謹賀新年2011
新年明けましておめでとうございます.
月日が経つのは本当に早いもので,もう新年なのかと思うと愕然とします.この調子でいくと,ぼやぼやしているうちに寿命が尽きて「それでは皆さんさようなら」になってしまいそうですが,例年にならって昨年一年を振り返り,今年一年の希望を書いてみたいと思います.
昨年一年間は近年まれに見る忙しい一年でした.まず,住んでいる団地の自治会の役員を一年間務めなければなりませんでした.これはあと3か月ほど残っているので,まだ終わったわけではありませんが,4月から毎週のように週末の夜に集まって役員会を開き,様々な案件を議論し,そして自分に割り当てられた役割についてかなりの作業をこなし,さらに夏祭りなどの大きなイベントの準備や運営に対しては,週末全ての時間をそれらに捧げなければなりませんでした.このため自由時間は減り,大好きな写真を撮りに行く機会は激減し,ストレスを解消する機会が少ないつらい一年間でした.
自治会にとって地域社会の課題は山積しています.最大の課題は何と言っても高齢化です.当団地は高度成長期の終わりころに,首都圏勤務のサラリーマン向けに宅地として一斉販売されたもので,ほぼ同世代の人たちが購入し,早くからあるいは定年後に移り住んで,団地の住民となったものなので,高齢化もほぼ一斉に始まります.団地住民の年齢分布には65歳を中心とする髙いピークが見て取れます.この団塊世代のピークが年を追うとともに高年齢側にシフトしていくことになります.
すでに高齢者の独居世帯が多数存在し,病院への通院や日常の買い物などにも不便を感じる人たちがいるため,自治会としても何らかのサービスを提供できないか,問題意識を持って議論を続けています.ただし,サービスを提供する側がすでに60歳以上が中心であるため,なかなか根本的な解決に至りません.今後数10年かけて人口の世代交代が進み,年齢構成が程よく均衡することを願うばかりですが,日本全体としては,人口構成のみならず,所得や富の年齢分布も同時に再均衡させていかなければならないでしょうから,政治的に大きなリスクを取る政策を実行していかなければなりません.このあたり,社会政治学や社会経済学からの積極的な提言の発信が必要と思われます.そして政治家には,このリスクを取って社会を再活性化するだけの気概が求められることは言うまでもありません.
あと3か月ほどでお役目御免になるのでほっとしていますが,抱えている問題がなくなるわけではなく,これからも折にふれて協力し関わっていこうと思っています.
次に,昨年は仕事の面でも忙しい一年でした.夏になったころから海外出張に行く機会が急に増えたのです.行先は決まっていて,中国とアメリカ中西部.特に秋からはアメリカ中西部に毎月のように出かけなければならなくなりました.日本からアメリカ中西部までは,片道12時間ほどの長時間のフライトになります.これを,エコノミークラスの狭い座席に押し込められて過ごすのは,本当に命を縮めるのではないかと思うくらい過酷なものです.毎回ゆったりとしたビジネスクラスの座席でくつろげるのであれば,出張も楽しみなものになるかもしれませんが,エコノミークラスでは血栓が出来ないように絶えず注意を払いながらの旅になります.
このように,移動中は大変つらい思いをするのですが,着いてしまえばそこはアメリカ.物質的な豊かさでは今でも世界最高を謳歌していますから,何につけても気楽なものです.実は私はここ25年ほどは稀にしかアメリカに行っていなかったので,毎月のように頻繁にアメリカの同一都市を訪れてみて,久しぶりにアメリカの雰囲気に馴染んだような気がしました.ホテルの部屋で見るテレビの番組やコマーシャルは,25年以上前に比べて若干変わったような気がしますし,道路を走る車の種類も少し変わったように思いますが,基本的なことは何も変わっていないように思います.
レストランで食べる料理の種類は増えました.世界各地域の本格的な料理がアメリカでも食べられるようになり,日本料理はもはや珍しくありませんし,本格的なイタリア料理を出す店も増えました.カフェに入っても,もはや,サンドイッチやハンバーガーステーキだけの食生活ではなくなっていました.そうそう,アメリカ人がこれほどワインを飲むようになったのは驚きです.しかし,ワイングラスになみなみと赤ワインを注ぐそのさまは,フランス人が見たら仰天するかも.グラスに引かれた規定量までビールやワインを注ぐドイツの流儀が入って来たのかもしれません.
