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2010/01/10

大恐慌時代に人々を勇気付けたある競走馬の伝説

シービスケット [DVD] - 出演:トビー・マグワイア,ジェフ・ブリッジス,監督:ゲイリー・ロス

一昨年の9月のリーマン・ショックから始まったこの不況は100年に一度の不況と言われたのですが,1929年に始まった大恐慌に比べれば,恐慌の発生は今のところ食い止められています.1930年代はこの大恐慌をいかに生き延びるかで人々が必死だった時代でした.この時代を題材にしたアメリカ映画は数知れず,傑作が多いのも特徴です.そしてこの映画もそのご多分にもれず,大恐慌を乗り切るのに精一杯だった人々と,くじけても立ち直る,肉体は砕けても心は砕けない人々と馬を描いた佳作です.しかもこれは実話を題材にしており,しかもかなり実話に忠実なシナリオ,という点からも注目すべき作品です.

大恐慌に前後して三人の男の人生が描かれます.自転車修理屋から身を起こし自動車販売で財を築きながらも,息子に死なれ妻にも去られて心満たされぬ男.騎手の才能を持ちながら口減らしのために奉公に出され,心の傷を負ったまま駄目な騎手として帰る場所無く荒れる若者.馬の気持ちを理解できながら人付き合いが下手で孤独な調教師.これら三人が次第に一箇所に集まり,その中心に間違った調教法で人間不信になった競走馬,シービスケットがいます.

ネタばらしになるのでこれ以上は書きませんが,とにかく実話の重みはずしりときます.またレースの映像は素晴らしい出来.馬群の前からも後からも馬群と同じスピードでカメラが走ります.まるで自分が騎手になってレースの中にいるような感じです.どうやって撮影したのか知りたいところです.DVD にはメイキング映像が収録されてそれが明らかにされているらしいのですが・・・どうやったんだろうなぁ?カメラを車に積んで走ればそれで済みそうな気もします.長いブームを張り出してカメラを吊り下げれば,さほど馬の邪魔にならない.それともトラック競技を撮るテレビカメラのように,レールをトラック外周か内周に設置してブームごとカメラを走らせた?でもそうかなぁ?馬に騎手とカメラマンが二人乗りになって,ステディカムで撮っていたら最高ですが.

大恐慌時代に人々を勇気付けたのは,食糧の配給でもなく,ニューディール政策でもなく,一頭の馬の活躍だった,それも一度や二度の失敗では決してくじけない,倒れても倒れても立ち上がるという姿が,大恐慌にあえぐ庶民たちの心を惹きつけて止まなかった,という当時の社会風潮も巧みに描かれています.この不屈の心意気に対する賛歌がこの映画の主題と言ってもいいと思います.辛い状況に置かれているときにこの映画を見ると,確かに勇気づけられる気がします.

主演のトビー・マグワイアは,映画 "スパイダーマン" の連作と相前後しての主演で,悩みを抱えどこか陰のあるヒーローの役という意味では,この作品との相性は悪くありません.この映画では製作総指揮という役も担ったとのことです.この映画に対する思い入れが強かったのではないでしょうか?彼自身,生い立ちは必ずしも幸福というわけではありませんでした.

全体としては140分というかなり長い映画ですが,時間が経つのを忘れて楽しめます.

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