ハチャメチャだが妙に楽しいミュージカル
プロデューサーズ [Blu-ray] - 出演:マシュー・ブロデリック,ウィル・フェレル,監督:スーザン・ストローマン
プロデューサーズはあまりお上品な映画とは言えませんが,たまにはこういう映画も良いでしょう.子供が観てもよくわからないが,大人が腹を抱えて笑えるミュージカルの傑作です.とにかくトニー賞12部門を受賞したというモンスター・ミュージカルの映画版です.
と言っても,この作品の由来は少々複雑.まず,1968年にこの題名の映画が作られましたが,あまりに俗悪な内容だったために公開された映画館は少なく,さほど知られないままでした.しかし,2001年にこの映画を元にしたミュージカルが公開されて,これが大ヒット.トニー賞12部門を受賞しました.これはさすがにすごい.それから2005年になって,このミュージカルを元にした映画が作られました.それがこのミュージカル映画です.
ナチズムと同性愛という,タブーの二大親玉のような題材を真正面から取り上げて笑いのめすという手法はもうほとんど博打ですが,これが大当たりしたのがまた面白いところ.
しょっぱなから,出てくる登場人物が極め付きの俗物揃いというシナリオなので,ナチズムだろうが同性愛だろうが,それほど気にせずに楽しめます.若くて真面目な会計士のヒステリー癖や青い毛布のハンカチなどはまず笑えるエピソードですが,次に出てくるゲイの演出家とその取り巻きの描写は大変秀逸.特に, "Gay" という言葉の "陽気な" という意味と掛けているところが素晴らしい出来.俳優さんたちの表情や振る舞いも超一流で楽しめます.特に,Roger Bart の顔の筋肉の動きは絶賛に値します.
隠れナチスの男がアパートの屋上で飼っている鳩の作りものがよく出来ていて笑えます.セリフや歌に合わせての羽振りが実に可笑しい.ドイツ人やナチズムをコケにする手法は許容ギリギリの線ですが,エンターテイメントという意味では成功です.スウェーデン美人を使ったスウェーデンの風刺もまあまあ.とにかく俗物のオンパレードなので,筒井康隆の "俗物図鑑" を思い出すほど.
しかしこの映画の本質は,やはりブロードウェイのショービジネスの楽しさへの讃歌,ということに尽きるでしょう.全編を通してこの哲学はしっかりと貫かれており,ブロードウェイへの愛というものすら感じられます.出演者たちも Roger Bart に限らず役者ぞろい.舞台俳優が多いせいか,表情の作り方が派手でわかり易く,歌の吹き替えのシンクロがずれていたりぎこちなさが目立つにもかかわらず,朗々と歌い上げるさまもお見事.
子供と一緒に見るには躊躇しますが,大人が堅苦しさを脱ぎ去って楽しめる逸品です.さすがはトニー賞12部門受賞作品だけのことはあります.
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