フランス映画の小粋な秀作
アメリ [Blu-ray] - ジャメル・ドゥブーズ(出演),マチュー・カソヴィッツ(出演),ジャン=ピエール・ジュネ(監督)
観てしまったからには書かないわけにはいかないという映画です.とにかくフランスでは国を挙げての大ヒット.フランス国外でも大ヒットして,日本でも特に若い女性層を中心にヒットして,おそらく興行収入はかなりのものになったでしょう.
"アメリ" とは主人公の名前なのですが,この映画の素晴らしいところは,随所にフランス人の生活感覚,人生哲学,そしてややブラックなユーモアとペーソスがてんこ盛りにされていて,フランス人にはたっぷりと共感を味わえること,そしてそれらが素早いテンポで次々に回っていくこと,そしてつらいことも悲しいこともあるのだけれど,人の幸せのさまざまな形を見せてくれて,それでいつしか心が暖かくなっていくことでしょう.
対人コミュニケーションに障害を持つという設定なのですが,彼女は少しずつ対人関係を発達させていき,ついには恋人を得るまでになるというストーリーは,一人の少女の成長物語としてみることもできます.一方,登場人物は,これが現実なのでしょうが,癖のある連中ばかり.それでも,モンマルトルを中心とするパリの下町風情は非常によく描かれています.北駅はもとより,サン・マルタン運河でアメリが水切りをするシーンも出てきます.また登場人物間のやり取りではパリっ子の気持ちがさもありなんと描写されているので,特にフランス人には受けたのだと思います.
日本で若い女性層に受けたのは,日本の女性は対人関係に非常に気を遣う文化を共有しているからではないかと思います.これは私にはいまだによく理解できないのですが,特に同性との対人関係にこれほど気を遣うのは世界的にも珍しいのではないでしょうか?誤解を恐れずに言うと,日本の女性は集団対人コミュニケーション障害を患っているのではないかと思いますが,そのような人たちにはこの映画の設定は非常に共感が持てたのだと思います.若い女性向けの雑誌では特集が組まれたりしたほどだったと思います.
いずれにせよ,軽快なテンポでユーモアたっぷりに描かれるストーリーは実に秀逸.年齢や性別を問わずに楽しめ,またじっくりを味わえること請け合いです.120分を越える映画ですが,あっという間に観終わります.嘘ではありませんよ.
| 固定リンク | 0
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- やっぱり「ミッドナイト・ラン」(2024.06.29)
- クライ・マッチョ(2023.11.19)
- 少年の一途な心に感動(2022.10.10)
- タチアオイが咲き始めた(2022.06.14)
- 手練れの役者と制作陣による秀作(2022.06.13)
コメント