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2008年7月

2008/07/27

Could you tell me how to get to the fish market?

今朝,日曜日の早朝,丸の内北口で横断歩道の信号を待っているときのこと,白人の若いカップルが寄ってきて,

Could you tell me how to get to the fish market?
と尋ねてきました.築地市場のことだろうけど,ここから築地は遠いなぁ,どうやって行けばいいかなぁと思案しながら,たどたどしい英語で,
This is far from the market. You should take a subway to get there. You will find a subway station somewhere downstairs around there.
と言いながら大手町方面を指差して別れました.地図を持っていましたので,あれで分かってくれたかなぁ?大手町で日比谷線に乗って築地で降りればいいはずなのですが.それにしても,今日は築地は日曜日でお休みではないのかなぁ?場外市場は開いているのでしょうか?

築地も世界的に有名になったものですが,実は秋葉原はもっと凄い.秋葉原では中国本土からの観光客が群れをなして闊歩しており,銀聯カードで買い物をしまくっています.夏休みになって白人の観光客もだいぶ増えました.

日本が観光立国できるかどうか,私にはよく分かりませんが,観光資源,それも私たち日本人が自覚していないものが実は素晴らしい観光資源だったりする(たとえば和洋折衷様式は在日欧米人に人気が高い)ので,外部の意見をよく聞き,また馬鹿丁寧な日本的おもてなしよりは,安全,清潔,分かりやすさ,という普遍的な価値を追求していったほうが良いようにも思います.

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2008/07/26

ペンタックスはニコンFマウントのレンズを作るべきである

昨日発売になったニコンのフルサイズデジタル一眼レフ D700レビュー記事を丹念に読んでみました.読めば読むほど,フルサイズの撮像素子の高感度・低ノイズの威力と,癖の無い高い描写力が良くわかります.撮像素子のフォトダイオード一つ一つに十分な光量が確保されているのでしょう.APS-C サイズのカメラが画像処理でいかに無理をしてノイズを抑え込んでいるかを考えると,筆者がタヌキの親子の作例で "動物やスポーツ写真に画質革命が起きそうな気がする" と述べているのは誇張ではないと感じます.

ただしニコンの場合の問題はレンズ.筆者も述べているように,デジタル時代に相応しいレンズがあまり無いのです.今回 D700 の発売に合わせたキットレンズ AF-S VR Zoom-Nikkor ED 24-120mm F3.5-5.6G (IF) が発売されましたが,手ブレ補正ができるフルサイズ用レンズはこれだけ.手ブレ補正なしでよければ,AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED とか,AF-S NIKKOR 14-24mm F2.8G ED のような高級で重たいレンズもあるにはあるのですが,アマチュアが持ち歩いて使いこなせる重さではありません.もちろん NIKKOR レンズには従来からの単焦点レンズもあるにはあるのですが,テジタルカメラの撮像素子とのマッチングを考えると不満や不安がかなり残ります.従って,このカメラをレンズキットで購入すると,50代の私はもうその一本だけで一生を終えそうな切ない気分(笑)に浸ってしまいます.

ニコンは手ブレ補正ができる FX フォーマット用レンズのラインナップを充実させていく必要がありますね.D700 は画素数を抑えた仕様ですが,今後2,000万画素を超えるような素子も当然出てくるでしょうから,その場合を考えて,デジタル・フルサイズに耐えられるだけの特性を持ったレンズ群を用意していく必要があります.ボディ内手ブレ補正も真剣に考えるべきでしょう.

