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2009/10/20

地方空港

一昨日,北陸地方のとある空港でのスナップ.東京から到着した便から荷物を積み降ろし,客室を整備し,燃料を補給し,という作業が始まろうとする瞬間です.時刻は夕暮れ時.作業が終わる頃には薄暗くなっていました.ここは軍民共用空港なので戦闘機のフライトも頻繁に行われており,騒音はかなりのものです.空港の売店には軍用機のモデルがずらり.

Noto_oct2009010m

羽田のハブ空港化で成田の過去の歴史や役割分担がにわかに騒がしくなってきましたが,国家戦略としての空港行政が議論される雰囲気なので,これは大変結構なことだと思います.これまでの空港論議は,地方の土建行政の思惑や地域振興という枠内で行われ,航空会社の経済合理性をないがしろにして利権議員が暗躍するという構図でした.その結果,静岡空港や茨城の百里基地軍民共用空港のような,どう見ても無理のある空港建設を許してきたのです.空港整備特別会計という空港建設を続けるための奉加帳のような財布も法的に用意されてきましたし,運輸官僚にとっても天下り先が増える大変美味しい仕組みでした.しかし,東アジアでの航空輸送の競争力という視点で問題を捕らえなおし,ハブ空港とローカル空港の役割を議論しなおすことができれば,無駄に国土を破壊して不採算の空港を造るという愚計を冒す機会を減らすことが出来ます.

過去のしがらみで最適な戦略を選択できない組織は衰退します.日本全体の最適戦略を提案して国民に問うことが政権の役割だとすると,第一歩は踏み出せたということでしょう.

ところが成田にとってはそのしがらみの精算が最大の課題です.これは工事が中止になりそうな八ッ場ダムなどのダムと全く同じ構図です.国の方針のために地域社会が犠牲になり,反対運動の末に泣く泣く同意したら,ダムは作らないと言い出したものですからたまったものではありません.国のために犠牲になった俺たちの立場はどうなる?犠牲の名誉に関わる人間心理という大変厄介な問題の解決はこれからです.犠牲の名誉に関しては,第二次世界大戦で亡くなった方々の遺族の心理も同様だろうと思います.レイテ島戦線沖縄戦満州戦のように国に見捨てられ犬死にした兵士や民間人は少なくないのですが,遺族としては,国や家族のために最大限役に立って犠牲になったと思いたいのはごく自然な感情でしょう.靖国神社を巡る議論の難しさはこの犠牲の名誉に関することだと思います.

話が脱線してしまいました.成田も羽田も東アジアのハブになるのは容易ではありません.韓国の仁川(インチョン)シンガポールのチャンギを訪れるとわかりますが,複数の巨大空港がすでに域内にあるのです.これらに成田や羽田がどうやって対抗していくのか?唯一の対抗軸は,首都圏という超高集積都市空間と大市場が間近にあることでしょう.

それに対して,この写真に掲げた地方空港はどういう位置づけになるのでしょう?採算が取れなければ減便になり,場合によっては路線そのものが廃止となることも覚悟しなければならないと同時に,近隣の中国,韓国,ロシアなどとの直行便を呼び込む努力も今以上に続けなければならないでしょう.現にこの空港にも大韓航空の定期便が来ていました.地方空港が海外のハブとも直接つながっていくことは,ごく自然なことのように思えます.

そういう努力を続けたとしても,廃港となる空港が出てくることでしょう.そのときこそ,日本各地にビジネスジェット専用空港やフライングクラブが勃興していく契機につなげたいものです.地方でこそ,欧米では普通に味わえるような豊かな生活が楽しめるはずです.そこに富裕層をうまく引き込んでいく,そういう戦略を描けるのではないでしょうか?

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