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2006年8月

2006/08/27

個人輸入に対する消費税の怪

Photo年に数回,米国の Amazon.com に CD を注文して取り寄せたり,Lands' End から衣料品を買ったりしていますが,どうも腑に落ちないことがあります.それは消費税のことです.購入するのが CD であれ衣料品であれ,それが少額であれば何も課税されることはありません.単に国際郵便で届くだけです.しかし CD の場合,枚数が10枚を越えるあたりから消費税がかかるようになります.このときには税関に代わって郵便局が徴収を代行する手数料までも払わされる羽目になります.右の写真はこのときの課税通知書です.このときには12,900円の購入に対して500円の消費税と200円の手数料の合計700円を払いました.Lands' End でも同様で,まとめ買いをするとよく税金を取られます.

これはどうなっているのだろうと思って調べてみました.参考にしたのはこのページです.まず CD にかかる関税率は 0% です.ほう?優遇されていますな.これはきっとアメリカの圧力でしょう.関税がかかる場合でも課税価格(商品代金に送料と保険料を加えた金額のことだが,個人輸入と判断された場合には,卸値を基準とした安めの価格,おおよそ 60-80% が設定される)が10万円以下の場合には簡易税率という低めの税率がかかります(例外品目あり).従って,CD には消費税だけがかかることになります.あれ?やっぱり消費税はかかるのか.でもかからない場合があるのは何故?それは課税価格が1万円以下ならば,関税や消費税が免除されるからです.庶民の味方というわけですか?ただし皮革製品などは例外だそうです.

やっと納得.課税価格が1万円を越えるかどうかが分かれ道だったのです.うーむ,そうすると CD は10枚を越えない量で小分けに注文したほうが良いのですね.少し賢くなりました.

ただし革製品には要注意.国内の脆弱な皮革産業を保護するために,革製品からはしっかりと税金を取ることになっています.Lands' End でも革靴などを買うと最高で 41.3% もの関税を取られる場合があります.これでは個人輸入のメリットはほとんどありませんよね.

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Norah Jones の新バンド

The Little Willies [Enhanced] [from US] [Import] - The Little Willies

何ヶ月か前に買ったままになっていた CD の封を切って聴き始めました.曲名リストなどをろくに読まずに,うーん,この CD は一体なんで買ったのだろう?と思いながら聴き進めてみると,どうも Norah Jones の歌声が聞こえてきます.曲はカントリーが主体,でもジャズの香りもなかなか濃厚です.

というわけで,Norah Jones の新バンドがこのアルバムのタイトル "The Little Willies" だったというわけです.Norah Jones はヴォーカルとピアノを担当していますが必ずしも彼女が中心になっていない曲もあり,彼女個人のアルバムというよりはバンドのアルバムという性格が強い構成になっています.ともあれ彼女のファンならば必聴のアルバムですが,私はこれまで彼女の歌唱力に対しては少々厳しめの評価をしてきました.Norah Jones は声質に恵まれているだけではなく,声のコントロールという点に関しても大変上手いものを持っています.しかしコントロールが上手いとは言っても,自分の声域の両端あたりを上手く逃げる技術を持っているというだけで,全体としては平板な感じは否めません.この「ゆるい」感じが都会的で好いのだという向きもあるでしょうが・・・

このアルバムを聴いた上で再評価してみましたが,声の濃淡,陰影というジャズにとって最も重要な部分に関してはまだまだ実力が足りない,というのが私の偽らざる感想です.持ち前のセンスの良さを生かして素直に歌っているとも言えるのですが,情感の表現という大切な部分も含めて,もっともっと良く出来るはずなのになぁと悔しく感じます.濃さが足りないんですよ,濃さが!

それもこれも彼女に対する期待が大きいからです.彼女はまだ若い.1979年の生まれですから,まだたったの27才!Alison KraussRhonda Vincent に比べると一世代かそれ以上若いことがわかります.Rhonda は実は44才なんですよ!というわけで,Norah Jones は,これから人生経験を沢山積んで,いくつものつらい思いを乗り越えて,そうやって内面を成長させながら歌唱力を磨いていって欲しいと思います.

