« 最後の紅葉 | トップページ | 冬陽の夕 »

2014/12/21

ベニスを見て死ね

ナポリを見て死ね” と誰が言ったのかわかりませんが,私は “ベニスを見て死ね” と言っても良いように思います.“ベニスに死す” というヴィスコンティの映画をじっくり見ると,金持ち階級のベニスの楽しみ方がよくわかるのですが,私のような貧乏な旅行者だとどのような楽しみ方ができるのか試してみたいと思っていました.そこへ最近ひょんなことからベニスを訪れる機会があったので,いくつかの写真と街歩きの体験を書いてみたいと思います.

Venezia_dec2014_0021m

まずベニスは島です.それも大きな運河に分断された二つの島から成っています.全体としては魚の体のように見えるので,観光名所のなになには魚の頭や腹や尻尾にあるというような言い方をします.ただし本土とは長い橋でつながっており,鉄道も来ていて大きな駅があります.ここで言い訳をしておくと,“ベニスに死す” の舞台となったのはこの島のすぐ南にある細長い島 “リード島” です.

自動車も鉄道も島の入り口までしか入ることができません.島の中には膨大な数のホテルやレストランや商店があるのですが,いったん島の中に入ると運搬手段は船か人力しかありません.島の中には大小無数の水路があるので,物流の大半は船に頼っているようですが,最終的に路地の中の一軒一軒に物を届けるのは人力です.従って早朝のごみ集めも人が荷車を曳いてやっていました.

Venezia_dec2014_0030m

朝の島の入り口は通勤ラッシュの人の波です.バスや鉄道,はたまたフェリーボートから人々が降りては徒歩で島の内部に向かいます.ホテル,レストラン,商店などの人たちです.これが結構な数なのでまず圧倒されます.荷物を運ぶ船も非常に活発に動き回っています.

Venezia_dec2014_0026m

全く偶然ですが,棺を船に乗せて運ぶ姿を見かけました.島の中に墓地があるのでしょうか?非常に画になるので,失礼かとは思いながら遠くから写真に撮らせていただきました.これくらい物流が船に依っていることの証しだと思います.江戸の街もかくありなんという感じです.

観光地として最も有名なサン・マルコ広場は,魚のおなかの尻尾に近い部分にあるので,入口からはかなりの距離があります.私は島の入り口からフェリーに乗って行ったのですが,帰途は歩いてみました.小さな島なので,サンマルコ広場から島の入り口まで,経路に通じていて急げば30分もかからないと思います.路地の辻ごとに “島の入り口のローマ広場はあっち” という標識があるので,初心者でも道に迷うことはありません.

Venezia_dec2014_0060m

Venezia_dec2014_0051m

大小無数の水路こそがベニスをベニスにしているのだと思います.水路はそれぞれに個性があり,それぞれが独特の景色を見せてくれます.また水路は文字通り “水の路地” なので,時刻とともに光の当たり方がどんどん変わり,それが水路の表情に変化を与えてくれます.時間に余裕があれば,朝から夕方までたっぷりと時間をかけて水路散策をしてみることをお勧めします.疲れたらいくらでも休憩できるカフェやレストランがあり,しかも観光地にありがちなぼったくり価格を取られることは非常に稀だと思います.

Venezia_dec2014_0037m

Venezia_dec2014_0105m

Venezia_dec2014_0121m

Venezia_dec2014_0046m

水路に似合うのはゴンドラですが,このゴンドラ,姿かたちはすべて同じ.黒光りした船体に真紅の豪華シートが実によく似合います.ただし私が訪れたのは12月のオフシーズンだったので,舫い綱を解かれていないゴンドラが青いシートをかぶって多数停泊していました.ゴンドラに乗って楽しんでいるのはほとんど中国人観光客だったのが,最近の風潮を象徴しています.

Venezia_dec2014_0049m

Venezia_dec2014_0064m

Venezia_dec2014_0073m

寒いさなかの2月末にカーニバル祭が行われ,この時は島に人があふれるようです.しかし,このカーニバルは仮装して参加するのが原則.そのためあってか,島の路地という路地に必ずあるのが仮面の専門店.仮面だけ売ってどうやって商売が成り立つのか不思議なのですが,とにかくおびただしい数のお店があります.価格は結構手頃で,観光客が思い付きで買うことができる価格です.

Venezia_dec2014_0093m

私は非常に短い滞在時間で駆け足で島を歩き回っただけなのですが,時間に余裕があれば1週間ほどをかけて,島の様々な表情を見てみたいと思います.写真の題材は膨大にあるので,おそらく後で整理に困るほどのショットが撮れるのだと思いますが,それにふさわしい景色がそこここにあることは保証できます.映画 “ベニスに死す” でヴィスコンティが見せてくれた圧倒的な映像美は,実は写実であった,ということが今回の最大の発見だったなぁ.

|

« 最後の紅葉 | トップページ | 冬陽の夕 »

旅行・地域」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/54612/60842867

この記事へのトラックバック一覧です: ベニスを見て死ね:

« 最後の紅葉 | トップページ | 冬陽の夕 »