« 選曲センス抜群のBSフジ「東京の散歩道」 | トップページ | 光と影が織りなす現代的カントリー »

2007/09/17

日本は亜熱帯化へ備えよ

9月も半ばを過ぎたと言うのに,この暑さは一体どうしたことでしょう?今日の関東地方の最高気温は,34度から36度.真夏の最も暑い時期と同じです.南西の湿った熱風が何日も吹きすさび,アジアモンスーンの新たなモードが生まれたのではないかと思うほどです.

Summerhome_sep2007021m

もちろん,この原因は勢力を強めた太平洋高気圧にあります.そしてその縁を回るように日本に周回してくるいくつもの台風がもたらす熱帯の空気.とても日本の秋とは思えません.このような気圧配置すなわち地球大気の流れのパターンがこの季節に現れることが5年,10年と続くようになったとしたら,これは「気候」というものが変化し始めたと言えるのではないでしょうか?そうなると,日本の気候区分は温帯から亜熱帯へ変えざるを得ないでしょう.今の台湾から中国南部,そしてベトナム北部などと同様の気候になるわけです.

当然,動植物などの自然界は大きな影響を受けます.人の暮らしはその中の一つに過ぎません.一番最近の氷河期が終了して以来ゆっくりと続いてきたことではありますが,今後は急速に亜熱帯の植物が北上し,冷温帯に適応した植物はますます北と高山に追いやられるでしょう.動物についても然りです.特に熱帯性の昆虫が北上して繁殖するようになるでしょう.

人にとって最も影響を受けるのは農林水産業だと思います.農林水産業への影響とはすなわち食料への影響です.地球が温暖化すると夏が暑く長くなって不快で困るというのは,ほんの序曲に過ぎません.夏が暑く長いと言っても九州南部や南西諸島は昔からそうでした.私たちだって亜熱帯に適応した暮らしは出来るはずです.しかし食料はそうは行きません.気温と降雨量が多少でも変化すると,今と同じ場所で同じ作物を栽培し続けることが難しくなる場合があります.変化に敏感な例ですが,すでにヨーロッパではワインの産地の移動が始まっており,これは地域経済に重大な影響をもたらしかねません.また日本は食料の半分程度を輸入に頼っていますので,食料が世界中から安定して供給されなくなるリスクが高まります.

地球温暖化の最も直接的な帰結は,飢餓と紛争の増加ではないかと思います.日本ではありえないでしょうが,世界のあちこちで飢餓が起こり,食料供給のリスクを引き金として地域紛争が増える,そういう世の中に変わっていくのではないか?とても暗い未来像ですが,そのような世界が来ることも想定して,日本はその防止とそうなった場合のリスクの最小化に努めなければなりません.地球規模,あるいは少なくとも東アジア規模での食糧安全保障の社会経済的枠組みを作ることが,その第一歩ではないかと思います.

| |

« 選曲センス抜群のBSフジ「東京の散歩道」 | トップページ | 光と影が織りなす現代的カントリー »

オピニオン」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 日本は亜熱帯化へ備えよ:

« 選曲センス抜群のBSフジ「東京の散歩道」 | トップページ | 光と影が織りなす現代的カントリー »