前線が南下して活動を弱めた結果,梅雨明けになったようで,例年のように前線が太平洋高気圧に押し上げられて北上する様式とは正反対です.

自宅の眼下の水田では稲の分蘗(ぶんけつ:根に近い茎の関節から枝分れすること)が進んでかなりの背丈にまで育ち,もうそろそろ出穂(しゅっすい)するのではないかと思いますが,強い風によって次々に穂波(ほなみ)が作られ,風に送られて青い稲の海を遠くまで渡って行くのが見えます.我が家の夏の風物詩です.これを見ながらのビールが最高なんだよね!

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ロングテールとべき分布

先日「Web進化論」という本このブログで紹介しましたが,その中に "Long Tail" というキーワードが出てきます.これは,一般に言われる "パレートの法則",80対20の法則などと言われるものに対比させて説明されることが多いようです.例えばビジネスの文脈では,全体の売上の80%は(売れ筋の)20%の商品から成っている,というような話です.

この部分を読んだときには「これって結局は確率分布を仮定しなきゃ決まらない話なのになぁ」と思ったものです.それには背景知識があって,最近の経済物理学で一躍脚光を浴びるようになった "べき分布" のことを "正規分布" と対比させて知っていたからです.正規分布は裾が急速にゼロに近づく分布です.その速さは尋常ではなく,2次関数の指数関数の逆数の速さですから,あっという間にゼロに近づき,しかもその速さはしつこくぐいぐいと加速していきます.これに対してべき分布は非常にのんびりとゼロに近づく分布で,正規分布と比較すると減衰しないも同然のゼロへの近づき方であり,従って長大な裾を引きます.世の中には大多数の庶民とは桁違いのお金を持つ大富豪が存在しますが,これは正規分布で説明できるよりもずっと数が多いことがわかっており,まさに個人の所得はべき分布に乗ることが実証されています.そうなんですよ,悔しいことに,大富豪ってたーくさんいるんです.

さて,パレートの法則を語るときには,どうも正規分布の常識が潜在意識にあるのではないでしょうか?これに対して,ロングテール理論はべき分布の性質を暗黙のうちに仮定しているように思います.実は前者は大きな誤解であり,パレートの法則こそ実はべき分布を前提にしています.後者のロングテールにも考察不足があり,そもそもどのような分布でもかまわないのだけれども,裾の部分の活用を考えるときには,コストとの見合いで考えなければ結局は成立しないはずです.だって,1年に1冊しか売れない本を1000万種類も在庫するコストを誰が払うのでしょうか?

あるブログでこの誤解をもっときちんと説明した記事がありましたので,リンクを張ってトラックバックを打たせていただきます.ロングテールにまつわる過剰な期待を,要するコストと秤にかけて判断すべきと冷静にいさめている点は,まさに私が言いたかったことでした.

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2006/07/29

秀逸な技術経営論

イノベーションの収益化―技術経営の課題と分析 (単行本) - 榊原 清則

技術経営の教科書です.著者は慶応大学教授で,経営学入門 上・下 (日経文庫)という優れた経営学入門書で知られた人です.この本では,技術には優れた日本のモノづくり型企業が,なぜそれに見合う利益を得られずに苦しんでいるのかという,まさに現代日本の製造業の最大の課題を正面から取り上げています.

この本の前半 1/3 くらいは既存の技術経営論のおさらいなのですが,中盤 1/3 の,技術経営のベストプラクティスとしてのキャノンとインテルのケーススタディはなかなか読み応えがあります.特にキャノンのインクジェットプリンタのカートリッジが,その時々の競争環境に応じて,ヘッドとタンクを一体化させるかどうかをそのつど変え,製品の収益構造(どこで儲けるか)をころころ変えている事実は新鮮な驚きを与えてくれます.節操がないやり方ともいえますが,技術経営としては一つの自由度を持つことになり,大変参考になる事例です.次にプリンタを買い換えるときに,キャノンにしようかエプソンにしようか悩む材料が増えてしまいました.