そこで思い出したのはペンタックスの単焦点レンズ群.私が持っている3本の単焦点レンズはいずれも,小型・軽量・高画質,という折り紙つきです(*1 *2 *3 *4 *5).特に,FA31mmF1.8AL Limited と,FA77mmF1.8 Limited の2本は,他社のレンズを含めて現在最高の描写力を持つレンズとして "銘玉" の名を恣(ほしいまま)にしています.このような特徴のあるレンズをラインナップに加わえたらどうでしょう?アマチュアにとっては,良い意味で癖のあるレンズにはとても心惹かれるものです.高価で高性能の万能ズームレンズは確かに便利なのですが,アマチュアの趣味の写真としてはあまり面白くありません.個性的で癖があり,しかも長い間愛着を持てる,そのようなレンズがぜひ何本か欲しいものです.好きなボディと好きなレンズを組み合わせ,それらの重みや手触りを味わいながら,気になる被写体に向かうという行為こそ,アマチュア写真の楽しみです.

しかし上記ペンタックスレンズのマウントはペンタックス KAf マウント.これをニコンのFマウントにして出してみたら意外と売れるのではないでしょうか?ボディとレンズの両方を組み合わせて売っている垂直統合型のカメラメーカーとして利害相反が起きるのは明らかですし,ニコンからライセンスを得られる保証もありませんが,ペンタックスの今後の経営を考えたときに,レンズメーカーとして生き残る戦略を考えてみても良いのではないでしょうか?カメラメーカーも,そろそろレンズマウントを共通化して水平分業モデルに転換することを考えてもよいではないかなぁ?もちろん,マウントアダプターというやり方もありますが,フル互換にはなりませんので.

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寝苦しい

梅雨明け以降,寝苦しい夜が続き,このところ慢性的な睡眠不足です.私の住むところは首都圏のヒートアイランドからは遠く外れた田園地帯なので,日が暮れると気温がすーっと下がってさわやかな夜に・・・なるはずだったのですが,梅雨明け後の太平洋高気圧の勢力が弱く,典型的な夏型の気圧配置になっていないため,朝晩の風が弱く,おまけに湿度も梅雨の時期そのままで,大変寝苦しい夜が続いています.

太平洋高気圧が弱いということは,それを作る元になっているフィリピン東海上の上昇気流が弱いということ.ということはこのあたりの海水温が平年よりは低いのでしょう.雲の発生が盛んで日照が不足しているのかもしれません.このところこの海域では立て続けに台風が発生していますので,ありえる話です.

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2008/07/21

宇宙ファン必見の秀作映画

アポロ13 (ユニバーサル・ザ・ベスト2008年第1弾) - 出演:トム・ハンクス,ケビン・ベーコン,ゲイリー・シニーズ,ビル・パクストン,エド・ハリス,監督:ロン・ハワード

この映画 "アポロ13" は宇宙を舞台にした映画としては,史実を基にリアリズムに徹し,かつ人間ドラマを加味してエンターテイメントに仕上げたと言う意味で,おそらくベストワンではないでしょうか?私は今回初めて全編を通して真面目に見ました.良くできた映画であることを改めて確認しました.私はもっと最近の映画かと思っていたのですが,実は1995年の映画なので,もう10年以上も前の映画です.主演のトム・ハンクスのフィルモグラフィーで言えば,1994年の "フォレスト・ガンプ" の直後の作品であり,1998年の "ユー・ガット・メール" や同じ年の "プライベート・ライアン" の少し前の映画だということがわかります.

この映画の元になったアポロ13号の事故と生還は,私自身,子供の頃に毎晩テレビのニュースで報じられるのを見ていたことを良く覚えています.この映画の中でも当時のニュース映像がふんだんに使われており,CBS Evening NewsWalter Cronkite の解説も流されているのがわかります.スタッフ・ロールに彼に対する謝辞が書かれていたのは言うまでもありません.

映画を見始めてすぐに気づくのは,フォレスト・ガンプでも共演したゲイリー・シニーズが出ていることです.ほとんど同時期に公開された映画なので,同じような連中が出てくる映画だなと思う人もいるかもしれません.