もっともバンドメンバーのパフォーマンスは大変良いです.抑制が効いた,余裕たっぷりのスウィングを楽しめます.しかし録音は良くありません.特に Norah Jones の声が飽和して歪んでいるのがはっきりとわかる部分があり,これをどうして再テイクしなかったのか,ブルーグラス仕様の音作りに慣れている耳には非常に違和感が残ります.

このバンドが,彼女の新しい成長を促すきっかけになってくれればいいのですが.

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2006/08/26

Ruby1.8.5リリース

オブジェクト指向言語 Ruby 1.8.5 リリース

2006年8月25日に,オブジェクト指向言語 Ruby の最新バージョン 1.8.5 がリリースされました.今回は Preview 版のリリースが第5版まで進み少々難産だったのですが,何とか8月中にリリースされました.良かった良かった.

従来は一部の熱狂的な支持層によって細々と開発が続けられてきた Ruby ですが,Web アプリケーションを画期的に効率化するツール,Ruby on Rails の開発・リリースによって,世界中にその名が知られるようになりました.このフレームワークは現在世界中でちょっとしたブームになっており,それにともなって Ruby の知名度も急上昇中です.スクリプト言語の世界では Ruby は日本が90年代に生みだした最高傑作の一つと言われているほどです.

私はだいぶ前に,辞書参照型ソーティングフィルタ Refsort というものを Ruby で実装し,WZ Editor に組み込んで鳥類のリストの整理などに便利に使っています.以下からダウンロードできます.

Refsort本体をダウンロード
日本の鳥類辞書をダウンロード
日本の植物辞書をダウンロード

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冷涼な朝

ここ2, 3週間ほどは高温多湿の残暑に苦しめられていたのですが,今朝は久しぶりに冷涼な朝を迎えることができました.朝目覚めたときには本当にホッとしました.太平洋高気圧が少し南に退き,北東の風が入ってきたのでしょうか?この風向きの時には,関東地方は気温は下がるものの湿度は上がり,じめじめとした涼しさになります.早く湿度も下がってくれないものでしょうか?

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2006/08/19

Connexion By Boeingがついに廃止

先月,このブログで廃止を含めた検討を開始したとお伝えした航空機キャビン内での無線 LAN によるブロードバンドサービス Connexion By Boeing ですが,ついに廃止が決まったようです.

結果的には一度しかお世話にならなかったのですが,まあ確かにあれでは使い物にならないと実感しました.リピート率が相当低かったのではないでしょうか?リピート率の高いビジネス客の需要を取り込まない限り,成立するビジネスではなかっただけに,事前検討が不足していたのではないかと思われます.

実は,Google が Mountain View, CA で地域全体をカバーする無料の無線 LAN サービスを開始したというニュースも流れています.Google のことですから,例によって CRM を駆使した広告を乗せて投資回収を行うのか,それとも利用者の何らかの情報を収集してそれを売って回収するのか,何か仕掛けがあるはずです.日本ではつい数年前に Yahoo BB! が駅前で xDSL のモデムを無料で配って話題を取りましたが,それを上回る仕掛けがあると思われます.こんなことをやられると,既存の商用無線 LAN サービスプロバイダにとっては大変な脅威のはず.いやはや,Google は Web 2.0 的な破壊者であることは間違いないようです.

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2006/08/17

砂漠の中の大農場

Saudiarabiancenterpivotsm

夏休み中は時間に余裕があるので,Google Earth で地球漫歩を楽しむことが多いのですが,今日の早朝,サウジアラビアの砂漠のど真ん中に奇妙なものを見つけました.それが上の写真.一つ一つは円形で,それがあるところでは整然と,あるところでは乱雑に並んでいます.測定してみると,一つの円の直径は約 900m ほどです.

