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2007年12月

2007/12/23

出色のカントリー・デュオ

Twice the Speed of Life [from US] [Import] - Sugarland (アーティスト)

Sugarland はこのブログでは初めての紹介になります.このバンドは,二人のシンガー・ソングライターである Jennnifer Nettles というリード・ヴォーカリストと,Kristian Bush というハーモニー・ヴォーカリストのデュオです.バンドの結成は比較的最近の 2003 年.まだ5年ほどのキャリアしかありませんが,キャリアの浅さを思ってしまうのは大きな間違いです.

聴いてみるとすぐにわかりますが,新しいバンドにしては既に十分な音楽性の熟成が見られます.これはバンドを構成する二人が単なるシンガーではなくて,ソングライターであることから来ていると思われますが,とにかく,単に人の歌を上手く歌いこなすバンドではなく,自らの音楽性を十分に前面に押し出すことに長けたバンドだということをまず知っておくべきです.このアルバムは 2004 年のイシューですが,全曲が彼ら自らの手になる曲.US Country で第2位,売上で 2X Platinum となったアルバムですので,その実力は自ずから明らかでしょう.

全体に現代的なカントリー・ポップなのですが,伝統的な懐かしさを感じさせるフレーズも取り入れており,もしかして商業的な受けも狙っているとしたら,それは実に大したものです.近作のアルバム "Enjoy The Ride" はさらにヒットを飛ばしていますので,ここしばらくは,カントリー・ロックのシーンで目を離せない存在でしょう.

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2007/12/15

トロトロレンズの試し撮り

以前から欲しい欲しいと思っていた PENTAX FA77mmF1.8 Limited 通称 "トロトロ" を手に入れました.その筋ではかなり有名な中望遠レンズです.通称の由来はボケ味の美しさから来ています.開放F値が1.8と非常に明るく,しかも絞り羽根は9枚という贅沢さ.レンズ構成を見ると,非球面レンズや特殊低分散レンズを使ったりはせず,ごくオーソドックスな構成の昔のレンズ・・・なのですが,実写の官能評価に基づいて最終的な設計をしたそうで,熱烈なファンが多いことでも知られています.

さて,実際に K10D に装着して試し撮りです.オートフォーカスは切って,マニュアルフォーカスで何10枚か撮ってみたのが下の写真.明るい中望遠だけあって,フォーカスの幅が恐ろしく狭いのには参りました.フォーカスを良く合わせたつもりでも,パソコンの画面で確認するとずれていることが多く,フォーカスには大変神経を使います.そして肝心のボケ味ですが,これはもう申し分ありません.非常に滑らかに,等方的に美しくボケてくれます.フォーカスの芯は恐ろしく狭いので,そこからわずかに前後しただけでもボケます.そのボケは実に自然なものなのですが,フォーカスの芯とは明確に区別がつくので,撮る者の腕がたちまち顕わになる,そういうレンズです.

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えらいものを買ってしまいましたが,これから末永く付き合っていくつもりです.

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2007/12/09

驚嘆すべき秘匿録音アルバム

Personal File [Best of] [from US] [Import] - Johnny Cash (アーティスト)

Johnny Cash は独特のアーティストです.カントリーともロックともつかない独自の音楽性を持ち,Elvis Presley 全盛の時代にロックン・ロールのアーティストを目指し,そこからカントリー・ロックの輝ける星として一時代を築きました.私は少年の頃からこの歌手にはある種の憧れと敬意を抱いていたのですが,それはこの年齢になってもいささかも褪せることはありません.望湖庵日記でもこれまでに何回か彼のアルバムや関連する DVD を取り上げてきました(*1, *2, *3, *4, *5, *6).

このアルバムはその中でも極めて特異なものです.Johnny Cash の自宅兼スタジオで "発見" された録音テープ.そこには数多くの録音がアルバムに未収録のまま残されていました.録音は1972年から1982年にかけてのもので,数多くのスタンダードナンバー,フォークソング,ゴスペル,彼自身のオリジナル曲,そしていくつかのカバー曲が含まれていました.これらの録音から構成したコンピレーションがこのCD 2枚組のアルバムです.

パフォーマンスは極めてシンプルで,生ギター一本による Johnny Cash の独唱です.おそらく彼がたった一人でスタジオにこもって自ら録音したものと思われます.全体としては Cash 節そのものなのですが,非常に淡々としたパフォーマンスながら,真摯で端正な音楽性と,しみじみとした情感に胸を打たれます.今となってはお宝録音といっても良いのでしょうが,今頃になってこういうものが "発掘" され,アルバム化されるのもスーパースターたる Johnny Cash ならではでしょう.

個人的には,American Recordings の最終章である American VI のリリースを心待ちにしています.

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2007/12/03

味噌を祀った味噌天神

Kumamoto_novdec2007005m

熊本を訪れたついでに出くわしたもう一つのモニュメントは味噌天神です.歴史は非常に古く,何と建立は奈良時代のようです.元々は悪疫の平癒を祈願した "御祖(みそ)天神" だったらしいのですが,いつの頃からか同音の味噌に転じて "味噌天神" になり,味噌に御利益がある全国唯一の神社として,味噌業界では有名?なのだとか.

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例年10月25日には例大祭が催され,この日ばかりは狭い境内に人があふれるようです.何といっても味噌の神様のお祭りなので,振舞われるのはやはり味噌汁.面白いお祭りですね.

味噌天神とは,よそ者にとっては実にへんてこな名前です.しかし,この神社周辺では路面電車の駅やバス停でも "味噌天神前" が使われており,地元っ子にとっては幼い頃から慣れ親しんだ何の違和感も無い地名です.由来のいきさつはともかく,このような神社があること自体が大変面白いですね.

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石垣が美しかった熊本城

訳あって週末に熊本城を訪れました.もう10年ぶりくらいでしょうか?今年はちょうど加藤清正城を築いてから400年目に当たるのだそうで,市民から寄付を募って,かつての城内の建物の一部(特に本丸御殿など)を復元するプロジェクトが進行中です.いちおうの完成は来年春とのことですから,間もなくですね.巨大木造建築の復元には巨額の費用と時間がかかることは容易に想像されます.しかし,このような復元作業を日本中で定期的に行うことにより,巨大木造建築の技術が維持・伝承されていきます.

ヨーロッパを旅すると,至るところで古い建築物や街並みがよく保存されており,なぜこのようによく保存されているのだろう?そうだ,きっと石の建物だからよく残っているのだろう,と早合点しがちですが,実はヨーロッパの人たちは実に丹念に根気よく復元工事を行っているからなのです.そしてそのお陰で石の建築技術や彫刻技術も維持されているわけです.

Kumamoto_novdec2007019m

熊本城の素晴らしさは石垣の美しさに尽きます.城の熊本市役所側,坪井川沿いの長大な石垣は日本最長でしかも乱れの無い直線の美を見せていて,初めて見るものを圧倒します.そして,城内そこここに築かれている石垣の武者返しの反りと,その上に建っている櫓の組み合わせの美は,訪れる人全てを魅了するでしょう.私が訪れた際にも,台湾や韓国からの団体観光客が大勢やって来ていましたし,欧米からの観光客もちらほら目にすることができました.城内の案内表示も日本語,英語,中国語,ハングルと昨今の状況に対応しています.

熊本市最大の観光資源であり,歴史遺産でもある熊本城は,歴史と美のシンボルとしてこれからも多くの人たちを惹きつけることでしょう.

Kumamoto_novdec2007037m

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