私が訪れているのは,まだ煉瓦造りの建物が多く残る中都市で,街中を一人で歩いても極めて安全.めぼしい建物や街の様子を写真に撮りながら散歩するのは楽しいもの(*1 *2 *3 *4 *5 *6 *7)です.また,アメリカを代表するビールとチーズの産地でもあるので,各種のビールを楽しめます.これは,この地域がドイツ系移民が多く入植し発展してきたことと大いに関係があるそうです.なるほど,道理でドイツ語の地名も多い.でも,フランス語の地名もちらほら(Fond du Lac, Eau Claire, etc.)あって,なかなか楽しめます.
秋が深まり冬が訪れるとともに,この地方の厳しい寒さを体験することになりました(*1)が,これは今年に入ってからもしばらく続くことでしょう.日本でいうと北海道クラスの寒さなので,防寒にはそれなりの対策が必要です.春が来るまでしばらくの間,街歩きはお預けです.
昨年は円高が進んだ年でした.アメリカに出張するたびにそれはよくわかりました.マクロ経済からは大変不可解な事象ですが,日本経済への影響は多方面に及び,我が国の輸出立国の基盤がますます怪しくなってきました.また,資産を運用する面からは,外貨建ての株式や債券,それらを基にした派生ファンドなどは,リターンに大きな影響を被ったはずです.
一方,輸入品が安くなったかというと,確かに原油の輸入に関しては大いに有利な状況が生まれたはずですが,それでガソリンや灯油が安くなったという実感はありません.原油価格に緩やかに連動するスポットものの天然ガスも安くなっているはずですが,電気料金はほんの少ししか安くなっていません.
私が最も不満に思っているのは,輸入されているワインやチーズなどがほとんど安くなっていないこと.これはいったいどうしたことでしょう?ネゴシアンや商社や代理店が大儲けしているはずなのですが,誰に文句を言っていいのかよくわかりません.
仕事の面では,職場が変更になり,これまでとは少し異なる場所での勤務となりましたが,それでも東京都心の勤務であることには変わりはなく,毎日あくせくと通勤しています.最寄駅で,これまでずっと工事中だった秋葉原駅の工事が終わり,旧アキハバラデパートが "アトレ" として生まれ変わりました.お店の顔ぶれも様変わりし,若者向けのおしゃれな店が増えて,かつてのおじさんのデパートという風情は完全になくなったのには,ちょっぴり寂しい気もします.
上に書いたとおり,海外出張が増えたこと以外には,会社員としての暮らしぶりにさほどの変化はありません.しかし,自分自身は確実に年齢を重ねているわけで,会社組織の中での地位や立場もそれに合わせて微妙に変わっているのは確かです.あと数年はこのようなことを繰り返していくのでしょう.それにしても,長時間の電車通勤は毎年着実につらくなってきました.困ったものです.ま,健康第一でもう少し頑張りますか.
健康面ではおおむね良好だったのですが,一つだけ20年ぶりに持病の発作を経験し,あまりの痛みに七転八倒しました.お決まりの尿路結石です.
私は30代半ばで一度,大きな結石が尿管の途中に引っかかって大発作を起こし,病院に駆け込んで衝撃波破砕治療を受けました.それ以来,定期的に病院で検査を受けることを続け,石の成長もモニターしていたので,激痛を起こすほど成長した石は無いはず・・・でした.ところが,とある秋の日,早朝に脇腹の痛みで目を覚まし,それからが大変.
まずは肉眼での血尿が無かったために,虫垂炎を疑ったり,胆石を疑ったりしたのですが,どうも傷みが急激で激しすぎる.痛みを懸命にこらえるために脂汗がにじみ,顔が青ざめ,吐き気がしてきます.