あっ!これは見覚えがある,とすぐに気が付きました.Center Pivot です.円の中心には深井戸があり,そこから地下水をくみ上げ,円の半径の長さのパイプをゆっくりと回転させながら散水する灌漑施設です.アメリカで飛行機に乗ると,中西部の乾燥地帯でよく見かける農場形態です.下の写真はアメリカはネブラスカ州北東部のものですが,こちらも直径は約 800m ほどです.Wikipedia にはこれに関するいくつかの記事があります.例えば,これは灌漑技術全般,これは Ceten Pivot について,これはまさに上記サウジアラビアの Center Pivot についてです.サウジアラビアは豊富な石油収入にモノを言わせて,砂漠の緑化や農地化に取り組んでいますので,その一例と言えるでしょう.

Northamericancenterpivotsm

さて,乾燥地域の灌漑技術についてはこちらの日本語のサイトに詳しいので参照していただきたいのですが,この灌漑方式には大きな問題点があります.一言で言うと,この灌漑はうまくやらないと塩害で農地を破壊したり砂漠化を引き起こしたりするのです.

まず,中心の深井戸から大量の水をくみ上げるわけですが,地下帯水層からのくみ上げに補給が追いついていることはまずありません.サウジアラビアの砂漠では言わずもがなですが,アメリカですら,以前 NHK スペシャルで放映されたとおり,地下帯水層の水は過去数千年かかって蓄積されたもので,毎年その水位は下がり続けてすでに危険な水準にあり,政府機関が地域ごとに地下水位をモニターしてはくみ上げる水の量を規制しているそうです.サウジアラビアでも,この農場は海から遠く離れていますので,海水淡水化ではなく地下水を利用していると思われますので,早晩地下水源の枯渇に直面するでしょう.

もう一つは塩害の問題です.大量の水を散水すると地下水面が上昇し,かつ地表では水分の蒸発が進むため,毛管現象で土壌と灌漑水に含まれている塩分を地表に集積させてしまい,ひどい場合には地表が塩で白く覆われるまでになります.こうなると耕作は不可能となり,その農地は放棄され,植物も生えずに砂漠化が進みます.世界中の乾燥地帯で大規模な灌漑農法を開発した結果,それらの地域では広大な大地が塩害で破壊され,砂漠化を進展させることになってしまいました.植物の根の近くにのみピンポイントで少量の水を供給する点滴灌漑などの技術も開発中されていますが,砂漠化の進展速度には追いついていません.

いずれにせよ Center Pivot はいかにも自然を無理やり人間に服従させるための灌漑方法に思えてしまいます.砂漠のような乾燥地帯で手っ取り早く農業を始めるには良い方法なのかもしれませんが,長期持続的な農法となりえないことは明白です.環境問題で常に問題になる課題「生態系の複雑さに比べると,人間はいかにも浅知恵である」の典型例とも言えるのではないでしょうか?

この話題は近日中に紹介するある本の前振りになるエピソードですので,覚えておいていただけると幸いです.

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2006/08/15

真夏の秋刀魚

Summerhome_2006031m

夏の夕暮れを楽しんだ後は,近所の居酒屋で一杯.メニューを見ると,なになに?秋刀魚の刺身とお寿司?ほぅ,これでも食ってみるか,ということで注文して出てきたのが上の写真.既に油がよく乗っていて,大変美味でありました.下ろし生姜とのコンビネーションが絶品です.芋焼酎との相性も抜群.お値段もまことにリーズナブル.こういうものが食べられるのが日本の実によいところですね.

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夏の夕暮れ

Summerhome_2006028m

夏至からそろそろ二ヶ月.日本の場合,夏至の頃の強烈な日差しは梅雨空の厚い雲に覆われて遮られるので,梅雨明けしてからが夏本番の日差しと暑さを感じることになるのですが,既に太陽はどんどん赤道方面へ後退中なので,8月にはいると目立って日の出が遅くなり,日の入りも早くなります.日本ではまだ晩夏というほどではありませんが,北方の高緯度地域では8月は秋に分類され,すでに草の実の実りの季節.ツンドラではベリーの類が豊富に実ります.

