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2011/05/16

吃音のリアリティには欠けるが・・・

英国王のスピーチ [DVD] - コリン・ファース 主演

アメリカへ往復するときに飛行機の中で観ましたが,非常に良い映画です.吃音に悩む英国王の二男.王室メンバーの義務として課せられる様々な行事でのスピーチは,吃音持ちにとっては大変な苦痛でした.王室が用意した医者には吃音を治す力はなかったのですが,王子の妃が探し出したオーストラリア人の吃音療法士は,当時としては型破りなやり方で王子の吃音を治していくというお話です.

この人の吃音の治し方は,現代ではむしろ標準的ともいえるやり方ではないかと思いますが,呼吸法や喉の柔軟性を高めるという物理療法以外に,患者の内面に入り込み,特に過去のトラウマを探り当ててそれを克服することによって,患者に自信を取り戻させるというやり方も取り入れています.これは,この療法士が第一次世界大戦で精神障害を負った兵士を治療した経験から確立した手法だと紹介されます.

実は私自身,少年期に吃音で随分と悩んだ経験がありますので,この王子の辛さは身に染みて良くわかりました.大勢の人の前でマイクロフォンに向かってスピーチをしなければならないとは,実に忌むべき義務だと思います.私などは,学校の国語の時間に音読させられるのがどんなに嫌だったことか,今でも思い出します.

この映画は,そのような吃音者に対する理解と癒しと克服の物語です.特に,第二次世界大戦突入前夜,英国国民に覚悟を促し,かつ鼓舞する必要性を痛感していた王子が,兄に取って代わって国王に即位するくだりは,吃音という障害を負いながらも王室のメンバーとしての義務を正しく理解していた主人公の有能さを際立たせるエピソードになっています.

少々違和感が残ったのは,吃音者が苦しむ発声のパターンが十分には再現されていないように思えたことです.吃音者に取っては,T や D のような舌を上唇に付けて破裂音を出すような発声は特に鬼門です.しかし,主人公は必ずしもそのような音で苦しんでいたようには描写されていません.このあたりのリアリティが欠けていたのが非常に残念.

なお,Wikipedia の吃音の項目は非常に充実しており,一読に値するので改めてご紹介しておきます.

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コメント

てすとしてます

投稿: fdfd | 2016/09/27 07:33

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