よみがえるHank Williams
Timeless: Hank Williams Tribute [Compilation] [from US] [Import] - Various Artists
私が初めて Hank Williams の曲を知ったのは,実は映画の中でのことです.大好きな映画 "ショーシャンクの空に" の中で,刑務所の中に図書館を作っていく場面がありますが,そこで外部から寄贈してもらった売れ残りの図書やレコードを蔵書にしていきます.囚人の一人がご機嫌になってヘッドフォンで聞いているのが Hank Williams の名曲 "Lovesick Blues" なのです.古いスタンダードナンバーだそうですが,人口に膾炙するようになったのは Hank Williams が1949年にヒットさせてからのようです.それが時代背景を想起させるものとして映画のこの場面につながったという事なのでしょう.
ことほどさように Hank Williams はカントリー界では誰一人知らぬ人はないくらいの "古典" なのですが,残念ながら早世したために,おそらくは見せてくれるはずだった円熟の味が後世に残らなかったことが誠に残念.しかし,短い人生の中で作った曲の数々は今もスタンダードとして歌い継がれています.このアルバムはその追悼盤で,当代一流のアーティストたちが彼の残した曲を,それぞれの持ち味で,歌っています.ここではあえて顔ぶれをリストしませんが,豪華な顔ぶれであることに間違いありません.
上記 Lovesick Blues は10番目に収録されていますが,歌っているのは若手の Ryan Adams です.私が良かったと思えるのは第11曲目で Lucinda Williams が歌っている "Cold, Cold Heart" です.Hank Williams の味を保ちながら,5分8秒間の見事な Lucinda 節になっていて聴き応えがあります.
アルバムジャケットがちょっと変わっていて,まるで高級チョコレートの外装パッケージのようなつくりと仕上げ.漆黒の表面をつや有りとつや消しで塗り分けて Hank Willilams の肖像を作り,右下に金文字でアルバムタイトルを入れています.ライナーノーツもそれと同系統の豪華な作りです.まさに敬意を込めて追悼している,という感じでしょうか.
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