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2014/01/01

謹賀新年 2014

新年明けましておめでとうございます.寒い毎日が続いていますが皆様お元気でお過ごしでしょうか?例年通り昨年一年を振り返り,今年の展望を書いてみたいと思います.

日本全体としては,景気の回復が続き,それに伴って物価がじわじわと上がり,その割には収入はなかなか増えない,という一年だったと思います.景気の回復は株価為替相場で顕著でした.株でだいぶ儲けた人たちがいる反面,投資に回すお金の余裕のない人たちにとっては,物価だけが上がり銀行の金利もほとんどゼロのまま,という好ましくない状態が続いた一年とも言えます.さらに消費税増税が待っているので気が抜けません.

Newyork_dec2013065m

円安は日本全体としては国際収支の赤字を招きます.なぜならば,輸出品の収支が好転する以上に,輸入するエネルギーや原材料や工業製品の価格が上がり,それらを差し引きすると収支は悪化するということが明らかになっているからです.最大の原因は莫大な量を輸入している原油・天然ガスの輸入価格の上昇でしょうが,それ以外にもスマートフォンなどの電子機器から食料品まで,実に多くのものを私たちは輸入しており,その価格が上昇して輸出入の収支が赤字に傾いているのです.

この議論は原発の再稼働の論拠として語られることが多いのですが,原発の再稼働はエネルギー戦略の一部として議論されるべきであって,国際収支を改善するために原発を再稼働させるという論理は屁理屈以外の何ものでもありません.

会社の仕事を通じて感じることは,景気が回復してきたとはいってもそれは円安効果で輸出産業が一息つくことが出来たという程度のことです.この程度の円安では製造業が海外に移転していく勢いを止めることはできません.なにしろ日本は伸びる市場ではなく縮む市場なので,そのような市場に新たに立地することは愚かな選択です.企業の戦略としては,たとえリスクはあろうとも伸びる市場に出ていかざるを得ません.

これに伴って個人の仕事の口も海外に求めるのが自然です.大卒新人の就職活動の悲喜こもごもが語られるようになって20年ほど経つのですが,そもそも日本国内に就職しようという発想が戦略的誤りです.もっと間口を広く,職を世界に求めるのが戦略的には正解.そのために必要なスキルを大学4年間で身につけるべきです.

Shanghai_jun2013017m

ヨーロッパではすでに30年以上前から,アジアでも10年ほど前から顕著なのですが,若者の出身地と就業地は異なるのが普通です.私が80年代後半にフランスの企業で勤務していたときの同僚は,フランス人が大部分ではあるものの,アメリカ人やドイツ人,中にはポーランド人やベトナム人,はたまたロシア系のユダヤ人などもいて国籍は豊かでした.10年ほど前にシンガポール政府のある部門で働く中国系の若くて優秀な女性は,良く話を聞いてみると台湾の出身でした.このようなヘテロジニアスな人材ポートフォリオが高級人材の世界ではすでに当たり前になっているのに,日本だけが日本人のそれも男性中心のモノカルチャーの人材構成になっているのは異様でおぞましいことです.

日本国内に職を求め続けることは小さくなっていくパイの取り合い合戦に参加することであり,(相対的に)低い報酬や劣悪な労働条件などに甘んじなければならないことを意味します.しかも私のような間もなく定年を迎える高齢者とも職を奪い合わなければなりません.私から今の大学生に言えることは,世界の同世代の若者との競争に伍していけるだけの知識,語学,価値観,そして生きる力を身につけておいてほしい,ということです.


この一年間は私にとってはそれまでのように大きな変化はなかったものの,一時期ほどではないにせよ海外出張が増え,週末に自宅で仕事のメールを読み書きする時間も増え,さらに通勤時間がもともと長いということもあり,仕事中心の生活を送っているのは相変わらずです.まあ,こういう生活もあと数年のことなので,せめて悔いを残さないようにと思ってやっています.しかし自分のためのまとまった時間が週末であってもなかなか取れないのはつらいものがあります.

長い通勤時間をどうやって過ごすか,中距離電車の常連たちは皆それぞれ工夫を凝らしています.以前は新聞をバサバサと音を立てて読むか,文庫本や単行本をじっと読むという人が多かったのですが,ここ一年で急速に増えたのはスマートフォンやタブレット端末を凝視している人たちです.確かに優れた端末が増えましたし新聞の電子版や電子ブックのコンテンツも充実してきたので,電車の中でまとまった時間を過ごすには良いやり方だと思います.ゲームに熱中している人も多いのですがね,実際は.

私自身も軽くて小さめの電子ブックリーダを物色中です.Amazon の Kindle Paperwhite 3G という 電子ペーパーの端末を買おうと思っているのですが,人気に供給が追い付かないらしく,注文しても2,3か月待ちという状態が続いているため,実際に買うのはだいぶ先のことになりそうです.

