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2015/01/01

新年のご挨拶(喪中版)

昨年母親を亡くしましたので,今年は年賀状を出しておりません.Web 上の新年のご挨拶も例年に比べて簡素に済ませたいと思います.ご了解いただければ幸いです.

さて,母親を亡くした件です.母親はここ数年間がんを患い闘病を続けていました.発見が遅れたために,すでにがん組織が臓器の広い範囲に広がっており,また高齢であることもあって,手術や放射線による治療は断念せざるを得ませんでした.残るのは化学療法,すなわち抗がん剤です.しかし,抗がん剤には強い副作用があります.これによって髪の毛が抜けたり吐き気がしたり,ろくでもない体調の変化に見舞われます.

理想的には,その人の遺伝子の変異型に合わせた抗がん剤を調製出来ればよく,長年研究が続けられていますがまだ実用には至っておらず,結局は大多数に効くと想定して調製されたものを使わざるを得ません.しかし,これが個々の人に効くかどうかはくじを引くようなものです.

母の場合,3種類の抗がん剤を順番に試していったのですが,残念ながら結局どの抗がん剤にも効果は認められませんでした.1年ほどをかけたのですが,入退院や通院の手間,多額の抗がん剤費用を負っただけに終わりました.結局,医師との話し合いの末に抗がん剤治療は打ち切り,“緩和ケア„,すなわち根本治療は諦めて残された生存期間をいかに有意義に過ごすか,という方向を選択せざるを得ませんでした.

幸いなことに現代の緩和ケア技術は素晴らしく,亡くなる6か月前まではほぼ健常者並みの生活を送ることができました.この間は帰省するたびにドライブなどに連れ出し,行きたいところに連れていくようにしました.痛みが目立ってきて専門医が常駐するホスピスに入院した後でも,亡くなる1か月前まではステロイドの効果で食欲も旺盛で,普通に帰宅したり外食したりできたことがせめてもの慰みでした.

最後の1週間は急速に症状が進み,医療用麻薬の量も増やさざるを得ず,不安障害のようなものも出てきましたので,亡くなる前日からは鎮静剤を継続投与して鎮静状態に入り,静かに臨終を迎えました.

私はベッドサイドで最後の一呼吸まで看取ったのですが,こういう最期も悪くないなと思ったものです.なぜならば,亡くなる1週間までは普通に起きて歩き回り,食事や排せつも行うことができる,最後は急激に症状が進むものの,準備と覚悟さえできていれば短期間で一気にあの世行きです.長患いにまつわる様々な面倒事に苦しまずに済みます.皆さんはどのようにお考えになりますか?


昨年は仕事の面では多くの海外出張に出かけて忙しく,体にも負担をかけた年でした.特に時差のあるアメリカや欧州への出張が多く,それはそれで面白くはあるのですが,体に対する負担は相当のものです.負担としては,直接的には長時間のフライト,間接的には食事や睡眠のリズムの乱れがあります.

長時間のフライトに耐えることはすなわちエコノミークラス症候群の予防に尽きます.従って座席は必ず通路側,やむなく窓際になった場合は乗り込んだ後で通路側の空席を探して移動するなど,神経を使いました.10時間以上のフライトになるので,何度も席を立ってキャビンの最後尾に行っては柔軟体操や足踏み,下肢部のマッサージを行って血栓ができるのを防ぎます.

海外出張に行った際の気晴らしや楽しみについてですが,アメリカは中西部の農業地帯に行くことが多く,広々とはしているのですが,歴史や文化に触れることは難しく,日本ではなかなか食べられない美味しい熟成肉にありつけるくらいしか楽しみがありません.一方欧州は歴史ある都市に滞在できる機会が多く,これは写真好きにとっては絶好の機会を提供してもらったようなもので,わずかな空き時間を利用して,どんなお天気であっても街を彷徨することを繰り返しました.古い街の狭い路地には特に興味を惹かれます.

今年も海外出張が多くなりそうなので,体調を整えておきたいと思います.


海外出張の陰に隠れてしまいましたが,長時間通勤を相変わらず続けています.もう慣れてしまったと言いたいところですが,加齢とともにだんだんきつさを感じることが多くなりました.もう定年も近いのですが,定年と同時に年金をもらえるわけでもないため,しばらくは継続して働き続けなければならないと思います.年とともに通勤のきつさが増すことは確実なので,どうしたものかと思案しています.

以前は通勤中は座っていても立っていても本を読むことが多かったのですが,ここ数年はそれをやらなくなりました.というのも老眼乱視が急速に進行し,しっかりと眼鏡をかけなければ本を読むことができなくなってしまったのです.それで電車の中での読書は中止していたのですが,つい最近電子ブックリーダーを手に入れて読書を復活させました.買ったまま積読(つんどく)になっていた文庫本などの電子版を改めて買い直し,電子ブックリーダーで読み始めています.代表選手は塩野七生ローマ人の物語” です.

これが良いところは,調節可能なフロントライトがついているため,暗めの車内でも楽に字が読めること,字の大きさを自分で好きなように調節できること,その場で複数の辞書を引けること,電子的なしおりやアンダーラインを引けること,そして購入が瞬時に終わることです.私が買った最新機種のディスプレイの解像度はモノクロで 300 dpi あるので,初期のレーザープリンタと同じ細かさです.普通に印刷物を読む感覚で電子インクディスプレイ上で印刷物を読むことができます.液晶と異なって電子インクは消費電力が非常に少ないので,充電の頻度も非常に少なくて済みます.

また,著作権が切れた作品は,青空文庫などの活動によって非常に安価に購入することができますので,たとえば与謝野晶子訳の源氏物語や,吉川栄治訳の三国志などのように,著名な古典を非常に安価に電子書籍として取り込むことができます.

欠点は,電子版の書籍はまだ少量しか出版されていないこと.出版社や著者によっては電子出版に後ろ向きな方々もいます.従って必ずしも自分の読みたい本が電子版で読めるわけではありません.また,文庫や新書は電子ブックリーダーで読むのみちょうど良いのですが,大判の書籍は現在の電子ブックリーダーでは一頁を一画面に収めることはできないため,何らかの工夫が必要となります.もちろん画面を上下左右にスクロールすればよいのですが,その手間はばかになりません.

まだ使い始めたばかりですが,少し経験を積みたいと思います.


さて,簡素に済ませるなどと言って結構長文になってしまいました.昨年も天変地異や国際的な事件など,大きな出来事が続きました.世の中はなかなか平安という具合にはいきませんが,どうにかこうにかやっていこうと思っています.皆様も健康第一で一年をお過ごしください.

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コメント

お母様のご冥福を心からお祈りいたします。 合掌。

投稿: いちろう | 2015/01/02 12:55

いちろうさん,
お気づかいありがとうございました.昨日帰省先から戻ったところです.雪がちらついて非常に寒かったです.

投稿: 俊(とし) | 2015/01/04 09:41

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