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2010/02/19

ディック・フランシス逝去

英国の作家,ディック・フランシスが2月14日に亡くなりました.この日が早晩来るとは分かってはいましたが,いざ訪れてみると喪失感と寂寥感に囚われてしまい,鬱々としています.このブログでも近作を取り上げてレビューしたことがあります(*1 *2 *3).

元,英国競馬界での優秀なジョッキー,後に作家に転じ,競馬に何らかの関わりがある主人公を題材にしたミステリー "競馬シリーズ" で,世界中に莫大な数のファンを持つミステリーの巨匠となりました.

日本では早川書房が早い時期から翻訳に努め,また "菊池光" という名翻訳家の独特の文体によって多くのファンを獲得しました.私もその一人で,学生のころから30年来のファン,と言っても良いでしょう.日本での大成功が菊池光のお陰だということはディック・フランシス本人もよく分かっていたようで,菊池光が亡くなった時にはミステリマガジン誌にわざわざ追悼文を寄せているほどです.

競馬シリーズの特徴は,なんといっても主人公の性格設定とその描写にあります.常に冷静で禁欲的な性格,肉体的苦痛に耐える強靭な精神力,そして善意と信念,これらの言葉に彩られる総合的な人物像がほとんどの主人公に当てはまります.

そしてそれを縁取るのが凶悪,凶暴,狡猾などの言葉では言い尽くせないほどの性格異常の悪役たちです.世の中に本当にこんな性格の悪い人たちがいるのだろうか?と若いころは思ったものでしたが,年を取るにつれて,これは実話を題材にしているのでは?と思えるほどになってしまいました.年を取るということは恐ろしいことでもあります.

さて,もうこれで競馬シリーズの新作が出ることはありません.これまでに読み貯めたシリーズをもう一度ひも解いてみましょうかね.

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