後半 1/3 が本書の白眉「統合型企業のジレンマ」です.これは,完成品を売るだけでなく,その製品の中核部品そのものを外販して事業としている企業が陥るジレンマを,日本の時計産業を例にして実証したものです.これは,今日のデジタル家電業界が抱える矛盾と本質的に同一のもので,完成品事業と部品事業のコスト構造の違いが限界利益に相当する生産量の違いを生み,それが部品外販の圧力となり,やがては完成品事業を毀損するというジレンマです.これを簡単に解決する処方箋は存在しないのですが,他社とのパートナーシップなどいくつかのヒントが与えられます.

技術経営のここ10年の最大の進歩は,もちろんクリステンセンの破壊的技術 (*1, *2)と,様々な研究者によるモジュール化 (*1, *2)ですが,私はこの「統合型企業のジレンマ」もランクインさせたいと思います.製造業の現場では日々このジレンマとの格闘が続いており,これが解決できるかどうかが収益性回復の鍵になっているからです.良い本に出会うことができて幸福です.

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2006/07/24

石油を巡る欲望の複雑な構造

シリアナ 特別版 - 出演: George Clooney, Matt Damon, Jeffrey Wright, 監督: Stephen Gaghan

この映画は新聞のレビューでかなり前から知っており,ぜひ見たい映画だと思っていました.そうこうするうちに図らずも国際線の機内で3回ほど見ることができたのですが,日本語字幕がなく,中国語字幕ではちょっと理解するのが難しい・・・英語をそのまま聞いて理解すれば良いではないかと言われるかもしれませんが,日本語字幕を見ながらでも一通り理解するのは容易ではないほど複雑なストーリーなので,細部がわからないまま消化不良状態になっていたのです.7月になってやっと DVD が発売になったので早速購入して見てみました.

うーん,やはり話が複雑すぎます.日本語字幕を見ながらでも一度見ただけでは細部までの理解ができません.4つくらいのエピソードが断片的に平行して走るのですが,それらがしだいにつながりを持ってくる,そうすると人名とその役割が重要になってきて,あれ?この名前は誰のことだったっけな?この顔のおじさんは誰だっけ?という具合に頭が混乱し,なかなか細部の理解までには至らないのです.特に各エピソードが複雑に絡み合ってくる後半では,あるエピソードでの一言とその後の他のエピソードとの因果関係の解釈が難しいのですが,シナリオは事実のみをドキュメンタリーのように淡々と描くのみで,後は自分で推測するしかありません.例えば終盤,なぜボブ・バーンズが中東に強行し,ナシール王子の車列にたどり着いて何かを言おうとしたのか?単に暗殺指令が下っているので用心しろと言いたかっただけなのか?シナリオはそこまで説明的ではありません.そういう意味で,何度でも楽しめる?映画に仕上がっています.

あまり詳しいストーリーを紹介するわけにはいかないのですが,石油利権をめぐるビジネスと国家権力のせめぎあい,産油国の心ある改革者が巻き込まれた後継者争い,シリアとイランが糸を引くレバノンのヒズボラ貧困と差別と劣悪な統治というテロリスト育成三条件がぴったり当てはまる湾岸地域の現実,などなど,現代史の重要な一部を勉強するには大変良い教材です.今,似たことがカザフスタンモンゴル国でも起こっているらしいことを考えると,日本に住む私たちにも大変関係の深い世界であることには間違いありません.大変残念なことですが,中央アジアにもテロリストが生まれるのは時間の問題でしょう.監督自身が Making で語っていますが,この映画では個々の登場人物が主役なのではなく,彼らは石油利権を巡る闘争の歯車に過ぎないという解釈を感じ取らざるを得ません.

