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2012/07/14

案の定,集中豪雨

梅雨前線が下がったという記事を先週書きましたが,同時に週後半からは再び北上して梅雨が明けるのではないか,とも書きました.この,梅雨明け直前の前線北上はしばしば集中豪雨を発生させている厄介な現象です.今年は特に九州で前線の活動が活発で,観測史上最高を記録するような集中豪雨が観測され,被害も増えています.観測網が発達してきたからとはいえ,時間雨量 100mm を超える雨(*)が 3 時間以上も降り続くというのはすごい.

梅雨明けが近くなると太平洋高気圧が強まって南からの風の温度が上がり,海上で大量の水蒸気が補給されます.風が陸地にぶつかって上昇気流が起き,積乱雲が次々に発達.今年は北方の寒気が強いらしくて積乱雲の発達がすさまじく,雨雲レーダー画像で観ても前線に沿って幅の狭い領域に直線状に積乱雲群が発達しているのがわかります.これは典型的な Back Building Type のマルチセル降雨であるように見えます.

ここで重要なことは,積乱雲群に向かって次々に温位の高い水蒸気が補給され続けることで,ある積乱雲が豪雨を降らせて急速に霧消してしまったとしても(**),すぐに次の積乱雲が次の豪雨を降らせるという連続したプロセスが数時間以上も継続していることです.激しい上昇気流で積乱雲が高空に向かって発達するときには,水蒸気は急速に凝結して莫大な量の潜熱を放出します.この潜熱が上昇気流の温位を上げるので上昇・凝結のプロセスが連続して起こりますが,これが次の積乱雲の発達を促すようにつながっているらしい.

九州では梅雨末期の集中豪雨は年中行事なので,ある程度は慣れているというか,諦めてもいるのですが,それでも時間雨量 100mm が 1 時間以上続くと何らかの災害が発生します.しかも,日本の急峻な地形を流れる河川は短時間で増水氾濫するので,河川管理や避難誘導などの対策も時間との戦いになります.X バンドレーダが都市部には配置されてきました.国土交通省が試験運用中の X バンド MP レーダのリアルタイム画像 XRAIN はこちら.これで観ても,九州の積乱雲群はすごい.100mm/h 以上の雨域がまだあって,まるで衰えません.より広域を観るための C バンドで観ても,湿舌が衰えずに継続して流入してきている様子がわかります.気象庁も,このような事態に際しては 10 分おきに降雨情報や雲の動きを言葉で通報するとか,きめ細かい情報提供をしていくべきでしょう.レーダー・ナウキャスト(下の画像)は良いサービスですが,PC が無いと見ることはできません.日本は自然災害の国なのですから.

Jmanowcast20120714094500

(*) ちなみに,時間雨量 100mm の雨とはどのようなものかというと,アスファルトの道路上には水深 10mm 程度以上の水膜ができ,そこに大粒の雨滴が衝突して直径数 10mm のミルククラウンが発生し,そこから微細な水滴が大量に発生して,地上 30cm 程度までは水煙で覆われ見えにくくなります.車に乗っている場合には,上から降ってくる太くて白い水の矢がびっしりと視界を覆い尽くして前方が見えなくなります.ワイパーはまるで役に立ちません.

(**) 夏の夕立だと,一つの巨大な積乱雲が発達はしますが,それが豪雨を降らせることが出来る時間はせいぜい 10 分間程度です.それが終わった時には積乱雲は消えて無くなっています.私が高校生の時分に,学校のプールサイドに座っている間に,はるかかなたの積乱雲があれよあれよという間に崩壊して無くなっていく様を観察したことがありますが,その雲の下では豪雨が降っていたはずです.しかしその時間はわずか 10 分間でした.

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