またコンテンツもまだまだ貧弱です.新聞や雑誌の書評で読みたいと思う本に出くわしても,それが電子出版されている確率はあまり高くありません.私が若いころ,音楽 CD が初めて世に出たときはコンテンツの充実にさほど時間はかからなかったと思うのですが,電子出版は利益配分が出版社寄りになっていないため,出版社側には電子化の動機が薄弱なのが普及が遅い原因ではないかと思っています.

いずれにせよ,執筆-編集-組版という流れがすべて電子化されれば,非常に速く効率の良い出版が可能になるので,その流れが加速されることを希望します.電子出版と言えども,基本的にはグーテンベルク以来の活字組版印刷の文化がそのまま媒体を乗り換えて存続するので,編集者や組版・印刷職人たちの仕事の価値が損なわれることはありませんし,作業に携わる人たちと読者との距離はより近づくのではないかと期待しています.


昨年は一昨年と同様,体の不調を感じることが増えました.アルコールにはますます弱くなってきました.ワインを楽しむにしても量は大幅に減らしています.ウイスキーなどのハード・リカーを飲むことはもうほとんど無くなりました.代わって,特に今は寒いからなのですが,熱燗の日本酒を飲むことが増えました.熱燗をちびちびやりながらおいしい肴をつまむのはお腹にも良さそうで,これだとアルコールでお腹を下すこともありません.

膝の痛みも相変わらずです.だましだましで付き合っているのですが,もう全力で走ったり,階段を駆け下りるということはできなくなりました.これは悲しいことですね.駅やビルの中ではできるだけエレベータやエスカレータのお世話になるように努めて膝をいたわるようにしています.

Newyork_dec2013003m

つい2週間ほど前,アメリカから長時間のフライトで帰国するとき,エコノミークラス症候群と思われる症状に見舞われました.左のふくらはぎが激しく痛むのです.その時はさほど気にしなかったのですが,帰宅した翌日,ふくらはぎが痛くて階段を降りるのに一苦労します.ひょっとすると血栓ができてそれが悪さをしている可能性があります.これが肺や心臓や脳の血管に詰まるとこれはえらいことになるので,軽々しく済ますことはできません.その後2週間ほど経った今でも,ふくらはぎの一部にひきつるような痛みが残っています.あのような長時間のフライトでこのような事が起きたのですから,これは労災ではないかと思うのですが,実際どのように扱われるのでしょうね?次回からはできるだけビジネスクラスに乗りたいと思います.

全体としては順調に老化が進んできてはいますが,まだ長時間通勤と日々の労働には耐えていられる段階,と言うべきでしょうか.あんまり耐えていたくもないので,早々にこのような状況から抜け出せるようありたいものだと思っています.


この一年間,趣味の写真は低調そのものでした.週末を使って遠方の実家に帰省する必要が増えて自由時間が少なめだったこと,週末のお天気が不順なことが多かったこと,そして実はこれが本当の原因だと思うのですが,週末は疲れて休んでいたいと思うことが多く,写真を撮りに出かける意欲が減退していた,という事だろうと思います.

Nonta_2013144m

年末にカメラを新調しましたので少し創作意欲が湧いてきました.今年は昨年の遅れを挽回すべく創作に精を出したいと思います.ひざが痛むので長時間の街歩きは難しいのですが,その分,日ごろのロケハンと被写体を選び切り取るセンスを磨けば,まだまだ頑張れるのではないかと勝手に思っている次第です.


これまで4年間ほど使ってきたパソコンの中身を新調しようと思っているのですが,慣れ親しんだ Windows 7 を再インストールするか,それとも最新の Windows 8.1 をインストールすべきかで考えがまとまらず,結局年末の買い物リストからパソコン・パーツを落としてしまいました.円安でパーツが値上がり気味というのも意欲を萎えさせていますが,いずれにせよ消費税増税までには買い換えたいので,毎週のように WEB でパーツを物色中です.困っているのはケース.良質で小さめのケースを狙っているのですが,内部正圧で防塵フィルタの掃除がしやすくかつ横幅が 200 mm 程度というものにはなかなかお目にかかりません.現在使用中の古いケースをそのまま使い続けることになると,USB 3.0 のソケットを新たに設けるための追加パーツが必要になるので痛し痒し.しばらくは楽しみながら悩むことにしたいと思います.

また,Windows Home Server 2011 の運用を開始して1年以上が経ちました.当初思っていたほどには NAS 機能やメディアサーバ機能を使うこともなく,専ら PC の自動バックアップ機と化しています.このまま2年くらい使い続けるか,それとも来年中に FreeNAS に切り替えるか,悩ましいところです.これ以外にも Linux マシンや家人のノート PC とタブレット端末もあり,管理対象が増えてきたのでもうこれ以上は増やさないようにしようと思っているところですが,どうなりますやら.


それでは皆様,今年が良い年であることを祈っています.長いおしゃべりにお付き合いいただきまして,ありがとうございました.

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