George Clooney はこの映画の役作りのために 13kg も太ったそうです.確かに太ったおじさんになっていましたが,この人は役作りが本当に上手いですね.プロフェッショナルです.一方,Matt Damon は Private Ryan の頃に比べるとだいぶ上手くなり,幼い息子の死をきっかけに夫婦の間に生じた微妙な溝に苦悩する夫の役を上手く演じることには成功していますが,産油国の改革王子の参謀としての役作りには完全に失敗しています.Geffrey Wright は完全にプロフェッショナルな俳優で,とにかく上手いの一語に尽きます.特別版のおまけディスクには監督の語り付きの Making 映像がふんだんに含まれ,撮影の意図と苦労を知ることができます.40度を越える酷暑の中,撮影はさぞ大変だったことでしょう.俳優さんも,製作スタッフの皆さんも,大変ご苦労様でしたと言いたくなる映画です.

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2006/07/23

梅雨明けしない

なかなか梅雨明けしませんね.気象庁のデータによると,今年の入梅は関東甲信地方ではほぼ平年並み,梅雨明けは沖縄奄美地方では平年よりも一週間ほど早いのですが,九州以北の梅雨明けはまだ目途が立っていない模様です.今でも九州では記録的な豪雨が降っていますので,8月に入るまで梅雨明けは無いと考えたほうが良さそうです.

ほぼ5年から10年に一度の割合で,梅雨が明けずに冷夏になることがありますが,今年もそうなのでしょうか?地球温暖化で日本が亜熱帯化すると8月になっても梅雨が明けないのが普通になるという話もあります.一体どういうことになるのやら.

いずれにせよ,日本にしばらく住んだ外国人がいみじくも言った言葉

日本は暑いか寒いか雨が降っているかのいずれかだ.
に私は深く同意する者であります.皆さんはどう思われますか?

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2006/07/21

ブティックホテル

Vietnamsingapore_jul2006045m

先週シンガポールで宿泊したのは,上の写真でわかるような大変キテレツなホテルでした.事の発端は,予約してあったはずのホテルがオーバーブッキングの手違いで部屋を確保できず,待たされたあげく紹介されて訪ねた通称ブティックホテル.

でも行ってみるとどうも様子が変です.まずフロントが変.まるでインテリアショップの売り場のよう.次にエレベータに乗ってこれも変.だって照明が真っ青なんですもの・・・そして部屋に入ったとたんに目が点に・・・だって部屋の真ん中に大きなバスタブが二つでーんと・・・うー何じゃこれは?というときの写真です.

居心地はよくありません.ベッドは急なはしごを登ったロフトにあるので,昇り降りが大変.プラズマテレビがフロアとベッドの前に合計2台もあったり,ベッドサイドに BOSE ラジオがあるのは大変結構なのですが,このインテリアではなかなか落ち着けません.リクライニングソファの代わりに置いてあるのが何と床屋の椅子・・・あー,クラクラ来る.しかしバスローブは極上の超一級品.シャワーも TOTO の機能あふれる高級品.洗面台のアメニティーグッズも大変洗練された逸品ばかり.

もちろん料金も一流だったので,あまり褒めたものではありませんが,普通のホテルに飽きた人には良いのかも.

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2006/07/18

中国人リアリストによる日中比較論

「権力社会」中国と「文化社会」日本 (新書) - 王 雲海

書店に立ち寄った際にほんの軽い気持ちで買ってみたのですが,なかなか面白かったというのが素直な感想です.著者は80年代に中国本土から日本に留学し,現在は日本の大学で教授を務める中国人.法学が専門との事で,なるほどその主張の背骨には法学がしっかりと通っていることが後になってわかります.

著者は,中国は権力者が広大な国を治める必然として政治的「権力」に基礎を置いた社会が構成され,それに対して日本は,大衆の「文化的な暗黙知による共同体意識」に基礎をいた社会が構成されたと論じます.これら二つの社会の差異は意外にに大きく,その違いをお互いによく認識しなければ,様々な誤解やすれ違いが生じて緊張が高まると言います.特に,日本と中国のいずれかが圧倒的に他よりも優位に立つ場合には緊張は生まれないが,現代はどちらも対等な程度の優位さを持つようになり,それでかえって緊張が生まれてくるのだと述べます.特に,日中友好の歴史的変遷を上記の理論で構造化して見せるくだりは,著者自身の体験と重なって大変わかりやすい解説となっています.

