肉は硬いほうが旨い
昨日所用で外出したときに,手早く昼食をとる必要があり,数年ぶりにファーストフードのハンバーガーを食べました.食べてみて改めて感じたことは "何と柔らかくて食感に乏しいことか!" ということでした.フワフワと噛み応えが無く,調味料の味ばかりで食材そのものの味がせず,何を食べているのかすらよくわかりません.店内を見回してみると,若い子連れのカップルや高校生の友達連れなど,若い世代が圧倒的に多い.この国の味覚の行く末について心配になってきました.
私は食べ物の硬さについては家人と意見が合いません.家人はしゃぶしゃぶをするときには,肉が硬くならないうちに早めに引き上げたほうが美味しいと言うのですが,私はじっくりと硬めにゆでててから食べるほうが好きです.これはステーキも同じ.日本では一般的に肉は柔らかいほうが高級で美味しいものとされているようですが,私はこれには全く反対です.硬い肉を噛みしめているうちに滲み出てくる旨みがわからないのでしょうか?
パンについても同様です.日本人は食パンの耳を切り取ってサンドイッチを作ります.硬い耳は敬遠され,ひどい場合にはハトの餌として捨てられてしまいます.パンの固い皮を噛みしめることで味わえる旨みを知らないのでしょうか?面白いのはフランスパンです.バゲットの硬い皮は私にとっても手強いのですが,大変噛みしめ甲斐があり,わずかに塩気を含む素晴らしい旨みが滲み出てくるのですが,日本人はこれが苦手のようで,中の白い柔らかい部分だけを食べて皮を残す人がいます.ところがフランス人にはこれと逆の人がいるのです.つまりバゲットの中味の白い部分をスプーンで掻きだして捨ててしまい,薄い皮の部分だけにバターとジャムをつけてむしゃむしゃと噛みしめるのです.こういう人をフランスのビジネスホテルで見かけたときは絶句しましたが,しかし理にかなった贅沢な食べ方をしているとも思いました.
日常的にファーストフードのハンバーガーのような柔らかいものばかり食べていると,あごが発達せず,唾液の分泌も悪くなり,その結果味覚が退化していくのではないでしょうか?私たちの祖先は,今からすると相当硬いものばかりを食べていたのではないかと思います.木の皮,木の実,昆虫,魚介類,そして動物の肉.そうそう柔らかいものは無かったはずです.1万年ほど前に農耕をするようになってからも,パンやナン,雑穀の類はそれなりに歯ごたえがあったはず.その結果発達してきた味覚を大切にしたいと思います.肉やパンは固いほうが美味しいのですよ.他にもせんべいや豆菓子,するめにジャーキー,ああ,よだれが出てきた・・・
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