いくつか特筆すべきエピソードをあげるとすると・・・

指令船の内部や,ジョンソン宇宙センターの管制室の機械・計器類の造作は見事.また撮影当時としては世界最高レベルのコンピュータ・グラフィックスを駆使したサターンVの発射シーンなど,大変お金をかけてリアリズムに徹しています.特に発射シーンは,燃料タンク外壁から無数の氷の板が剥がれ落ちてくるシーンが必見.ロケットを支える支柱が次々に外れていく場面も真に迫っており,モデリングには相当の経費がかかったものと思われます.

自由落下軌道を飛行する飛行機内で本物の無重力状態を作り出して撮影することが行われました.このため,宇宙服の手袋を脱いだものがフワフワと浮遊したり,ジュースを大きな液滴にしてそれを口で捕まえて飲み込むシーンなど,本物の無重力状態での船内シーンの撮影が可能になりました.これは映画史上おそらく最初.この撮影はおそらく大変だったはずです.一回の無重力状態は数10秒間しか続きません.撮影のためには何10回,何100回と飛んだはずです.スタジオ撮影のカットと照明などの状態も完璧に合わせなければなりません.

1970年頃の時代雰囲気が良く伝わってきます.主人公の娘がヒッピーの格好をしてみたり,家のラジオからは当時のヒット曲が流れてきたり・・・まだベトナム戦争は終結していなかったものの,アメリカ中に厭戦記分があふれていました.

指令船と月着陸船の名前はそれぞれ "Odyssey" と "Aquarius" であり,前者の事を指して主人公が "2001年宇宙の旅だろ?" と言うシーンがあります."2001 A Space Odyssey" は1968年公開の映画であり,宇宙関係者は全員食い入るように見たはずの映画なので,これは十分ありえる話です.

アポロ11号で実際に月面に降り立ったニール・アームストロングバズ・オルドリンが主人公の母親を訪ねて不安をなだめるシーンがあります.母親は当人たちのことを良く知らず,「宇宙関係の人?」と聞き返すところが実に面白い.このときの二人は一瞬御本人たちのようにも見えたのですが,スタッフロールで確認するとやはり俳優さんでした.

強襲揚陸艦 "IWO JIMA (硫黄島)" が乗組員たちを回収に向かいますが,私が驚いたのはその名前.最初は何だこの名前は?と思ったのですが,すぐ次の瞬間に硫黄島のことだと合点がいきました.

実際の救出劇は,NASA のジョンソン宇宙センターだけで行われていたわけではなく,おそらく数万人以上のメーカーの人間が,アメリカ中で緊急の検討を重ね,NASAと連携していたはずです.NASA は日本の JAXA と同様お役所であり,宇宙ミッションのプランナーとオペレータではありますが,それ自体に技術が集積されているわけではありません.技術はそれを開発し製造したメーカーにあるはず.アポロ計画で指令・機械船を開発・製造したのは North American Aviation (後に Rockwell International) で,着陸船を開発・製造したのは Grumman でしたが,これらメーカーのエンジニアたちは,おそらく数日間は徹夜続きだったはずです.これらのエピソードは全く語られませんし,逸話も漏れ聞こえてきませんが,彼らの社史のようなものには記述が残っているかもしれません.時代的には,アメリカの製造業が最も輝いていた時期に当たり,技術に対する実力もプライドも十分にあった時代でした.

映画は登場人物たちの反目や葛藤などを絡めた人間ドラマに仕立てあがられていますが,実際には,宇宙飛行士たちは地上からの指示任務をこなすだけで手一杯で,喧嘩などしている余裕は無かったそうです.数々の応急対策も,ぎりぎりで間に合ったように描いてある映画とは逆に,早い段階で最良の案が決定され,十分な余裕をもって対策が打てていたのだそうです.不測の事態に対しても,万事このように対処しなければならないというお手本のようなミッションだったのですね.

