Norah Jones の新バンド
The Little Willies [Enhanced] [from US] [Import] - The Little Willies
何ヶ月か前に買ったままになっていた CD の封を切って聴き始めました.曲名リストなどをろくに読まずに,うーん,この CD は一体なんで買ったのだろう?と思いながら聴き進めてみると,どうも Norah Jones の歌声が聞こえてきます.曲はカントリーが主体,でもジャズの香りもなかなか濃厚です.
というわけで,Norah Jones の新バンドがこのアルバムのタイトル "The Little Willies" だったというわけです.Norah Jones はヴォーカルとピアノを担当していますが必ずしも彼女が中心になっていない曲もあり,彼女個人のアルバムというよりはバンドのアルバムという性格が強い構成になっています.ともあれ彼女のファンならば必聴のアルバムですが,私はこれまで彼女の歌唱力に対しては少々厳しめの評価をしてきました.Norah Jones は声質に恵まれているだけではなく,声のコントロールという点に関しても大変上手いものを持っています.しかしコントロールが上手いとは言っても,自分の声域の両端あたりを上手く逃げる技術を持っているというだけで,全体としては平板な感じは否めません.この「ゆるい」感じが都会的で好いのだという向きもあるでしょうが・・・
このアルバムを聴いた上で再評価してみましたが,声の濃淡,陰影というジャズにとって最も重要な部分に関してはまだまだ実力が足りない,というのが私の偽らざる感想です.持ち前のセンスの良さを生かして素直に歌っているとも言えるのですが,情感の表現という大切な部分も含めて,もっともっと良く出来るはずなのになぁと悔しく感じます.濃さが足りないんですよ,濃さが!
それもこれも彼女に対する期待が大きいからです.彼女はまだ若い.1979年の生まれですから,まだたったの27才!Alison Krauss や Rhonda Vincent に比べると一世代かそれ以上若いことがわかります.Rhonda は実は44才なんですよ!というわけで,Norah Jones は,これから人生経験を沢山積んで,いくつものつらい思いを乗り越えて,そうやって内面を成長させながら歌唱力を磨いていって欲しいと思います.
もっともバンドメンバーのパフォーマンスは大変良いです.抑制が効いた,余裕たっぷりのスウィングを楽しめます.しかし録音は良くありません.特に Norah Jones の声が飽和して歪んでいるのがはっきりとわかる部分があり,これをどうして再テイクしなかったのか,ブルーグラス仕様の音作りに慣れている耳には非常に違和感が残ります.
このバンドが,彼女の新しい成長を促すきっかけになってくれればいいのですが.
| 固定リンク | 0
「音楽」カテゴリの記事
- パリ・オリンピック開会式に寄せて(2024.08.31)
- 音楽ライブラリを再構築(2023.04.28)
- Willie Nelson 珠玉のデュエット集(2022.09.08)
- 梅は咲いたか桜はまだかいな(2021.02.27)
- いよいよ投票(2020.11.03)
コメント