面白かったのは,日本と中国に対比させてアメリカのことを「法律社会」と看破しているくだりです.これは昔から幾度となく言われてきたことですが,「権力社会」「文化社会」と対比させてこそ,その意味が良くわかります.しかしアメリカは既得権や安全保障に対しては極めて貪欲で,超法規的なことを平気でやってのける暴力的な社会でもあることも肝に銘じておくべきでしょう.

著者は非常に良心的なリアリストだと思います.昨今の緊張する日中関係に心を痛め,それを何とか改善しようと考えています.それにはまず違いを認め,それを良く理解することから始めようと言っているように聞こえます.遠回りのように聞こえますが,それが異文化と付き合うときの基礎であることは間違いありません.全体にやや饒舌でしつこいと感じられる面もありますが,同一の本質を様々な角度から切り取って見せてくれる手法は功を奏していると思います.このブログで2年ほど前に紹介した中山治さんの「戦略思考ができない日本人」とあわせて読むと,さらに理解が深まると思います.

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2006/07/17

マーライオン

Vietnamsingapore_jul2006067m

先週半ば頃はシンガポールにいました.上の写真は世界三大がっかりの一つなどと言われているシンガポールのマーライオンです.でもライトアップされて水を吐く姿はなかなか観光地らしくてよいですね.蒸し暑いのを我慢すれば,海岸沿いの遊歩道を歩きながら夜景を楽しめます.ただしシンガポールの夜景は香港のそれと比べるとだいぶさびしい感じがします.

シンガポールの良さは,東南アジア随一の先進国であり,高い生活水準,ゆったりと公共空間を確保した都市計画,快適な空港,道路,都市交通,そして多国籍の人々が融合した独特の魅力ある社会,多様性に富む食べ物,などでしょう.これらはエリート政治家による開発独裁政治の正の遺産と言えます.

一方,国土が狭小で人口が少ないために一国としての産業の集積は難しく,市場としての魅力ももちろん無く,金融以外の大企業が少なく,金融と中継貿易以外に有力な産業を育成できていないという弱点は解消されないままです.

政治的には華人であるリー一族の優勢が続き,当面はこれまでの開発独裁的な政治を続けるものと思われますが,良くも悪くも中国の経済成長の影響を強く受けるようになったために,台湾との関係も含めて今後の舵取りはなかなか難しいのではないかと心配です.

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2006/07/16

ハノイ

Vietnamsingapore_jul2006018m

先週初めはわけあってベトナムにいました.上の写真はハノイ駅です.ハノイはもちろんベトナムの首都ですが,政都であって商都ではなく,南部のホーチミン市,かつてのサイゴンに比べると,街の活気や華やかさではかなり劣り,政治の中心らしくて垢抜けない感じが否めません.

印象的だったことは,道路にオートバイが多かったこと,独特の円錐形の帽子をかぶり天秤棒を重そうに担ぎながら,果物や食べ物を行商してまわるおばさんたちが多かったことです.また路上で低い椅子に座って飲食をする人たちが多いこと.街は蒸し暑く,ちょっと歩いただけで汗ばみますが,しかしこの街の女性たちの身なりは,貧富によらず実にきちんとしていていること.アオザイ姿の女性が街中を歩いていたこと.そしてデング熱の予防のために防除したのでしょうか,蚊などの虫がいなかったことです.

ハノイの郊外の空港近くの水田地帯では一部で田植えをやっていましたが,農機具などは一切無く,その代わり牛が犂を引いたりあぜ道を歩いたりしていました.近くには巨大な工業団地が建ち,キャノンやデンソーの大工場からは夕方の退勤時に大勢の若い女性従業員たちが吐き出されていました.市内の道路を埋め尽くすほどのオートバイの数から考えても,あと10年すればこの国は確実に経済成長の軌道に乗ることでしょう.