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2008/07/20

ラストの胸キュンでノックアウト

昼下りの情事 [スタジオ・クラシック・シリーズ] - 出演:オードリー・ヘプバーン,監督:ビリー・ワイルダー

つい先月紹介した "マイフェアレディ" に引き続いてオードリー・ヘプバーンの映画です.1957年のアメリカ映画.日本語の題名は日活ロマンポルノかと思わせるほどきわどいものですが,当然のことながらこちらのほうが歴史的に遥かに先行.1971年の日活ロマンポルノ第一作の一つ "団地妻 昼下がりの情事" はこの映画の題名を下敷きにしたのではないかと思われます.

アメリカ人の富豪の人妻との不倫を内偵する私立探偵の一人娘が,逆にその富豪に恋をしてしまい,プレイボーイとして恋の遍歴で浮名をはせる富豪も,ついにはその純情な娘の一途さに負けてしまう,というおとぎ話です.

舞台はパリの中でも最高級地区のヴァンドーム広場に建つ Hotel Ritz Paris.庶民は足を踏み入れることすらはばかられる高級ホテル.ゲイリー・クーパー演じる富豪のフラナガン氏は,そこに人妻を呼んでは,4人の楽団に "魅惑のワルツ" を演奏させながら食事を摂ったり不倫をしたり.何とまあ,不道徳で優雅なことでしょう.

この映画の観どころはいくつかありますが,まずはオードリーが純情な娘を非常にうまく演じているところでしょう.けれん味の全く無い,まさにオードリーらしさにあふれた名演を楽しめます.特にラスト・シーンで,列車に乗り込んだフラナガン氏を追いかけながらウソの強がりを延々とまくし立てるシーン.乙女の純真さに胸がキュンとなって,フラナガン氏ならずともノックアウトです.彼女のファンにとっては,この映画が,1953年の "ローマの休日",1954年の "麗しのサブリナ" の少し後,1961年の "ティファニーで朝食を" の少し前であり,1963年の "シャレード" や,1964年の "マイ・フェア・レディ" よりはだいぶ前,ということを知っておくと,理解がしやすいかもしれません.

次の観どころは父親役のモーリス・シュバリエの演技.特にラストに近く,フラナガン氏に娘をこれ以上惑わさないで欲しいと懇願する場面は,父親の愛情にあふれる素晴らしいものです.彼の台詞 "小魚を水に返してやって欲しい" は本映画中の傑作.

3番目の観どころは4人の楽団.いつでもどこでも依頼さえあれば駆けつけて魅惑のワルツを演奏します.フラナガン氏が娘の浮気が気になってやけ酒をのむシーンで,シャンペングラスをワゴンに載せて楽団員のほうに送り出し,それを皆で飲んではへべれけになるところは大変楽しめますし,ラストシーンで列車が駅から去るときにも演奏を続ける彼らには爆笑と拍手喝采が送られるべきでしょう.

最後の観どころは実はこの映画のプロローグ.フランスではキスがいかに当たり前で重要かということを茶化して紹介するもので,フランス人のキスはわざわざフレンチ・キスと表現するくらい,英米人にとってはある種特異で羨ましいもののようですが,この部分は日本人にもなかなか楽しめます.

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2008/07/19

あと5億年しかない

先日読んだ話ですが,私にとっては大変ショッキングな話.今の地球生態系はあと5億年しか持ちません.なぜかと言うと・・・

太陽は質量が小さめの主系列星で,現在の理論では主系列段階に留まる期間は110億年程度とされています.太陽が主系列段階に入ってから現在までに45億年が経っており,その間に太陽の出力は30%ほど上昇しています.今後出力は徐々に増大し,主系列段階の最期には現在の2倍程度の出力になると推定されています.主系列段階を過ぎると太陽は膨張を始めて赤色巨星の段階に入ります.こうなるともう地球には生物は存在することはできません.しかしそれは今から60億年も先の話・・・と思っていたのですが,危機はその遥か手前にありました.

地球生態系は,光合成生物が生まれてからは酸素が豊富な海水と大気の環境で進化してきたわけですが,上に書いたとおり,昔の太陽は今よりはるかに暗かったために,地球には快適な温度を保つために二酸化炭素濃度を高く保つような地球化学的なフィードバック機構が働いていたと考えられています.これはラブロックガイア仮説そのもので批判も多いのですが,生物系と地球化学系がうまく連動すればありえる話です.