仕方なく駆け込んだ近所の胃腸科の病院で,当直の若い医者から,このような所見の場合に考えられる原因について,やれ虫垂炎だの何だのと滔々と講義を受けたのですが決め手は無く,痛み止めの点滴を受けながら CT を撮ったところ,あっさりと「尿路結石です」ということが判明.こうなると胃腸が専門の医者は冷たいもので,「うちで出来ることはもうありません.尿管に石がひっかかっているので,水分をたくさん取って排出してください.痛み止めの座薬を出しておきます.」で終わりです.
帰宅してからはスポーツドリンクをたくさん飲み,飛んだり跳ねたりして石の排出を促します.痛い部位がだんだんと下がってきたのがわかりました.翌日の明け方,びっしょりと寝汗をかいて目が覚めました.痛みはほとんどありません.しかし膀胱に違和感が.どうやら石は膀胱にまで落ちてくれたらしい.自分の体のどういうメカニズムでそうなったのかわかりませんが,その経過であれほどの寝汗をかいたのでしょうか?しかし,こうなればもう9割がたは成功です.あとは石を流し出すだけ.普通に会社に出かけ,何度がトイレに行くうちに,尿道を何かが通る感じがしました.やっと出たのです.血糊に絡まった赤黒い塊が便器に落ちたように見えましたが,回収はできず.やれやれ,でも万歳!
一昨年の秋にカメラを買い替えたところ,新しいモデルはフォーカスの確度が上がっていたので,それを持って写真を撮りまくる・・・はずだったのですが,自治会役員の仕事で週末はあまり動けず,趣味の写真に関しては不本意な一年間でした.楽しかった思い出は,春先の週末にじっくりと撮影できた丸の内の三菱一号館と,晩秋の週末に東京スカイツリーを間近から撮影できたことくらいです.
カメラは昨秋にさらに次の最新モデルが発売になり,フォーカス精度も速度も格段に上がった,新しいズームレンズ付きのモデルもある!ということなので,また物欲がムクムクと頭をもたげてきたのですが,財布の中身や実際に撮影に出かけられる機会の数を考えて,今のところは抑え込んでいます.
昨年は,一昨年に引き続き,プログラミング言語 Ruby のスクリプトで実装した拙作の辞書参照型ソーティングフィルタである Refsort/Ruby の小改良を続け,夏に Version 2.12 を出して今は落ち着いています.辞書ファイルについても小改良を重ね,日本産鳥類辞書,世界鳥類辞書の両方について,細かな追加と修正を行いました.Ruby そのものは昨年末のクリスマスに新しいパッチがリリースされましたが,実行速度と安定性の向上が図られています.
これらの作業に対しては相当の労力を強いられ,週末の自由時間がかなり奪われてしまうということはあったのですが,それでもやり遂げた後に感じる充実感は喜びに満ちたものです.完全に自己満足の趣味の世界なのですが,頭の体操を兼ねてこれからも続けていこうと思っています.
それでは皆様,今年が良い年であることを祈っています.長いおしゃべりにお付き合いいただきまして,ありがとうございました.
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コメント
明けましておめでとうございます
本年もよろしくお願いします
アメリカのビルの非常階段、大変興味深く
毎回見させていただいています
結石、大変でしたね
私も十数年前に、胆石で同じ痛みを味わっていますので
あの内蔵を絞られるような痛みは良くわかります
これからも、よろしくお願いします
投稿: いちろう | 2011/01/01 07:56
いちろうさん,
早々にコメントありがとうございました.本年も健康第一で頑張りましょう.
投稿: 俊 | 2011/01/01 11:07
明けましておめでとうございます。
お久し振りです。職場が変更とありましたが、いったいどこに?役職は?
相変わらず充実したブログで、楽しませて頂いております。
当方は、しがないヒラ執行役員で、ひたすら、歯車としてサラリーマンの双六の上でコマを進めております。
相変わらずの虚業で、それでもしぶとく生き延びています。一度ゆっくり酒でも飲み交わしながらお話したいものです。
3月12日には、新幹線が鹿児島まで直通となり、新大阪から熊本まで最速で2時間59分、たいていは、3時間20分で行けます。
一度、関西にゆっくりお越し下さい。
投稿: 堀坂 明弘 | 2011/01/10 22:36
堀坂様
コメント多謝.今年もいろいろあるでしょうが,お互い頑張りましょう.
投稿: 俊 | 2011/01/16 20:34