ブルーグラス女性ヴォーカルの星
Catch Tomorrow [Import] [from US] - Dale Ann Bradley(アーティスト)
いやぁ,驚きました.あまりぱっとしないおばさんが写っているジャケット写真.それなのに値段は他のカントリーの CD に比べるとずいぶんと高め.しかし評点は大変高い.どういうものかと思って Amazon.com でクリックして買い求めたものを聴いてみてビックリ.Dale Ann Bradley って素晴らしいヴォーカリストではありませんか!声質だけを取れば,好みもありますが,Alison Krauss よりも上かもしれません.なにせ Alison 自身が裏ジャケットで彼女に対して "Dale Ann Bradley is one of the most gifted vocalists bluegrass and country music has ever heard. She is a dream." と最大級の賛辞を贈っているくらいです.しかも,このアルバムのプロデューサーはかの Alison Brown,このブログで何度も取り上げた(*1 *2 *3 *4)インテリ女性バンジョーイスト.彼女のレーベル "Compass Records" からのリリースです.このような女性歌手がいたことを知らなかった自らの不明を恥じるばかりです.長年実績を積んだヴォーカリストのようで,ライナーノーツに自ら書いた文章の冒頭には "当年とって41歳,歌を歌って26年" というフレーズがあるくらいです.もう相当のベテランなのですね.2007年と2008年の "IBMA Female Vocalist of the Year" に選ばれていますので,これはもう最大級のお墨付きを得たということでしょう.
実に良い曲が多いです.フォークとブルーグラスで構成されたアルバムですが,ジャケット写真の通り,草原を風が寂しげに吹き渡っていくという風情の曲が中心です.このような哀愁を含んだ短調の曲に彼女の声は非常によく合います.唱法はテクニックを弄するわけでもなく淡々としたものですが,旋律を渡り歩くときにわずかに小節を効かせているのが特徴でしょうか.
第2曲の "Live Forever" は珠玉の一品.素晴らしいメロディーラインの一言に尽きます.第3曲の "Holding on to Nothing" は Marty Raybon との美しいデュエット.第6曲の "Memories, Miles and Tears" も素晴らしい曲ですが,これは彼女自身の作曲.曲作りの才能もなかなかのものですね.第9曲の "Grandma's Gift" も彼女自身が作曲の佳作です.有名ミュージシャンも伴奏やハーモニー・ヴォーカルで参加しています.私は特に第11曲の "When the Mist Comes Again" で Irish Folk のバンド Lúnasa と Tim O'Brien らとの競演をしているのが非常に気に入りました.Lúnasa は日本での Tim O'Brien のコンサートで競演しているのを聴いたことがあります.
とにかくお勧め!また素晴らしい女性ヴォーカリストにめぐり逢えて私は大変幸せです.
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