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2012年4月

2012/04/30

「ほとんど有罪」は「無罪」ということ

つい先日,ある政治家の政治資金問題に関する裁判の判決が出ましたが,結果は "無罪" でした.ただし判決文にはいろいろと灰色の部分についても言及があり,完全な清廉潔白とは言い難い判断でした.これを悔しがった原告側が "ほとんど有罪なのに" と言ったらしいのですが,これは論理的に正しい言葉の使い方で,私たち日本人がしばしば陥る "ほとんど" の誤用に至ることがなかった点はさすがは法律家です.

"ほとんど何々である" とは,"何々ではない" と言っているのと同じことです.これを "何々である" と誤解する人が実に多い."ほとんど死にそうになった" とは "死ななかった" ということであり,"ほとんど全員が死亡した" とは "全員は死ななかった" あるいは "死ななかった人がいた" ということです.

これはもちろん論理に白黒をつける二元論の立場であって,中間の灰色を認める定量的な議論になれば,意味は全く異なってきます.しかし,有罪か無罪のいずれであるかを議論する場合には,どんなに "ほとんど" 有罪であっても,それは無罪なのです.

二元論は西洋で発達したので東洋には馴染まないという向きもあるかもしれませんが,東洋でも陰陽思想などは古くからあります.日本はむしろ多様性を認める多元論に馴染みがあるのかもしれません.

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2012/04/29

生態学的文明論の秀作

銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎 [単行本] - ジャレド ダイアモンド (著), 倉骨 彰 (翻訳)

銃・病原菌・鉄〈下巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎 [単行本] - ジャレド ダイアモンド (著), 倉骨 彰 (翻訳)

大変有名なベストセラーなのですが,私はつい最近になるまで読んでいませんでした.単行本上下二巻からなる大著なので,買ってはみたものの手を出せず積読になっていたのです.ようやく意を決して通勤電車の中で読み始め,実質2週間ほどで読み終えることが出来ました.

この本は,一言で言ってしまえば "生態学的文明論",それも文明発祥論と言ってよい内容です.世界の文明がどのようにして発祥したのか,あるいは発祥しなかったのかの原因を,人類にとっての生態学的環境の差異に求めるものです.すなわち,狩猟採集から農耕栽培への移行が早く効率的にできた地域と,そうでなかった地域の差異は,その土地の地理的・生態学的な差異に基づくもので,人種的な差異に基づくものではないという主張です.

これにより,栽培に適した穀物や豆類の現生種と,適度な土壌や降雨に恵まれた肥沃三日月地帯で最初の農耕栽培が始まることになりました.家畜についても,ユーラシア大陸には家畜化しやすい大型哺乳類が複数種生息していた幸運に恵まれます.そして余剰食料を作る余裕が生まれ,大規模灌漑の必要性から社会の階層化が進み,農民以外の専門職種が生まれ,権力構造が発達し・・・という文明発展のシナリオが回り出した,と主張します.

一方,他の大陸ではこのような好条件に恵まれたところは無かったため,ユーラシア大陸と他の大陸では文明発展の時期とその速度に大きな差が生まれ,それは今日に引き継がれて西欧の世界支配が継続していることを説明します.

面白かったのは,大陸の形,特にそれが東西方向に広がっているのか,南北方向に広がっているのかによって,文明の伝播速度が大きく異なるという主張とその実証です.ユーラシア大陸は東西に非常に長い大陸で,このため一か所で生まれた文明が気候的に類似の他所に素早く伝播したと論じます.細かいことを言うと難はあるものの,南北アメリカ大陸と対比させれば,その差は歴然で説得力もあります.

本書の内容は概ね納得できるものですし,ナイーブな先住民礼賛論に対する啓蒙的な反論にもなっていると思うのですが,もう少し反対仮説に対する実証を進めないと,このままでは主張が弱いなと感じます.歴史での実証は非常に難しいので,そう簡単にはいかないだろうと思いますが,その方向の努力は他の研究者の協力を得ながら進めていくべきです.

そう思っているところにすぐに思い出したのは,数年前にこのブログでご紹介した本「日本人になった祖先たち ― DNA から解明するその多元的構造」です.ミトコンドリア DNA の分析で人類の出アフリカ以降足取りを実証的に分析する手法なのですが,最近急速に研究成果が出てきています.今日紹介した本は1997年頃に書かれた今となってはかなり古い本なので,このような最新の研究成果が取り入れられていません.大いに続編を期待したいところです.

私はこの本を読む前に,同じ著者による文明の発祥ならぬ「文明の崩壊」論の大著を読んでいました.この本では,著者は文明が崩壊する要因をあげ,それを実証的に論じていますが,それは逆に読めば,文明を維持するためには最低限何が必要かを論じていることでもあります.複雑な対象を分析する際によく使う手法なのですが,この場合には "Minimal Civilization" と呼んでもよいような設定を行うことで,文明の本質に迫ったことになります.こちらも大変お勧めの本です.

