これぞ現代のブルーグラス!
Good Thing Going [Import] [from US] - Rhonda Vincent(アーティスト)
Rhonda Vincent はここ10数年のブルーグラスの世界では最も名声と実力を兼ね備えた女性アーティストの一人です.私はこの人のアルバムを聞いて女性ブルーグラスの世界に入っていった経緯があるため,このブログでも度々取り上げてきました(*1, *2, *3).彼女は主としてマンドリンを弾き,そして歌うのですが,全体として実に草臭い音楽を,非常に高い質で作ることが出来る稀有な存在です.
彼女の歌声には以前にも書いたとおり明確な特徴があります.一つは,やや乾いたアルトの声を強く前に押し出し,抜群の安定感をもって長く引っ張る,という特徴です.ハーモニーコーラスでこの特徴は遺憾なく発揮され,まさに彼女を特徴づけ識別できる唱法として確立されています.もう一つは,こちらは欠点なのですが,アルトの音域が高音側に狭く,高域の発声に無理があるという点です.今回のアルバムでもこれらの特徴はそのまま反映されていますので,あーやっぱり Rhonda の声だ!と安心?して聴いていられます.
今年1月に出されたこのアルバムは,良い曲が多くパフォーマンスも素晴らしいものばかりなので,大変なお買い得感があります.ひょっとしてこのアルバムは Grammy を獲れるのではないでしょうか?これまでの Rhonda Vincent のアルバムの中でも,前作と同じかそれ以上に Rhonda らしい充実した内容を楽しむことが出来ます.Rhonda Vincent 一座(笑)が総力を結集して制作したアルバムということもライナーノーツのクレジットを読むとすぐにわかります.私が特に気に入った曲は,第3曲の Russel Moore とのデュエット曲 "I Give All My Love to You" と,第7曲の "I Will See You Again".私は Rhonda Vincent の歌に関しては,アップテンポの曲よりはスローテンポの曲が好きなもので.
しかし,ジャケットの写真を見ると彼女も老けてきましたね.1962年7月の生まれなのでもう46歳.90年代前半の Rebel レーベルの頃のまだ初々しい感じの写真に比べると,だいぶ貫禄?がついてきました.まだしばらくは今の音楽スタイルで押していけると思いますが,そろそろ新しい境地を開拓する必要があります.その準備を始めているとは思いますが,成功し過ぎた現行スタイルを持ってしまうと,その転換は難しいかもしれません.
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