あと5億年しかない
先日読んだ話ですが,私にとっては大変ショッキングな話.今の地球生態系はあと5億年しか持ちません.なぜかと言うと・・・
太陽は質量が小さめの主系列星で,現在の理論では主系列段階に留まる期間は110億年程度とされています.太陽が主系列段階に入ってから現在までに45億年が経っており,その間に太陽の出力は30%ほど上昇しています.今後出力は徐々に増大し,主系列段階の最期には現在の2倍程度の出力になると推定されています.主系列段階を過ぎると太陽は膨張を始めて赤色巨星の段階に入ります.こうなるともう地球には生物は存在することはできません.しかしそれは今から60億年も先の話・・・と思っていたのですが,危機はその遥か手前にありました.
地球生態系は,光合成生物が生まれてからは酸素が豊富な海水と大気の環境で進化してきたわけですが,上に書いたとおり,昔の太陽は今よりはるかに暗かったために,地球には快適な温度を保つために二酸化炭素濃度を高く保つような地球化学的なフィードバック機構が働いていたと考えられています.これはラブロックのガイア仮説そのもので批判も多いのですが,生物系と地球化学系がうまく連動すればありえる話です.
先カンブリア時代がどうだったかは知りませんが,比較的最近のジュラ紀でさえも,二酸化炭素濃度は1,500から2,000ppmもあって,その高い温室効果で地球を温暖に保っていました.それが太陽出力の上昇とともに二酸化炭素濃度は徐々に減少していきました.太陽がより明るくなった現在では,300ppm程度の二酸化炭素で十分なのです.
今後さらに太陽が出力を上げていくと,わずか5億年後には二酸化炭素濃度は50ppmを下回る濃度にまで下げざるを得ないそうです.そうなるともはや光合成生物は生きていけなくなる・・・地球生態系の崩壊です.そのときには,光合成に依らない一次生産者による生態系が生まれることになるのでしょうか?太古の地球がそうであったように.そうなると思いたいのですが,それは現在とは全く異なる生態系になることでしょう.
あー,この世界はあと5億年しかない.アルベドを上げて何とかならないかなぁ?砂漠ではアルベドはほとんど上がりませんので,雲と雪氷を増やすしかありません.未来の地球は雲に覆われた水惑星かぁ.
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