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2013年10月

2013/10/27

炭鉱町を衰退から救った人々の心意気

フラガール [Blu-ray] - 松雪泰子(出演),豊川悦司(出演),李相日(監督)

一世を風靡し社会現象にもなった映画ですが,これまで全編を通してじっくり見たことがなかったので,改めて画面にきちんと向き合って鑑賞しました.

昭和の後半,燃料はすでに石炭から石油やガスの時代に入っており,各地の炭鉱は次々と閉山されていました.常磐炭鉱もその例外ではありません.炭鉱とともに栄えてきた地域社会を守るため,町おこしのため,炭鉱の副産物であった温水を利用した常磐ハワイアンセンターなるものが構想されます.当時からすでに大規模な温泉町には "ジャングル温泉" というものはあったのですが,常磐ハワイはそれをさらにスケールアップして,温泉だけではなく,ハワイの雰囲気を味わえる常夏の娯楽センターを作ろうとしたのです.

その娯楽施設の呼び物として,フラダンスやタヒチアン・ダンスを見せものにしようとしたのですが,何とそのダンサーたちを養成する学校を作り,地元の炭鉱町の女性たちをダンサーとして育てようとしたのでした.普通に考えれば,そんなこと出来るわけないっぺ,と岩城弁で返されるのでしょうが,炭鉱からの転身にかけた常磐興産の人たちはその非常識に挑戦しました.その挑戦の物語を映画にしたのが本編です.

創作や脚色はたっぷりと入っているのですが,全編を貫くのは衰退に抗して挑戦する人たちの心意気です.脚本が良くできていて,話にはいくつもの山があり,観る人を何度もハラハラドキドキさせます.登場人物たちはやや類型化されてはいますが,演出が良く効いていて(その分指導はたっぷり入ったのでしょうが)安心して観ていられます.見ものの一つは,前半で,岸部一徳が演じる吉本紀夫が,松雪泰子演じるダンス指導者の平山まどかを,岩城弁を長々とまくし立ててののしる場面.複数テイクのつなぎ合わせには見えなかったので,おそらく本当にとちらずにしゃべり終えたのでしょう.これはすごい.

炭鉱町の少女たちが,苦難を乗り越えながら少しずつプロのダンサーとして成長していくプロセスが,もう少し丁寧に描かれていてもよかったと思いますが,まあこんなものかなぁ?せっかくだからフラの基本がもう少し解説されてもよかったとも思います.それでも終盤近く,列車でいわきを去ろうとする平山まどかをフラのジェスチャーで引き止めるシーンは,この映画のクライマックスの一つ.それで目立ったのが主演格の蒼井優.とても表情がいい女優ですね.多感な少女の表情を作るのがすごくうまい.

衰退する炭鉱町を題材にした映画は洋の東西を問わず数多いのですが,音楽を題材にしたのはイギリス映画の "ブラス!" やアメリカ映画の "歌え!ロレッタ愛のために" などがあります.

スパリゾートハワイアンズは,その後山谷はあるものの,入場者数は増加傾向にあるそうですから大したものだと思います.東日本大震災ではおそらく大きな被害を受けたことでしょうが,それにもめげず,です.おそらく心意気と巧みさを併せ持っているのでしょう.

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Introductory Slides to Refsort/Ruby

I have posted introductory slides to Refsort/Ruby in a PDF format. Please refer to them when you want to know about Refsort/Ruby. The slides also include introduction to compiled reference files of birds. A detailed user's manual in Japanese has already been included in the Refsort/Ruby package, but not one in English. Please take a look at these slides for the moment until I prepare a user's manual in English.

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2013/10/19

手練れの小品

新しい人生のはじめかた - ダスティン・ホフマン(出演),エマ・トンプソン(出演),ジョエル・ホプキンス(監督)

大人の恋愛の小品ですが,まあ,脚本が良くできているのと,配役がベテラン揃いということで,全く安心して観ていられる映画です.

ダスティン・ホフマンも年をとったなぁと思いますが,しかしこのシナリオの役としてはまだまだ若く見えます.エマ・トンプソンはまあ適役かな?しかし.背丈の差はいかんともしがたく,ラストシーンでエマ・トンプソンがハイヒールを脱いでしまうのは,ダスティン・ホフマンの共演女優としてはある意味おきまりなのかもしれません.

ダスティン・ホフマンについては,もう何も言うことは無いと思いますが,エマ・トンプソンは,私にとっては "日の名残り" で出会った女優ということになります.アンソニー・ホプキンスと共演し,彼の圧倒的な存在感に潰されることなく役を演じきったのは見事.この作品では,特に華を演じることは無いのですが,しかし大人の女性の苦悩と希望を見事に表現しているということは評価されるべきでしょう.恋愛を諦めるべきか,それともまだ機会はあるか,実に悩ましい年頃の心理を見事に演じています.