先カンブリア時代がどうだったかは知りませんが,比較的最近のジュラ紀でさえも,二酸化炭素濃度は1,500から2,000ppmもあって,その高い温室効果で地球を温暖に保っていました.それが太陽出力の上昇とともに二酸化炭素濃度は徐々に減少していきました.太陽がより明るくなった現在では,300ppm程度の二酸化炭素で十分なのです.

今後さらに太陽が出力を上げていくと,わずか5億年後には二酸化炭素濃度は50ppmを下回る濃度にまで下げざるを得ないそうです.そうなるともはや光合成生物は生きていけなくなる・・・地球生態系の崩壊です.そのときには,光合成に依らない一次生産者による生態系が生まれることになるのでしょうか?太古の地球がそうであったように.そうなると思いたいのですが,それは現在とは全く異なる生態系になることでしょう.

あー,この世界はあと5億年しかない.アルベドを上げて何とかならないかなぁ?砂漠ではアルベドはほとんど上がりませんので,雲と雪氷を増やすしかありません.未来の地球は雲に覆われた水惑星かぁ.

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2008/07/17

酷暑の夕暮れ

Ca251084m

昨夜は気温が低めで風もほどほどに吹いて,久しぶりにぐっすりと眠ることができたのですが,今日は午後からぐんぐんと気温が上がり,真夏の酷暑となりました.夕方になっても気温は下がらず,夜の10時頃になってもねっとりとした熱帯の空気が体にまとわりつきます.

上の写真は夕方の丸の内.改修中の東京駅の赤レンガと,八重洲の高層ビルのコントラストが大変面白い組み合わせになりました.

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2008/07/13

猛暑始まる

Ca251082m

昨日あたりから関東地方でも本格的な夏が始まりました.各地で最高気温が33度を超えるようになり,場所によっては35度を超えたところもあります.先日の書き込みでも書きましたが,日本の夏,特に梅雨明け前後のしばらくの間が辛いのは,気温とともに湿度も高いという点にあります.気温が35度を超えたとしても,相対湿度が20%程度であれば,木陰で風に吹かれていれば結構気持ちが良いはずなのですが,湿度が70%を超えるような気候なので,地面の照り返しに脂汗をべったりとかきながら,暑さに苛まれる日々が続きます.

毎日これほど晴天が続いて暑いのにも関わらず,梅雨明けはまだ先の話.梅雨前線が本州にかかっているということなのですが,こうなると,毎日の気温と湿度の予報がしっかりしていれば,梅雨が明けるかどうかはどうでも良いという感じですね.

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2008/07/12

軽妙だが真剣な改悛逃避劇

バティニョールおじさん - 出演:ジェラール・ジュニョー,ジュール・シトリュック,監督:ジェラール・ジュニョー

"バティニョールおじさん" は2002年公開の映画.本家フランスの Wikipedia での扱いは実にあっさりしたものです.監督・主演のジェラール・ジュニョーは,2004年の映画 "Les Choristes(コーラス)"の大ヒットで一躍有名になったフランスの俳優・映画監督ですが,今回ご紹介する映画は,その2年前に公開された作品.コーラスは大変感動的な映画なのですが,しかしそのモチーフは "いつも心に太陽を" とほとんど同じで,あまり新鮮味はありません.

今回のバティニョールおじさんは,ミニミニ版の "シンドラーのリスト" と感じました.平凡な一市民の肉屋としてドイツ占領下のパリに生きる中年男のバティニョール.娘の婚約者で反ユダヤ主義の劇評家が隣人のユダヤ人を密告したことから,その息子シモン・バーンシュタインの逃避行を助ける破目になってしまいます.

