« 雑司ヶ谷散歩番外編 | トップページ | やはり20世紀の最高傑作 »

2007/06/09

圧倒されたフィンランド映画

過去のない男 出演:マルック・ペルトラ, カティ・オウティネン 監督:アキ・カウリスマキ

NHK BS の衛星映画劇場を録画して鑑賞したのですが,まさに圧倒されました.さすがカンヌのグランプリを取っただけのことはあります.不自然に無表情な出演者たち,意表をつく含蓄あふれるセリフ群.そして北欧の町に唐突に流れる日本語の歌(ハワイの夜)と,突如現れる日本酒と握り鮨.次は何が現れるのだろうとわくわくしながら見入りました.公式サイトはこちらです.

人生は後ろには進まない,というのがこの映画に通底する基本的な哲学らしいのですが,記憶をなくした男が,現代の都市の掃き溜めでささやかな希望と幸せを見つけ出し,少しずつ前へと歩みだす,その喜びがしみじみと紡ぎだされる物語です.救世軍が重要な役割を果たしているのですが,最近の日本ではあまり見かけなくなりましたね,社会鍋.

カフェの優しい女主人から無料でお湯をもらってテーブルにつき,マッチ箱にしまった出がらしのティーバッグ取り出しカップに入れてお茶を飲む,という痛烈なシーンには思わず拍手.コンテナの住宅にジュークボックスを運び込んでアメリカン・ポップスを聴くシーンも良いですし,自宅の前の地面でジャガイモを育てるエピソードも大変意味深.貧しいながらも憎めない登場人物たちがまた良い味を出しています.

ハリウッドはおろか,フランスやドイツやイタリアの映画とも一味異なる作風に魅了されます.アキ・カウリスマキ監督の力量や鮮やか.

| |

« 雑司ヶ谷散歩番外編 | トップページ | やはり20世紀の最高傑作 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 圧倒されたフィンランド映画:

« 雑司ヶ谷散歩番外編 | トップページ | やはり20世紀の最高傑作 »