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2006/07/08

こちら側からあちら側へのパワーシフト

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる ちくま新書 - 梅田 望夫 (著)

ベストセラーだと聞いていながらなかなか手を出せずにいたのですが,駅でちょっとした時間待ちをする間に書店に寄って買ってきました.読み始めてみると一気に読み進むことができて,あっという間に読了しました.この本に書いてあることは,ほとんどが既に知っていることでしたし,個々の項目が意味するところもわかっていたつもりではあったのですが,改めて体系的に説明されると全体像がよく見えてきて,Web 2.0 のすさまじさが感覚的につかめるようになります.そういう意味でこの著者は文章力がありますね.結構複雑な概念を短いキーワードで縮約し,滑らかな日本語で語ってくれます.この語り口の上手さがベストセラーになった一つの要因ではないでしょうか?

私は著者より一世代年上で,学生時代にマイクロ・プロセッサに慣れ親しみ,大学院を卒業する頃からようやく出回りだしたパソコンを触り始めた記憶があるのですが,その当時から一貫して感じ,論理的にもそうだと思うのは,パソコンやインターネットの中心思想は,60年代に生まれたアメリカン・カウンター・カルチャーにあるという点です.インターネットやオープン・ソースの根底に流れるのがこの思想であることは間違いありません.60年代に世界を覆いつくした思想革命は,その後も力強い命脈を保ち,時代の節目節目に顕在化してきました.それが非常に強い力を持つようになったのは著者が言うとおりここ10年のことです.チープ革命とインターネットのお陰以外の何ものでもありません.私が10年前の1996年の年賀状に書いた文章を以下に抜粋してみましょう.

私にとって INTERNET のキーワードはアナキズムそのものであり,60年代から脈々と伝えられ受け継がれていったアメリカン・カウンターカルチャーの最新の贈り物であります.大体,パソコンというもの自体がカウンターカルチャーの象徴的存在です.日本の政治家や官僚や企業経営者でこの意味が判っている人がどの程度いるのでしょうかね?商売ネタだと思っていると,実は永年の宿敵だった,と気付くことが出来るのかな?

Web 2.0 を象徴する企業として Google が詳しく紹介されていますが,著者は更なる破壊者の出現を予言しています.Google はエリート技術者の独善的集団であると看破し,より大多数の知的大衆の知恵と善意を集積してその中から玉を選び出すことが更なる破壊につながる,と著者は言います.それを次世代の若者に託している辺りは,既に老境に達しているかのような感じさえ受けますが,私たちとは "住む世界が異なる" 若者たちに託さざるを得ないことも真実なのでしょうね.でもそのときに知的大衆の一人ではありたい,と思います.

私が特に共感できたのは,終章近くで,日本のエスタブリッシュメント層は自分が属する組織を一度も辞めたことが無い人たちから成っているという指摘です.これは私が転職するたびに強く感じ,日本社会に違和感を感じる最大の原因だったので,胸がスーッとしました.さらに付け加えると,日本の社会制度は個人が組織への帰属の仕方を一生変えないという前提に基づいて設計されており,人の生き方の多様性に対する配慮がほとんど見られないことが最大の欠点です.まるでメニューが一品しかない定食屋のようなものです.それも毎日が焼き魚定食ばかり・・・みたいな.サラダバーで好きなだけ野菜やパスタを取った後で,焼き方を指定したステーキを食べ,好みのデザートで締めくくって,エスプレッソで余韻を楽しむ,という選択の余地がまるでありません.江戸時代のほうがはるかに選択の余地があったように思いますが,日本はなぜ近代になってから画一的なモノカルチャーに堕してしまったのでしょう?歴史の発展の向きが逆だよねぇ?

で,Google の次なる会社を起こすか,加わりたいと思い始めたのですが,こちら側に住む50代では無理なんでしょうね?

