白とび猫
デジタルカメラの欠点の一つは,露出の許容範囲(ラティテュード)が狭いことです.明るい部分と暗い部分が同居している被写体では,明るい部分の露出を飽和させないように暗めの露出補正をかけると暗い部分の露出が暗い側に飽和し(黒つぶれ),逆に暗い部分のディテールを出そうと思って明るめの露出補正をかけると,明るい部分が飽和して(白とび)しまいます.
私の身近で最も露出の難しい被写体が飼っている猫です.こいつは,額から後頭部,背中の中心部にかけては真っ黒な毛が生えているくせに,顔の下半分から胸,腹にかけては純白の毛が生えています.こういう被写体が直射日光を浴びているとどうなるかは容易に想像がつきます.どのように露出補正をかけても,白とびと黒つぶれの両方を同時に救うことは出来ません.困ったものです.
この二枚の写真は5年ほど前に購入した古めのコンパクトデジカメで最近撮ったものです.上の写真は Photoshop CS3 でトーンカーブをいじって暗部を持ち上げたもの.下の写真は同じ写真を Photoshop CS3 の高度な機能である「シャドウ・ハイライト」でシャドウ部とハイライト部をそれぞれ 25% ずつ補正したものです.補正量が多すぎると自然さが出てしまいますが,この機能が調整レイヤーとして使えないのが本当に残念.
最近では高級一眼レフにも「アクティブD-ライティング」などという名前でダイナミックレンジを見かけ上広げる機能が搭載されていますが,本来は撮像素子のガンマ補正を最適化して広いラティテュードを捕らえ,また画像フォーマットにも浮動小数点表現を許すなどの改革が行われるべきでしょう.写真工学の世界でどのような議論が行われているのか,興味があるところです.
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