上の写真は昨日の夕暮れ時.穂が出た稲が,金色の夕日を浴びながら夕風にそよいでいました.あと一二週間もすれば,穂には実が入り,頭を垂れてくるのでしょう.この調子でいくと,この辺りの今年の稲刈りは9月上旬から中旬くらいになりそうです.

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2006/08/14

夏雲湧く

Summerhome_2006023m

ここ数日は関東上空に寒気が入り込み,大気の状態が不安定になって毎日のように積乱雲が湧いて雷雨が降ります.8月12日の雷雨では落雷がひどくて,送配電系統が弱い私の住む地域では何度も停電を繰り返しました.昔から雷三日と言われるように,寒気はいったん入り込むと三日くらいは居座るのでしょう.今日もかなり積乱雲が湧いていますが,雷雨を降らせるほどには発達していません.

南海上には台風が二つ発生.そのうち小笠原付近にあるアジア名 Wukong-06 こと台風10号は西日本に接近しそうですし,フィリピン東海上に発生した台風11号は東日本に接近しそうです.これから台風が次々と発生して海岸には土用波が押し寄せるようになり,サーファーは大喜びするのでしょうが,一般の海水浴には不向きな季節になります.

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2006/08/12

日本航空123便墜落事故を悼む

今日から数えて21年前の1985年8月12日,日本航空123便が垂直尾翼を破損させて油圧系統が全滅となり,操縦不能で迷走したあげく群馬県多野郡上野村の高天原山に衝突し,520名の乗客,乗員が亡くなりました.

当日,私は妻とともにアラスカでの休暇を終え,アンカレッジのモーテルでパリ行きの飛行機を待っているところでした.モーテルを出る直前にテレビニュースのテロップで事故のことを知りました.アンカレッジ空港の待合室にはトランシットで出発を待つ大勢の日本人観光客がいましたが,まだ誰も事故のことを知りませんでした.パリに着くと新聞の第一面に大きく事故のことが報道されていたことを覚えています.

事故後10数年にわたって,大きく二つの論争が引き起こされました.一つは事故原因について.もう一つは墜落後の救出活動についてです.

事故原因についての公式の見解は,それ以前の軽微な事故の修理の仕方がまずく,後部圧力隔壁が飛行中に疲労破壊して尾翼と油圧系統を損傷したというものです.しかし根拠が十全とは言えず,矛盾する事実がいくつもあるという説が流れ,今でも完全には信用されていません.そのために,米軍または自衛隊の UAV (Unmanned Aerial Vehicle: 無人標的機や無人偵察機) や訓練用のミサイルが尾翼に衝突したという説に代表されるように,様々な憶測が行われ,いくつかは書籍として出版されています.

墜落後の救出活動については,在日米軍の輸送機が墜落の1時間後に正確な位置を確定し,墜落の2時間後に厚木基地の海兵隊員を暗視装置つきのヘリコプターで現場に降下させようとしていたにも関わらず,警察庁から断られて海兵隊を引き揚げさせたことや,習志野の第一空挺団が政府の命令によらず独自の判断で出動し,危険な夜間降下を上申したが却下されたこと,しかし自衛隊も警察も墜落地点の特定に手間取り,陸路での救助が開始されたのは墜落から15時間も経った翌日午前10時だったこと,その間に少なくない数の生存者が死亡したことなど,当時の対応のまずさが批判されています.しかし,当時の自衛隊や警察の装備,通信や航測の技術,夜間で雨,お盆の渋滞などの状況を考えると,各部署は最善を尽くしたとも反論されています.

この事故の全貌を知るのは今でも簡単ではなく,Wikipedia で最近書き進められている「日本航空123便墜落事故」が,修正・推敲を求められてはいるものの,私にとっては最も良くまとまった解説で,既存の出版物や Web サイトへのリンクも豊富です.これ以外には,様々な疑問点を列挙した Web サイトがあったり,フライトレコーダの記録を紙から読み取り,それをマイクロソフト・フライト・シミュレータに入力し,ボイスレコーダの記録とともに飛行の様子を忠実に映像として再現したものがあったり,個人の様々な試みが見られます.

