光と影が織りなす現代的カントリー
Come on Come On [from US] [Import] - Mary Chapin Carpenter (アーティスト)
Mary Chapin Carpenter のアルバムはこのブログでは初紹介?でしたっけ?おう,それはいけませんね.このアルバムは今から何と15年前,1992年のアルバム.あの頃の私は何をしていたかというと,何を隠そう遅配がちの給料しか払えない会社に愛想を尽かし,一年以上にわたって職探しをしていたのでした.そんなこととこのアルバムとは何の関係も無いのですが,とにかく彼女は過去に5回のグラミーを受賞した,アメリカを代表するカントリー・フォーク歌手.
Life 誌の役員を父親に持ち,幼少期の2年間は日本で過ごした彼女ですが,最初のアルバムは1987年の "Hometown Girl" でした.彼女が28, 9歳のときですからデビューは遅め.しかしそれから5年後に出されたこのアルバム "Come On Come On" で,彼女は何と 4X (Quadruple) Platinum を勝ち取ります.これがきっかけとなって,彼女はアメリカを代表するカントリー・フォーク歌手として認められるようになっていきます.このアルバムが今でも彼女最高のアルバムとの呼び声が高いのもうなずけますね.
彼女の曲作りとパフォーマンスは,まさに現代カントリーの本流とも言うべきもので,メロディーラインの美しさと陰影,そしてそれを現実のギターの音や歌声にしてみせる,その素晴らしい才能は誰しも認めざるを得ないでしょう.光と影の濃淡のバランスが実に絶妙なのが彼女の持ち味.現代に生きる人々の希望と不安を高度に音楽的に表現し,カントリー・フォークを今日に十分通用するコンテンポラリーな音楽に洗練させた功績は非常に大きいのだろうと想像しています.残念なのは,私が当時彼女の存在を全く知らなかったこと.同時代的な共感を感じるチャンスを逸したのは大変残念なことです.
このアルバムでの私のイチ押しは,世評や実際のヒット実績とは異なり,第8曲目の "Only a Dream" です.ピアノと歌声の掛け合いが見事.とても心に染み入るメロディーです.でも,第1曲目の "The Hard Way" は,イントロを聴いただけでグッと来てしまう人が多いのではないでしょうか?彼女の持ち味である光と影の溶け合いが綾織のように見事です.
年代を考えると録音が大変立派.ピュアオーディオに十分に耐えます.アナログ録音なのですが,デジタルでのミキシングが大変秀逸のようですね.
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