冒頭,ダスティン・ホフマン自身がピアノを弾くシーンがありますが,彼のセリフの中で "ジャス・ピアニストになりたかった" というのは,本人の若いころの希望だった洒落が効いています.

スタッフ・ロールを見始めるとすぐに,とても素敵なエピソードが見られるのですが,これもほぼお約束のプロットと言ってよいでしょう.そのための伏線が映画の前半に仕掛けられています.

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2013/10/13

やっと夏が終わった?

昨日までは10月というのに連日最高気温が30度を超え,しかもかなり蒸し暑くて閉口しました.例年だと,10月中旬にはエアコンのフィルタを掃除して,ひと夏よく頑張ってくれましたと手入れする時期なのですが,あろうことか昨日は暑さに耐えきれずにエアコンを再稼働させてしまいました.

夜になってようやく,にわか雨を降らせながら寒冷前線が南下していき,冷たい空気がどっと入ってきて涼しくなりました.今日は朝から乾いた空気に包まれてやっと初秋の面持ちです.それでも最高気温は25度まで上がっていますので,平年よりは5度ほど高い.数日後には大型の台風が関東地方を直撃するかもしれないので,本格的な秋が来るのはもうしばらく先かもしれません.

Fallhome_oct2013012m

それでも庭先ではススキが穂を伸ばし,コガネグモは獲物を狙って巣を張っています.

Fallhome_oct2013016m

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2013/10/06

IOC List v3.5 和名追加版

オリジナル版の辞書ファイルをアップロードしたばかりですが,今回は集中して作業をしたおかげで短期間で和名追加版をアップすることが出来ました.今回の v3.4 から v3.5 への改訂でも,少なくない異動があったのですが,さほど遅れずに和名追加版を編集することが出来たのでほっとしています.

相変わらず,の分割や合併,そして大規模なレベルの移動が含まれています.今回ショックだったのは,ヤマガラの仲間がこれまで属していた "Poecile コガラ属 ("Kaup, 1829")" から "Sittiparus "Sélys-Longchamps, 1884"" へと異動したことです.しかもしばらく前までは "Parus シジュウカラ属 "Linnaeus, 1758"" だったことを考えるとやりきれないものが残りますね.もう年寄りはついていけなくなるような気がします.

また,和名に関していうと,新たな種に対しては当然和名が未定義なので,暫定的ながら泥縄で和名を創作しています.これは本当に冷や汗もので,あくまで "Recommended jname by TOT (v3.5)" としているのですが,名称創作のセンスが無いので,英名の逐語訳に近いものになることが多くなっています.もっとも,新しく分割された種は特定の地域に生息するものであることが多く,そのため英名もその地名を使っているため,和名もそのまま英名の逐語訳にならざるを得ないという事情があります.アマゾン南部の,Google Map で見ても出てこないような川の流域だけに住む種とか・・・

また,オリジナル版に収録されていないが日本鳥類目録 改訂第7版には収録されている亜種はできる限り追加して収録しました.このため,収録されている和名は亜種も含めて 11,159 種となりました.種の英名はオリジナル版と同じく 10,657 種です.亜種を含めた全体では 31,623 種という数になります.

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2013/10/05

IOC List v3.5 Released

IOC List v3.5 がリリースされました.前回 v3.4 のリリースは6月30日だったので,今回のリリースには3か月しかかかっていません.IOC List v2 系列のときには,サブ・バージョンの更新はほぼ3か月ごとという非常に速いピッチだったことを考えると,かつてのスピードが戻ってきたように感じます.当方としては高頻度の改訂は作業工数が増えるのでありがたくはないのですが.

さて,この v3.5 の Master List を編集して Refsort/Ruby の辞書ファイルとしたものをアップしました.IOC World Bird Names の Web サイトは未だに v3.5 への遷移中と表示が出ていますが,内容はもう固定されているようなので,アップしてしまいます.

なお,今回も辞書ファイルの正式なエンコーディングは UTF-8 です.従って Linux 上で使う分にはさほど問題が生じないでしょうが,Windows 上で使う際には,入力ファイルは UTF-8 でエンコードされ,かつ最初の行に

#!E -*- coding: UTF-8 -*-

というおまじないを置いておかないとうまく動きませんのでご注意ください.

しかし,そうは言っても Windows 上では相変わらず US-ASCII や Windows-31J がデフォルトのエンコーディングなので,エンコーディング指定なしの汎用 US-ASCII 版もアップしておきます.ただし,この版では,欧文のアクセントやウムラウトを含む文字は最も近い文字か ? 記号で置き換えられています.正版はあくまで UTF-8 版なので,日常的な簡易版としてお使いください.

さて,このオリジナル英語版に引き続いて,和名を収録した日本語版を準備しようと思いますが,こちらは内容の修正と確認に手間がかかるため,しばらく時間をいただきたいと思います.

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