ユミハシハワイミツスイについて
先ほどアップした IOC List v5.3 の和名追加版についての補足です.今回も IOC List の改訂は色々とあったのですが,和名を追加するにあたって重要な変化があり,それに対応するためにやむなく従来の和名を変更するに至りました.以下に具体的に説明します.
変化があったのは Fringillidae(アトリ科)の Akiakoa 属(Olson & James, 1995)です.この属は Authority を見ての通り比較的新しく定義された属で,従来の Hemignathus 属(ユミハシハワイミツスイ属)(Lichtenstein, MHK, 1839)から分かれてできたものです.ここに異動させられた種は4種で,順に書くと
- Akialoa obscura
- Akialoa ellisiana
- Akialoa stejnegeri
- Akialoa lanaiensis
となります.ちなみにこれらすべてが絶滅種です.後半の2種は従来は2番目の種の亜種という扱いだったので,従来の英名と和名は以下のようになっていました.
- Akialoa obscura, Lesser Akialoa, ユミハシハワイミツスイ
- Akialoa ellisiana, Greater Akialoa, カウアイユミハシハワイミツスイ
- Akialoa ellisiana stejnegeri,
- Akialoa ellisiana lanaiensis,
ところが,v5.3 ではこれら亜種が種に格上げされ,学名と英名がそれぞれ以下のよう変更になりました.さらに従来の和名を単純に当てはめると以下のようになります.
- Akialoa obscura, Lesser Akialoa, ユミハシハワイミツスイ
- Akialoa ellisiana, Oahu Akialoa, カウアイユミハシハワイミツスイ
- Akialoa stejnegeri, Kauai Akialoa,
- Akialoa lanaiensis, Maui-nui Akialoa,
ここで2番目と3番目の英名を見ると,これらと和名とがまるで逆になっています.これをそのままにしておくと,コマドリとアカヒゲのような妙なたすき掛けの命名になってしまうので,何とかしたいと考えるのが普通だと思います.
本来であれば,日本鳥学会がその権威をもって変更するのが最も正当なやり方だと思うのですが,これらの種にはもともと日本鳥学会が認めた和名はついていません.しかも,英名自身が比較的頻繁に変更になる IOC List のことを考えると,和名も最新の分類学の状況に応じて変えることがあっても良いのでは?と思います.そこで,さんざん悩んだ末に,今回は以下のように和名を変更することにしました.
- Akialoa obscura, Lesser Akialoa, ユミハシハワイミツスイ
- Akialoa ellisiana, Oahu Akialoa, オアフユミハシハワイミツスイ
- Akialoa stejnegeri, Kauai Akialoa, カウアイユミハシハワイミツスイ
- Akialoa lanaiensis, Maui-nui Akialoa, マウイユミハシハワイミツスイ
どんなものでしょう?なお,これらの変更はそれぞれ該当する種のコメントに記載してあります.
| 固定リンク | 0
「自然」カテゴリの記事
- ガガンボ(2025.06.05)
- 強風の五月晴れ(2025.04.27)
- コガモとアカメガシワ(2025.04.26)
- ムナグロ御一行様お着き(2025.04.26)
- フジが満開(2025.04.24)
「IT関連情報」カテゴリの記事
- IOC List v15.1 Released(2025.03.12)
- 日本鳥類目録第8版に準拠したRefsort/Ruby用辞書ファイル(2024.10.13)
- Windows11 24H2 にアップデート(2024.10.05)
- IOC List v14.2 Released(2024.08.27)
- Ruby を自力ビルドしてみた(2024.07.25)
コメント