あらためて知る名作の味わい
ドライビング Miss デイジー デラックス版 [DVD] - ジェシカ・タンディ(出演),モーガン・フリーマン(出演),ブルース・ベレスフォード(監督)
ほぼ10数年ぶりで観たのですが,やはり名作の味わいはあせることはありません.名優二人,すなわち,Miss Daisy 役の Jessica Tandy と,Hoke 役の Morgan Freeman に加えて,普段はコメディで優秀な演技を見せている Dan Aykroyd の三人が,舞台劇を思わせるような見事な演技を見せてくれます.
ストーリーは有名なので省略しますが,時代背景は1950年代から70年代にかけて.主人公たちが乗る車がそれぞれの時代ごとに変わっていくのがよくわかります.また,アメリカでは公民権運動が盛んなころだったので,Martin Luther King 牧師の演説会とか,ユダヤ教会が爆破されたりとか,人種差別の偏見が色濃く残る南部の雰囲気がよく描かれています.
しかし,この映画の最大の見どころは,最初は運転手などいらないと頑なに Hoke を拒絶する Miss Daisy が,次第に心を解きほぐしていき,ついには彼をかけがえのない友人とみなすようになる,二人の間の心理的なプロセスの進化でしょう.しかもこの進化のプロセスが,二人の俳優の演技力だけで見事に表現されているところがまた素晴らしいところです.特に Jessica Tandy の演技は見事.表情やしぐさなど,後世のお手本として残るような名シーンがいくつもあります.認知症が進んだ時の風貌や表情も迫真のものです.
そして私が大好きな俳優 Morgan Freeman も,この映画で大いに名をあげました.後に,押しも押されもせぬアメリカを代表する俳優になった彼ですが,この頃はまだまだ中堅.しかし,後々の彼の定番の演技と呼べるものの片鱗がこの映画の中にいくつもあります.例えば,冗談やウィットに反応してほんの短い上ずった笑い声を上げる演技.これは「ショーシャンク」では何度も聞くことができます.
今となってはやや古い映画なのですが,できれば Blu Ray での発売が待たれるところ.ま,DVD でも一向に困らないのですがね.
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