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舞水端里ミサイルサイト

Musudanri_missile_site

先ほどポストした画像は,舞水端里 (Musudan-ri) のミサイル施設のうち,ロケットモータのテストスタンドだったことがわかりました.その後調べた結果を合わせて,改めて舞水端里の全景の衛星写真をアップします.縮小したサムネイルにしていますので,クリックして 100% 画像を見てください.こんなことがすぐに簡単にわかってしまうところが,インターネットのすごいところですね.比較的近隣に民家が立ち並ぶ集落があったり,段々畑(棚田?)があったりして,厳格な立入禁止地域というわけでもなさそうです.暇なときは,ミサイルサイトの要員が畑を耕していたりして・・・?

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北朝鮮のミサイル発射台?

Norothkoreamissilelauncher

北朝鮮はとうとうミサイルを発射したそうですが,ここしばらく Google Earth で探し回って,ようやくそれらしいものを見つけました.北朝鮮のミサイル発射台のつもり・・・当たっているかなぁ?今回使用されたものかどうかはわかりません.

季節は初冬という感じです.太陽高度はかなり低く,そのお陰で,長く伸びた影から構造物の高さがわかります.かなり高そうですね.周りには頑丈そうなコンクリートのプラットフォームと小さな建物,そしてアクセス道路がつながっています.発射台に建物が近すぎるのでは?とも思いますが,発射台の真下は建物とは反対側に下る斜面になっていることがわかり,燃焼ガスの影響は少ないのでしょう.

Google Earth のユーザーサイトに掲載されているロシアの ICBM 発射サイトに比べると,何とも粗末な感じですが,まあ,最低限これでよいのかもしれません.

実は,本当にここで正解かまだ自信がありません.報道機関も位置情報を公開して「みなさん,Google Earth でここを見てみましょう!」くらいのことを言っても良いと思うのですが.それにしても,Google Earth ってすごいなあ!

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2006/07/05

ラウンドアップ

Ca250174m右の写真は自宅の近所の田んぼのあぜを撮ったものです.おそらくラウンドアップ系の除草剤を撒いて雑草を枯らした後です.ラウンドアップについては上のリンクで Wikipedia を参照していただきたいのですが,米国 Monsanto 社が1970年に開発した除草剤で,日本では日産化学が商権を持っていますが,すでに特許の保護期間が切れているため,主成分を含む安価なジェネリック品が各社から発売されています.

ラウンドアップはほぼ全ての植物に対して効力があり,植物の体全体を枯らす力があります.右の写真でも,除草剤を撒いた範囲の全ての植物が茶色く枯れているのがわかります.農家にとっては除草の労力を省けるために,田んぼのあぜに対してもラウンドアップを使う場合があります.しかし田んぼの中には撒けません.稲自体が枯れてしまうからです.

ところが Monsanto 社は,このラウンドアップに耐性を持つ遺伝子組み換え作物を作り,その種子をラウンドアップとセットで販売しています.今のところ水稲の Roundup Ready 種子については聞いたことがありません.ニーズが少ないと判断したからでしょうか?一方,小麦の Roundup Ready 種子はすでに世界中で栽培されています.広大な小麦畑に飛行機からラウンドアップを撒くと,小麦だけは青々と茂り,その他の雑草は茶色く立ち枯れるという光景が目に浮かびます.

遺伝子組み換え作物には,食品としての安全性の問題と,環境に与える影響の二つの問題点がありますが,このポストでは後者のみを扱うことにします.

ラウンドアップで雑草を全て枯らしてしまうと,生態系に対する影響は絶大です.それぞれの雑草に依存する昆虫は死滅し,その昆虫に依存している昆虫や鳥類,両生類なども生きていけなくなります.ラウンドアップを撒くとほとんどの生物種を消してしまうことになり,ある種の砂漠化をもたらします.確かに上の写真を見ていても感覚的に気持ちよくはありません.いやな感じです.まるで "沈黙の春" のミニチュア版です.

地球生態系が小麦畑だけで成り立っていれば,影響はそこまでなのでまだわかりやすいのですが,生態系の網の目 (WEB) は,想像を絶する広がりと多様性を持ち,複雑な相互作用によって動的な安定性を保っていると考えられています.その一部が大規模に破壊された場合,残りの生態系に及ぼす影響を予測するのはほとんど不可能です.線形な系の常識は通用せず,非線形で非平衡な開放系の力学を予測するには,現在の人類の知恵は十分ではありません.

