Al Pacinoの役者魂を見た
セント・オブ・ウーマン/夢の香り [Blu-ray] - アル・パチーノ(出演),クリス・オドネル(出演),マーティン・ブレスト(監督)
あまり期待せずにとりあえず録画しておこうと BS 映画劇場での放映を録画し,週末に観てみたのですが,大当たりでした.この映画はまさに,手練れの役者であることはわかっていても,Al Pacino の役者魂が感じられる素晴らしい映画です.
人生に絶望した酒浸りの盲目の元軍人を演じるのに,瞳を全く動かさない演技が大変効果的だったことは言うまでもありません.またセリフを吐き出すように大声でがなり立てるのは,主人公の傲慢な性格描写として大変秀逸.まさに Al Pacino の役者魂全開です.彼の若いころの出世作 "ゴッド・ファーザー" のときとはまるで違った役柄づくりですが,一方 "狼たちの午後" のときの役作りに通じるものがあるようにも思います.このあたりの彼の役作りについては,Wikipedia 日本語版の解説記事が秀逸ですのでご覧ください..
さて,そのような殺伐とした役柄にもかかわず,女好きで,特に女性がつけている香水や石鹸の銘柄を当てて見せたり,若い女性を誘ってタンゴを踊ったりするところは,この映画の題名にもなっているのですが,ストーリーの中では美しい魂の救済になっています.このあたりのシナリオはなかなか良くできていますね.
かなり長い映画なのですが,場面がボストン,ニューヨーク,そしてまたボストンという具合に移っていき,それぞれの場所でそれぞれのエピソードが語られるので,飽きることはありません.ハイライトは何と言っても終盤の学園の懲罰委員会での演説.これくらいのことを言うのは当たり前で,そもそも卑劣な校長がひどすぎるだけだと私は思うのですが,それでもこの演説が会場の皆を感動させるところも,もう一つの魂の救済ですね.まるで "ショーシャンク" のよう・・・っとここまで書いてきて思い出しました.
この映画の音楽を書いたのは Thomas Newman という映画音楽の大家.大変多作な人ですが,ピアノの弱音の和音やクラリネットの特徴的な音色と節回しを聴くとすぐに思い出したのが "ショーシャンク" の音楽.ひょっとして同じ人じゃないの?と思って調べてみたら,これも大当たりでした!伊達に沢山の映画を観ているわけではありませんね.
とにかく,凄味のある Al Pacino を観たかったら,まずこの映画をお薦めします.
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