驚嘆すべき秘匿録音アルバム
Personal File [Best of] [from US] [Import] - Johnny Cash (アーティスト)
Johnny Cash は独特のアーティストです.カントリーともロックともつかない独自の音楽性を持ち,Elvis Presley 全盛の時代にロックン・ロールのアーティストを目指し,そこからカントリー・ロックの輝ける星として一時代を築きました.私は少年の頃からこの歌手にはある種の憧れと敬意を抱いていたのですが,それはこの年齢になってもいささかも褪せることはありません.望湖庵日記でもこれまでに何回か彼のアルバムや関連する DVD を取り上げてきました(*1, *2, *3, *4, *5, *6).
このアルバムはその中でも極めて特異なものです.Johnny Cash の自宅兼スタジオで "発見" された録音テープ.そこには数多くの録音がアルバムに未収録のまま残されていました.録音は1972年から1982年にかけてのもので,数多くのスタンダードナンバー,フォークソング,ゴスペル,彼自身のオリジナル曲,そしていくつかのカバー曲が含まれていました.これらの録音から構成したコンピレーションがこのCD 2枚組のアルバムです.
パフォーマンスは極めてシンプルで,生ギター一本による Johnny Cash の独唱です.おそらく彼がたった一人でスタジオにこもって自ら録音したものと思われます.全体としては Cash 節そのものなのですが,非常に淡々としたパフォーマンスながら,真摯で端正な音楽性と,しみじみとした情感に胸を打たれます.今となってはお宝録音といっても良いのでしょうが,今頃になってこういうものが "発掘" され,アルバム化されるのもスーパースターたる Johnny Cash ならではでしょう.
個人的には,American Recordings の最終章である American VI のリリースを心待ちにしています.
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コメント
ジョニー・キャッシュ・・・刑事コロンボの犯人役で客演してましたね。ちゃんと歌も歌っていた。放送タイトルは「白鳥の歌(原題はSwan Song)」。
白鳥は死の直前に一番美しく鳴く・・・という言い回しから取られたそうです。
投稿: parara | 2007/12/10 20:49
parara さん,コメントありがとうございます.
へぇー,刑事コロンボですか・・・それは知りませんでした.まあ,Johnny Cash はアメリカでは三橋道夫みたいな人なのでしょうから,色々なメディアに出ているのでしょう.でも,同じ無形文化財?として見たときに Willie Nelson みたいな不良老人と言うべき人もいますので,皆さん一筋縄では行かないことは確かなようです.
投稿: 俊(とし) | 2007/12/10 23:12