光と影が織りなす綾織り
Between Here and Gone [Import] [from US] - Mary Chapin Carpenter(アーティスト)
このブログでも何度か取り上げている (*1, *2) ベテランのカントリー・シンガー・ソングライターである Mary Chapin Carpenter の2004年のアルバムです.プラスティックの Jewel Case ではない紙のジャケットは,まるで印象派の画家が描いた風景画のようで,アーティスト本人の姿はどこにもありません.彼女のアルバムではこれは珍しいことです.
以前にも書いたとおり,彼女の音楽性は光と影が織りなす美しい綾織りとでも言うべきもの.現代に生きる私たちの希望と不安,喜びと悲しみを高度に音楽的に表現し,カントリー・フォークを現代的で音楽性の高いものに引き上げました.これは彼女自身が子供の頃からうつの傾向があったことと無関係ではないかもしれませんが,しかし,うつの暗さには捕らわれず,必ず明るい希望の光を添えているところが彼女の音楽の救いであり,すばらしいところです.Wikipedia の記事によれば,彼女は2007年のツアー中に肺血栓塞栓症 (Pulmonary embolism; PE) を発症.健康状態には懸念が残る昨今のようです.
さてこのアルバムでも彼女は非常に安定した音楽を聴かせてくれます.光の影の絶妙なバランスはこのアルバムでも十分に発揮されています.ゆったりとしたテンポ,アルトの落ち着いた声,そして暗さと明るさが綾織りのように交錯するメロディーライン.彼女らしい音楽がゆったりと流れ,この歌手の音楽性を味わうにはもってこいの一枚です.
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コメント
最近,通勤途上では彼女の音楽をよく聞いています.昨晩はこのアルバムを堪能しました.改めて感じたのですが,このアルバムのミキシングは素晴らしいですね.特にベースの低音が大変クリア.全くボンつきを感じさせません.それでいて決してでしゃばることのないレベルに抑えられていて,そのバランスが絶妙.これはピュア・オーディオでじっくりと聴くべきアルバムです.
投稿: 俊(とし) | 2009/05/15 12:34