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2010/06/20

イーストウッド渾身の最高傑作

ミリオンダラー・ベイビー [DVD] - クリント・イーストウッド(監督),ヒラリー・スワンク(俳優),クリント・イーストウッド(俳優)

オスカー4本を獲得し,クリント・イーストウッドの最高傑作との呼び声の高い本作品.衛星映画劇場のイーストウッド特集で放映されたので,録画して観るのを楽しみにしていました.そして観た後の感想は,うーん,間違いなく現代アメリカ映画の傑作のひとつ.

イーストウッドらしく,社会の底辺に生きる者たちへの優しい眼差しにあふれています.実家は生活保護を受けるほどの貧しさ.13歳からウェイトレスの仕事を続け,客の食べ残しを持ち帰って飢えをしのぐ毎日ながらも,ボクサーへの夢を捨てきれずにジムに通う主人公.ジムの経営者は彼女のトレイナーになるのを拒むのですが,彼が育てたボクサーで今は住み込みでジムの雑役夫をしている男が見かねて手ほどきを行ったことから,彼女のボクサーとしての道が始まります.

この雑役夫役のモーガン・フリーマンが素晴らしくいい味を出しています.ショーシャンクのときにも,ティム・ロビンスの相手役として素晴らしい演技を見せてくれたのですが,今回はもっと地味で暗い陰影のある雰囲気ながらも,片目の見えない老ボクサーの光と影を見事に演じました.特に,ボクサーにとっての生きることとは何かを語るシーンは最高."片目をつぶされたことを後悔してはいない.ボクサーとしてやるだけのことはやった.それがなかったら死ぬときに後悔が残る." この言葉は後に主人公に対して重みをもってきます.

主人公の女性ボクサー役をやったヒラリー・スワンクの演技がこれまた見事!ボクサーとしての技量がどんどん上がっていくところがうまく演じ分けられていて,専門の演技指導があるのは当然としても,彼女が素晴らしい身体能力を持っている女優であることがわかります.表情や言い回しもベテランの域です.彼女自身,幼いころは貧しくてトレイラーハウスに住んでいた経験があるそうですが,この映画の前半の役作りには一役買ったことでしょう.

さて,イーストウッド本人の演技ですが,容貌の衰えを隠そうとはぜず,老トレイナーの戸惑いと喜びと苦悩を見事に演じました.イーストウッドは年を取ってから発声法を変えたらしく,しゃがれた声を静かに出すやり方は,この映画でも貫かれています.ラストに近い部分では,苦悩につぶされそうになる一人の男を演じ切りました.

シナリオそのものはかなり予定調和的で,ラストに至る筋書きも読めてしまうのですが,それが非常に高いレベルで演じられ,映像化されているので,これほどの感動と味わいを与えることができるのだと思います.尊厳死に対する誤解を含むシナリオ,ボクシング・シーンが非現実的であること,ゲール語の間違いなどなど,厳密なリアリズムを求める向きには不満だったでしょうが,それらはフィクションに特有のものと勘弁してもらうしかありません.

かねてから,クリント・イーストウッドの最高傑作と言われて久しい作品だったのですが,恐らくそうなのでしょうね.少なくとも,現代アメリカ映画の最高傑作のひとつであることには間違いありません.

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