著者は生態学を中心とした学際的な研究を行ってきたフィールドワーカー.その経歴が存分に生かされたこれら二つの本を通読すると,著者の文明観をよく味わうことが出来ます.このような骨太の論考を著わすことが出来る作家が日本からも生まれることを期待します.

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2012/04/23

ナナカマドの蕾

先日,花芽の芽吹きをご紹介した ナナカマドですが,その後芽吹きは順調に育ち,あとは蕾が開くだけの状態にまでなってきました.このところ低温傾向が続いていますが,暖かさが戻ってきたら一気に白い花が開くことでしょう.

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2012/04/22

いろいろ芽吹いてきました

今年の春は湿りがちで,なかなかスカッと晴れた日が少なく,しかも週末はお天気が悪いことが多いのが特徴です.この週末もお天気は下り坂で,今日の午後から関東地方でも雨が予想されています.

昨日の午後は貴重な日差しがあったので,風が強くて植物の写真には不向きだったのですが,庭の植物を撮ってみました.さすがに4月も下旬なのでいろいろな芽吹きが見られます.下の写真は,トサミズキエゴノキヤマボウシです.

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2012/04/15

ヤナギの花が咲いていました

Ushikunumapark_apr2012009m

昨日は冷たい雨が一日中降り続いて季節が逆戻りしたような感じだったのですが,今日は朝から雲は多めながら日差しに恵まれたので,近隣の沼の畔を歩いてきました.水辺に多かったのがヤナギ.ちょうど花が開いているもの,花が終わったばかりのものが入り混じっていました.何という種なのかはわかりませんが,緑化目的で植えたのでしょうか?せっかくよく保存されているヨシ原とうまく共存できれば良いのですが.

足元の水辺を見ると,枯れたヨシの茎がバラバラになって浮いていました.

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2012/04/14

ゼンマイも伸びてきました

もう東京はソメイヨシノが散り始め,葉桜になってきましたが,昨夜から降り始めた冷たい雨で,花が散るのが加速されることでしょう.当地のソメイヨシノはちょうど満開を迎えたのですが,明日雨が上がった時点でどれくらい花が残っているのか気がかりなところです.でも,私が好きなオオシマザクラはもう少し持つのではないかと期待しています.

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庭ではゼンマイがだいぶ伸びてきました.観葉植物として何か所かに生やしているのですが,この新緑も大変美しいです.

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2012/04/09

レンギョウも花盛り

今日の東京はソメイヨシノがまさに満開でした.どこへ行っても本当に美しい淡いピンクが目立ちました.隅田川沿いの並木も大変きれい.

で,我が家のほうは,まだようやく3分咲きという程度.気温が低ければ次の週末まで持ってくれそうですが,今週は気温が高めに推移するらしいので,下手をすると週末までに満開を迎えてしまいそう.

でも,その時は対象をヤマザクラに切り替えて鑑賞すればよいでしょう.ソメイヨシノが開発されるまでは,サクラはヤマザクラが主体だったはず.葉と花がほぼ同時に出てくるのですが,これはこれで風情があります.オオシマザクラも大変良いと思います.

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サクラ以外でも続々と開花しています.上の写真は我が家のレンギョウ

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2012/04/08

ナナカマドも芽吹いてきました

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この赤い蕾のようなものは,実はナナカマドの花芽の芽吹き.これが伸びていって花穂になり,やがて白い群生花を付けるようになります.最初はこのように赤い色をしているのが面白いですね.今年はナナカマドの調子はどうかな?例年,アブラムシにたかられて元気のない葉を多く見るのですが.

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菜の花

ここ2,3年のあいだ,自宅のお向かいの空き地に春になると菜の花が群生するようになってきました.こぼれ種が増殖しているのでしょうが,比較的早春から咲きだして,空き地を春の色に染めてくれます.

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正式名はアブラナまたはセイヨウアブラナという種だと思うのですが,上の写真の花がどちらなのかはわかりません,悪しからず.

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2012/04/01

さあ陽光の4月

昨日の暴風雨で暮れた3月ですが,寒冷前線が通り過ぎると,それまでの強風が嘘のように止み,今朝は朝から晴天です.昨日の暴風で道路に飛び散った葉や枝やバケツや PET ボトルを片付けて,庭の花の様子を見ると,おお,トサミズキの花穂がだいぶ伸びています.先週は日中が暖かったので,順調に花穂が伸びたのですね.昨日の暴風でかなり傷んだ花弁もありますが,新しい花弁が伸びてきているので,あまり痛みは目立ちません.

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目を地面に転じると,ひと月ほど前から咲いていたタネツケバナに交じって,スミレの仲間が顔を出していました.

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