むかし競輪,いま携帯
上のタイトルは私の造語ですが,その意味するところは
貧乏人から喜ばれながら金をむしりとる方法という程度のものです.このような商売は,金をむしりとる相手のことなど考えなくて良いのであれば,母数が大きいだけに大変効率が良いものです.庶民向けのギャンブルは全てこの部類に入ると言ってよいでしょう.古今東西この手の商売が無くなったためしはありません.
私がこんなことを考えるきっかけになったのは,最近のソフトバンクの参入による携帯電話キャリアの料金体系論争です.ソフトバンクが "ゼロ円" というキャンペーンをやりかけたのですが,反論が相次いで引っ込めてしまったというものです.この論争によって,日本の携帯キャリアの料金体系やビジネスモデルそのものに対する疑問や意見が頻出するかと思いきや,専門性のあるサイトやメディアではそれなりの発言があったものの,一般メディアでは移動体通信業界そのものに対する疑問は呈されませんでした.いまや社会インフラとして欠かせなくなった通信サービスに対して,毎月定額で,これほど高い料金を,所得の多寡に関わりなく徴収していることに対して,メディアはもう少し問題提起をしてほしいものです.エンゲル係数の類推で,ケータイ係数というものを考え,単身の学生や低所得者層に対してその数値を調査して公表するくらいのことが行われても良いと思います.
一方,競輪,競艇,オートレースの胴元のピンはね率は 25% です.また "日本中央競馬会" のピンはね率 25% 強は欧米に比べると随分高い(英国 22%,米国 14%,オーストラリア15%)と批判されながらも,今日まで生きながらえています.ピンはね率は正式には "控除率" と呼ばれ,左記のリンクからたどれる Wikipedia の記事に詳しい解説があります.ちなみに,控除率が 50% 前後と異常に高い日本の宝くじこそ,貧乏人から金をむしりとる最右翼なのかもしれません.
レースが行われた当日の競輪場周辺で,いかにも低所得者層(に見える)のおじさんたちが落ち込んだ顔をして帰途についているのを見たときに,何とあこぎな商売と感じたことを思い出します.低所得の人々に射幸心を起こさせ,確実に,効率的に金をむしりとる,これこそが大衆ギャンブルの本質でしょう.美濃部元都知事が都営ギャンブルを廃止したことは一つの英断であったと思います.なぜなら,公営ギャンブルを維持することは,所得の再分配という公の持つ大切な機能とは矛盾する政策だからです.
携帯電話もこれと同じだというのは暴論でしょうが,準必需品となった今では,日本の携帯キャリア政策も変更を迫られるべきではないでしょうか?SIM ロックのように,ユーザの自由度を制限し,世界標準から大きく外れた政策は早く改められるべきですし,携帯キャリアは ARPU の低下に対抗する新たなビジネスモデルや事業形態を開発する必要に迫られるはずです.それには知恵が必要です.ここでこそ経営の力が試されるはずです.
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コメント
俊さん
お久し振りです。
いつもながらの鋭いご指摘、ごもっともです。携帯係数、いいですね。普及させたいものです。
途上国ではその係数はさらに大きいでしょうね。中国では今やほとんどの若い出稼ぎ工が携帯を持っていますし、先週出かけたケニアでは、携帯を持つマサイ族もいました(^^;)
そして、BOPということで、さらに低所得者層に携帯を広げようという動きもあります。コミュニケーションはたしかに重要なツールではあるのですが、こうした動きをどう評価すべきか、自分の中でまだしっくりきません。
http://suslab.seesaa.net/article/24489641.html
投稿: あだなお。 | 2007/01/30 02:07
あだなおさん,お久しぶりです.今年もよろしく.
途上国については本当にそう思います.携帯電話でビジネスをやっている人にはカモがうようよいるように見えることでしょう.インドでは現在毎月数百万台携帯電話が増えているとか.
私など,毎日私用の携帯を持ち歩いていますが,もしもしするのは一日一回有るか無いかです.よっぽど解約してやろうかと思っています.
投稿: 俊(とし) | 2007/01/30 22:47
毎月数百万台ですか... 電話会社は笑いが止まらないでしょうね。
毎日オフィスにいる方の場合には、あまり必要性は高くないのでしょうが、それでも僕などはやはり携帯にかなり頼っています(^^;)
特にSIMカードを入れ換えるだけでどこでも対応可能のGSMの携帯は、海外出張時には手放せません。これでは、あまり人のことは言えませんね(^^;)
※俊さんの記事にリンク&TBさせていただきました。
投稿: あだなお。 | 2007/02/02 00:59