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2008/07/20

ラストの胸キュンでノックアウト

昼下りの情事 [スタジオ・クラシック・シリーズ] - 出演:オードリー・ヘプバーン,監督:ビリー・ワイルダー

つい先月紹介した "マイフェアレディ" に引き続いてオードリー・ヘプバーンの映画です.1957年のアメリカ映画.日本語の題名は日活ロマンポルノかと思わせるほどきわどいものですが,当然のことながらこちらのほうが歴史的に遥かに先行.1971年の日活ロマンポルノ第一作の一つ "団地妻 昼下がりの情事" はこの映画の題名を下敷きにしたのではないかと思われます.

アメリカ人の富豪の人妻との不倫を内偵する私立探偵の一人娘が,逆にその富豪に恋をしてしまい,プレイボーイとして恋の遍歴で浮名をはせる富豪も,ついにはその純情な娘の一途さに負けてしまう,というおとぎ話です.

舞台はパリの中でも最高級地区のヴァンドーム広場に建つ Hotel Ritz Paris.庶民は足を踏み入れることすらはばかられる高級ホテル.ゲイリー・クーパー演じる富豪のフラナガン氏は,そこに人妻を呼んでは,4人の楽団に "魅惑のワルツ" を演奏させながら食事を摂ったり不倫をしたり.何とまあ,不道徳で優雅なことでしょう.

この映画の観どころはいくつかありますが,まずはオードリーが純情な娘を非常にうまく演じているところでしょう.けれん味の全く無い,まさにオードリーらしさにあふれた名演を楽しめます.特にラスト・シーンで,列車に乗り込んだフラナガン氏を追いかけながらウソの強がりを延々とまくし立てるシーン.乙女の純真さに胸がキュンとなって,フラナガン氏ならずともノックアウトです.彼女のファンにとっては,この映画が,1953年の "ローマの休日",1954年の "麗しのサブリナ" の少し後,1961年の "ティファニーで朝食を" の少し前であり,1963年の "シャレード" や,1964年の "マイ・フェア・レディ" よりはだいぶ前,ということを知っておくと,理解がしやすいかもしれません.

次の観どころは父親役のモーリス・シュバリエの演技.特にラストに近く,フラナガン氏に娘をこれ以上惑わさないで欲しいと懇願する場面は,父親の愛情にあふれる素晴らしいものです.彼の台詞 "小魚を水に返してやって欲しい" は本映画中の傑作.

3番目の観どころは4人の楽団.いつでもどこでも依頼さえあれば駆けつけて魅惑のワルツを演奏します.フラナガン氏が娘の浮気が気になってやけ酒をのむシーンで,シャンペングラスをワゴンに載せて楽団員のほうに送り出し,それを皆で飲んではへべれけになるところは大変楽しめますし,ラストシーンで列車が駅から去るときにも演奏を続ける彼らには爆笑と拍手喝采が送られるべきでしょう.

最後の観どころは実はこの映画のプロローグ.フランスではキスがいかに当たり前で重要かということを茶化して紹介するもので,フランス人のキスはわざわざフレンチ・キスと表現するくらい,英米人にとってはある種特異で羨ましいもののようですが,この部分は日本人にもなかなか楽しめます.

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