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2009/10/15

空港を舞台にしたヒューマンドラマ

ターミナル DTSスペシャル・エディション [DVD] - 出演:トム・ハンクス,キャサリン・ゼタ=ジョーンズ,監督:スティーブン・スピルバーグ

この映画 "ターミナル" もトム・ハンクススピルバーグというゴールデンコンビによるロマンティックなお話.東欧の架空の国クラコージアからニューヨークの空港に到着した一人の男性.しかし彼が到着する直前,祖国ではクーデターが勃発して政権は転覆.彼の持っていたビザは無効になり,彼は国に帰ることも,アメリカに入国することもできずに一年近くを空港の中で過ごすことになります.何とか入国できないものかと日々書類を提出するのですが,それは叶わず,しかし空港の中でのありそうもないサバイバルのエピソードをスピルバーグが次々と繰り出しては観客を楽しませてくれる,そういう映画です.

スピルバーグらしいのは,空港の中で働く様々な職業の人たちが,様々な形で主人公と関わるうちに,彼に好意を抱き,彼を応援するようになっていく過程です.ここはさすがはスピルバーグと思わせるエピソードが多く,特に,彼の空腹をどのように解決していくのかという課題を主軸に進むので,結構リアリティがあります.

逆にスピルバーグらしくないのは,ありそうにない空港管理当局の意地悪な役人の存在.このような非現実的な役柄を持ってこなければこの映画が成立しないわけは無いのですが,あえて悪役として担ぎ出されたということでしょうか?ちょっと興ざめです.もっと他の描き方はあっただろうにと思います.

また,リアリティに欠けていると思ったのは,このような場合は必ずマスコミが嗅ぎつけて,お涙頂戴か小ずるい不法滞在者かのレッテルを張って,大量の映像とインタビューを世の中に撒き散らしては,当人はおろか空港管理当局の手足をも縛る,というようなことが一切語られなかったこと.

トム・ハンクスがロシア語のような東欧の言語らしい言葉をしゃべるのは全て彼のアドリブだったそうです.さすがですね.主人公との淡いロマンスを演じるのはキャサリン・ゼタ=ジョーンズですが,私にはこの役には,キルスティン・ダンストのほうが良かったのではないかと感じました.単なる趣味の問題ですが.

ま,いずれにせよ,現代のおとぎ話の一つのスタイルであることには違いありません.手練(てだれ)の監督による鮮やかなエンターテイメントです.ちなみに,この映画の撮影は,実際の空港ではなく,この映画のためにわざわざ建設されたターミナルのセットで行われたとのこと.ターミナル内部はまるで本物で,入居している商店は全て実在のブランドばかり.商品や店員の制服も本物と見分けがつきません.こういうところではリアリティを重視するのですね.最終盤,ニューヨーク市内のジャズ・バーでのベニー・ゴルソンのパフォーマンスは本物.これはすごい.

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