私の年配の知人は事故の数年後に,フライトレコーダの記録から機体にどのような衝撃力がかかったのかを丹念に読み取り,圧力隔壁の破壊ではそれが説明しにくいこと,垂直尾翼に直角方向に力が加わったと解釈するのが最も妥当であるとの結論を出し,それからさらに推測として UAV 衝突の可能性を示唆していました.

遺族にとってはこのような真相の追究はどう思われているのでしょうか?もう済んだことだからそっとしておいて欲しいと思っているのか,それともまだ腑に落ちないわだかまりが胸に残っているのか.

私自身は,事故の原因追究は,責任追及とは完全に分離して,真実を語る代わりに免責を与えるなど責任追及を犠牲にしてでも,最優先に行うべきと思っています.それによってこそ教訓が後世に生きると考えるからです.様々な理由によって口を閉ざしている関係者たちの中には,十分時間が経った後には知っていることを語りたいという人も出てくると思われますので,そのような人たちが多く現れてくることを期待したいと思います.

この事故の4年後1989年7月に,アメリカのユナイテッド航空232便のエンジンのファンブレードが破断・飛散して油圧系統を全滅させるという事故を起こしましたが,当時,日本航空123便の事故を教訓にして,油圧系統全滅を想定したシミュレータ訓練がすでに行われており,機長たちは左右のエンジンの推力調整だけで機体を立て直し,空港に不時着を敢行しました.着陸は万全ではなく機体は回転しながら分解炎上.しかし消火活動の助けもあって乗客296名中185名は生存できました.ここでは教訓は生かされたのです.

私は飛行機に乗るたびにいつも覚悟をしてキャビンに乗り込みます.そして飛行機が着陸した瞬間「あー今度も生き延びた」とため息をつきます.いつまでこんなことをやっているのだと思いながらも,利便性とリスクを秤にかけ,また飛行機に乗ることになるのです.

犠牲者の方々の御冥福を心よりお祈り申し上げます.

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2006/08/10

劇薬の楽な飲み方も教えてほしい

日本の電機産業再編へのシナリオ―グローバル・トップワンへの道 (単行本) - 佐藤 文昭

著者は業界では有名な証券アナリスト.その人が,長年の業界ウォッチングから提言した日本の電機産業再編のシナリオがこの本です.シナリオの内容は,従来から業界内では現れては消えをくりかえして来た「構想」を体系化し,段階を経た再編となるようにステージを調整したものです.従ってそれほどの目新しさはありませんが,もしもこれがそのまま実現すれば,確かに著者が言うように日本の電機業界の復活も真実味を帯びてきます.

しかしその構想を実現するには,このシナリオの提示だけでは到底不十分で,シナリオを実行するための実に様々なプロセスの詳細設計が必要になります.企業間同士の話し合いで決められるものだけではありません.法改正が必要になったり,社会保険庁の改革をセットにしなければならなかったり,あるいは地方自治体の再建団体化を引き起こしたり,と社会的影響も極めて大きなものになるでしょう.日本全体を巻き込んだ改革ができるかどうか,そうです,日本社会全体の改革力が問われるものとなるでしょう.

著者の主張で光っているのは,現状を幕末の日本,薩摩と長州の対立になぞらえて改革を促している点です.薩長は結局は世界における日本の地位を認識し,国内での対立の不毛を悟って大改革に舵を切りました.それは薩長がより大きな危機感を共有できたからでしょう.日本の産業界も,競争相手は国内のライバル企業ではなく,台湾や韓国の企業だという認識と危機感を共有できれば,日本人はこの程度の再編をやり遂げる力は十分にある,と著者は主張します.