われわれの能力不足を前提にすると,保守的ですが合理的な一つの行動基準として,影響を予測できない撹乱はできる限り与えない,というものが考えられます.それよりも冒険的な行動基準として,危険な兆候が現れるまでは撹乱による効用を優先させる,というものもあり得ます.しかし非線形な系では,兆候が現れてからではどんな手を打っても手遅れ,というリスクが付きまとうので,私はより保守的な基準を選ぶべきだと考えています.

伝統的な有機農法と,農薬プラス遺伝子組み換え技術とは,一概にどちらが優れているとは言えません.それぞれに利点とリスクがあります.前者の利点は,食品衛生や環境に対する重大な悪影響が無いということであり,リスクは,世界の増大する人口を養うには効率が悪いということでしょう.後者は農業の効率に絶大な恩恵をもたらしますが,生態系に対する悪影響は相当程度残ります.世界中が有機農法に限った農業を行えば,生物多様性や環境の質は良く保たれますが,農産物は高価になり,貧しい地域では飢餓が起き,その結果,世界の人口は今より少ないレベルで均衡するでしょう.これを望む人たちは確かに少なくありません.一方,バイオテクノロジーを農業に取り入れると,世界の人口,特に発展途上国の人口はまだまだ増大して経済活動はますます盛んになりますが,種の多様性は損なわれ,生態系は貧弱になり,世界の風景はより殺伐としたものになることでしょう.しかしこの方向が良いと感じる人たちもまた多いのです.

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2006/07/02

美声がしみわたるフォーク

My Life [from US] [Import] - Grace Griffith

この人の CD は全く初めて聴きました.そもそもなぜこの CD を買ったのか良く覚えていませんが,先月 Amazon.com から届いた荷の中に入っていました.どうもブルーグラスやカントリーではなさそう・・・そう思って聴き始めると,あーっ!この人は声が美しい!まるで Eva Cassidy のよう!(Eva Cassidy のアルバムはこのブログでも紹介していますので,そちらを参照してください.)

彼女の美声にはピアノを多用した伴奏が良く似合います.優雅なフォークソングといったところでしょうか?アルバムタイトルでもある第1曲目の "My Life" はその代表格.一方,フィドルを効果的に使った第4曲目の "The Cuckoo" はトラディショナルフォークとして味わい深い一品.声を張り上げるでもなく,あくまで穏やかに優しく歌う唱法なのですが,芯の通った中低域を持つ伴奏とのミキシングが大変素晴らしい出来で,全体としてはしっかりとした,しかしうるさくは感じない音楽に仕上がっています.ピュア・オーディオ向きですね.まともなセットで聴かないとこの良さはわからないと思います.

とにかく声の美しさは特筆ものなので一聴の価値ありです.Amazon.com の評価でレビューワー全員が五つ星なのも頷けます.

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2006/07/01

Connexion By Boeing事業見直し

Boeing 社は,同社の航空機ブロードバンド接続サービスである Connexion By Boeing 事業の見直しを行うことを発表しました.

Connexion By Boeing については,このブログでも以前に紹介したばかりですが,サービスレベルと価格との釣り合いがあまりに取れないために,利用者が増加しなかったものと思われます.とにかく遅いので,ほとんど使い物にならず,これでは正規の料金を払って接続しようという気も失せるもの.SLAの裏づけとなるKPIを明確にしない契約では,だれも高い料金を払わないでしょう.

飛行機の中はただでさえアルコールや映画や音楽が振舞われており,特に最新の機材を使ったビジネスクラスでは映画はVODとなっているので,あえて接続の遅さにイライラしながら仕事しようという気にはなれません.

ほぼ同日に,JR東海が東海道新幹線 N700 系車両での無線LANによるブロードバンド接続サービスについて発表しましたが,一編成全体で上り 1Mbps,下り 2Mbps という低速です.これもConnexion By Boeing の二の舞にならなければ良いのですが.

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