ドイツ占領下のパリの市民の生き様が良く描かれているのが大変興味深いです.ナチスに協力して利益を得ようとする者たちがいれば,自らの小市民的な安寧を願いながらも良心との葛藤に苦しむ者たちもいます.主人公もそのような一人.またユダヤ人の逃避行にも案内や手引きをするプロの助けが必要であり,そこでモノを言うのはカネであるという悲しく普遍的な真理が観る者に突きつけられます.

それでも全体として暗く悲しい物語にならないのは,無垢な子供たちを主軸にしたシナリオだからでしょう.このあたりの軽妙さは監督・主演のジェラール・ジュニョーの本領発揮です.占領軍のドイツ将校たちの日常も,彼らの非情さと人間性とが大変良いバランスで描かれています.

最期のシーンで,バティニョールが子供たちとともにスイス側に越境してしまうところは,予想されたシナリオではありながら,一人の男の改悛,精神的な成長,決然を象徴するシーンであり,深刻めいた雰囲気は全く無いながらも,感動的です.

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2008/07/06

蒸し暑い

いよいよ梅雨明けが近づいてきたのか,南方からの暑く湿った空気が日本列島を広く覆うようになって来ました.特にここ数日はそれが顕著で,ちょっと体を動かすとすぐにべったりと汗ばみます.昔の気象用語では "湿舌" という言葉で南方からの湿った空気の大量流入を表現していました.うまい言い方ですね.

梅雨明けしばらくまではこのような高温多湿の空気が日本を覆いますが,お盆を過ぎる頃からは湿度が和らぎ,朝晩は幾分過ごしやすくなります.そうなるまでにはまだ一ヶ月以上ありますね,やれやれ.

ちょっと不思議なのは,東南アジアの気候.バンコクは日本の真夏並みに気温が35度以上になるそうですが,シンガポールは最高でも31度程度.海に囲まれた島だからと言われて納得できますか?確かに,東京よりも南にある三宅島や八丈島の最高気温もその程度で,東京よりはだいぶ低めです.その代わり湿度が高いので,不快さはどっちもどっち.

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2008/07/05

FreeBSDにてこずる

先月 FreeBSD 7.0 をインストールしたとお知らせしたばかり.それ以降,週末のわずかな時間を使って FreeBSD をいじっていますが,なかなかてこずっています.

先週から GCC をインストールしようと悪戦苦闘中です.元はと言えば,FreeBSD の標準インストールでは FORTRAN がインストールされないことから,それならば GCC の最新版をインストールしてしまえ,と思ったのが始まりです.GCC は数年前までは何度もインストールしたことがあり,いつも make 一発でビルドできていたので,少々甘く見ていました.

ところが,ところが,最新版の GCC 4.3.1 をダウンロードしてビルドしようとすると,まずは GMPMPFR が無いといって怒られます.何じゃこれは?これらは以前は要求されなかったライブラリたちです.仕方なくこれらの最新版 GMP 4.2.2 と MPFR 2.3.1 をダウンロードしてインストールします.

それから再度 make してみるものの,非常につまらないシェルスクリプトのバグで進行が止まってしまいます.これは明らかに変.ふと思いついて,make ではなくて GNU make を使ってみると,すんなりと make が進みます.えー!?

だいぶビルドが進んだところで,今度は zip が無いといって止まってしまいます.仕方なくこれも FreeBSD の package から zip と gzip をインストール.

これで快調にビルドが進むようになりました.60分ほどビルドのステージが進んで Java のライブラリを構築にかかりましたが,ここで問題が発覚.実際に使用された Makefile を分析してみると,GCJ の argument として ld に渡すオプションの記述がおかしく,ld には解釈不能のオプションになってしまい,そこでビルドがストップしてしまいます.

-Wl,-rpath -Wl,/usr/local/lib
という文字列がそのまま文字通り ld に渡されてしまっているよう.これは configure の問題かなぁ?

週末の悩みは尽きず,徒に時は過ぎていくのでした.

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