著者のシナリオは,Post Merger Integration への言及が不十分だったり,反対仮説を想定した論理展開がなされていなかったり,同じ話の繰り返しが多かったりと,手ごたえが不十分な面もありますが,日本の電機業界の長年の悩みをすっきりと語ってくれるので,経営戦略系でうっぷんのたまっている向きには,夏の夜の憂さ晴らしになること請け合いです.

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2006/08/07

劇画風だった県庁の星

県庁の星 スペシャル・エディション - 出演: 織田裕二, 柴咲コウ 監督: 西谷弘

このブログで日本映画を取り上げるのは初めてではないかと思いますが,最近,国際線の機内で見て結構楽しめたものですから,忘れないうちに紹介しておきましょう.ただしこの DVD は10月下旬の発売予定ですので,お間違えのないように.

この映画は職業というかビジネスというか,相容れることのない対極の関係にある二つの領域,エリート公務員とパートの店員,希望あるキャリアと底辺の労働者,権威と実利,などのちょうど境界で,二人の人間が複雑な相互作用を始めるというところを,エンターテイメントとして上手く描いた作品です.

組織や人物の描き方はステレオタイプで,少々極端なところもあります.県庁のエリート職員たちが高層庁舎の上階でエスプレッソを旨そうに飲んでいたり,スーパーの惣菜加工場で,賞味期限切れの惣菜を「蘇らせる」作業が行われていたり,県庁の企画系のエリート公務員が地元建設会社の社長令嬢と婚約していたり,スーパーにクレームを持ち込んでは茶飲み話をして帰る孤独な老女がいたり,県庁で役人言葉を駆使した答弁マニュアルが整備されていたり,などなど,ありそうで,ありそうでなくて,でもどこかで聞いたことあるなぁ,などというエピソードがちりばめられていて,このあたりはかなり劇画風です.どちらかと言うと本宮ひろ志の系統かなぁ?

面白かったのは弁当の商品開発のエピソード.この部分はなかなか良くできていて,マーケティングの面白さがちりばめられています.織田のチームに配属された外国人労働者たちの演技も上手い.廃棄された弁当をゴミ箱からあさる路上生活者からヒントを与えられるなど,サービス満点のエピソードに仕上がっています.劇画風ですけどね.

織田祐二と柴咲コウの掛け合いもなかなか良くできていますが,織田も柴咲も暗さを含ませた役を演じていますので,このキャスティングで良かったのかどうかは少々疑問が残ります.しかし終盤,柴咲がうれしそうに微笑むシーンは最高で,ハッピーエンドでめでたしめでたし.飛行機の中でしばし楽しむにはもってこいです.

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2006/08/06

台風マリア

暑い!今年は梅雨明け直後が妙に涼しかったのでたかをくくっていたのですが,やはり暑くなってしまいました.暑いのが苦手な私には日本の夏は苦痛以外の何ものでもありません.暑さもさることながら,この湿度は何だ!真夏の日本列島は,まるで煮えたぎる鍋の中に浮かんだ木の葉のようなものなので,高温多湿は当然なのですが,それにしても何とかして欲しい!そういえば先月訪れたハノイもこんな感じでした.えらく蒸し暑かった.かなり内陸の都市なのに,と思ってはみたものの,飛行機の着陸直前に見えた風景は,巨大な川に寄り添うように開けた大湿地帯という趣きだったので,当然といえば当然ですか.

Google Earth のプラグイン "Harricanes lives positions" で確認すると,現在日本に接近中の台風 MARIA-06 はあと数日で西日本に達する模様です.8月8日 18:00GMT には足摺岬付近に達する見込み.これよりも少し前に発生した台風 SAOMAI-06 は台湾-宮古八重山諸島方面へ向かっています.いずれも渦巻きが良く発達した台風で,直撃を受ければ何らかの被害は免れません.この SAOMAI-06 の通り道には,もう一つ渦を巻いた巨大な雲の塊りが見えるので,これも台風に発達するかもしれません.

週明けには日本列島付近のお天気のモードが変わってくるかな?

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